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「資産運用立国」の本性㊤㊥㊦(赤旗)
2023年10月21日
【赤旗】10月11日 「資産運用立国」の本性㊤
 岸田文雄首相は9月21日にニューョーク経済クラブで講演し、「2千兆円を超える個人金融資産を活用した日本の資産運用ビジネスの発展」を目指すと表明しました。小額投資非課税制度(NIsA 廿ニーサ)の抜本拡充・恒久化に続き、資産運用業の改革を進めるとも述べました。国民の預貯金を株などに誘導する「貯蓄から投資」の一環です。岸田政権が目指す「資産運用立国」を検証します。(日本共産党国会議員団事務局丸井龍平)
・睡鷲翌
 政府は、日本の家計は預貯金をため込んでリスクを取らないと強調してきました。日本の2 千兆円の家計金融資産の内訳は預貯金が54 %で、その割合は米国家計の4倍以上。株と投資信託の合計額は15%で米国の3割にすぎません。(2023年3月末比較)
 NISA拡充
 しかし、富裕層とそれ以外の家計を区別せずに総額だけで比較するのは問題です。一般家計には投資余力が乏しい一方、富裕層はリスクの高い資産の割合が高いからです。
 経済協力開発機構(OECD)のデータでは、19年に米国では上位1%の富裕層が金融資産の40 %を保有。上位10%では79%です。一方、日本はそれぞれ、13%、47%(グラフ)。日本でも5 年前と比べ上位への集中度が高まっていますが、超資産格差社会の米国には及びません。米国家計の総額では富裕層資産の占める割合が圧倒的に大きいので、リスク資産の割合が高くなるのは当然です。このデータから、人口の大半をなす一般家計について、日本の方が米国と比べてリスクをとっていないという根拠にはなりません。
 今年度「税制改正」では、深刻化する資産格差をさらに広げる制度変更が行われました。岸田政権が昨年公表した「資産所得倍増計画」で打ち出したNIsA の抜本拡充です。
  富裕層を優遇
 NISAは株や投資信託の配当や売却益を非課税にする制度です。1人当たりの非課税枠は600万円(積み立てだと800万円)とされてきましたが、来年始まる新NISAでは最大1800万円と大幅に引き上げられました。現行NISAとの併用も可能で、今後5 年間に夫婦で最大4080万円まで非課税にできます。
 日本共産党の小池晃書記局長(参議院議員)は3月16日の財政金融委員会で、新NISAを最大限利用できるのは、預金もあわせ金融資産だけで5000万円を大きく超える世帯だと指摘。制度の趣旨に反して富裕層への優遇になると批判しました。
 NISAの利用は若者を中心に大きく伸びています。政府と金融業界の一大キャンペーンも影響しています。QUIcK資産運用研究所が今年1 月に公表した世論調査では「資産形成の必要を感じる」人は約7割に上昇。その理由のトップは「老後不安、公的年金だけでは足りないと感じるから」が82・5%でした。
 金融庁発行のガイドブックでは、老後資金などライフプラン作成の際、投資を含む資産形成を組み込むことを推奨しています。政府与党が進めてきた社会保障削減、消費税増税が、国民のライフプランを壊し、老後不安、将来不安を招いた責任は棚上げです。
 岸田総理が目指す「資産運用立国」の看板の背後に、総理自ら批判してきた「新自由主義」の本性が透けて見えます。(つづく)

【赤旗】10月13日 「資産運用立国」の本性㊥
 岸田文雄政権は、日本の資産運用業の強化のため、海外業者の参入を促進する方針を表明しました。資産運用業者(法律上は投資運用業者)は投資信託など金融商品を開発するとともに、自らの投資判断で顧客の資産を運用します。販売は銀行、証券会社が担います。日本では「〇〇アノンセットマネジメント」などの社名で426あります(8月末時点)。富裕層を主な顧客として、リスクの高い投資を行っヘッジファンドも含まれます。
  格差問題深刻
 資産運用業者に所属して投資判断をするのが、ファンドマネジャー(以下FM)です。
 既に2021年度「税制改正」では、FMへの報酬に対する課税の軽減措置が実施されています。一方、米国バイデン政権は、高額所得者のFMへの課税を強化する政策を掲げています。また、FM優遇税制を始めたイギリスでも、優遇見直しの議論が起きています。高額所得者への優遇は格差是正を求める世界の流れに逆行します。岸田政権のFM 呼び込みは、格差問題をさらに深刻にします。
 また資産運用業に対しては、金融市場への悪影響も指摘されています。
 08年の世界金融危機以降の国際的なルール見直しにより、銀行に対する規制強化が進みました。一方、銀行以外の金融業者への規制の緩さが指摘されています。これらはノンバンクと呼ばれ、投資信託、ヘッジファンド、保険会社、年金基金などが含まれます。
 世界金融危機後、日米欧など中央銀行が強力な金融緩和政策を継続し、低金利で巨額の資金が金融市場に供給されました。株、債券、不動産などの価格が押し上げられ、金融資産は膨張。ノンバンクが保有する資産も増加しました(グラフ)。08年から21年にかけ、銀行もノンバンクも2倍近くに資産を拡大。特に投資信託、ヘッジファンドなど投資ファンドは3 倍以上に拡大しました。
  ぜい弱性残存
 コロナ感染症による危機を受け、金融緩和はいっそう強化されました。半期でとに公表されている国際通貨基金(IMF )の『国際金融安定性報告書』は21年10月、「極端に緩和的な金融環境が続くことによる資産価格の行き過ぎた高騰」「ノンバンク部門におけるリスクテイクの拡大」が「金融ぜい弱性を高める」と指摘しました。ノンバンクが利益拡大のために借入れを拡大していることがリスクを高めているとし、特に投資ファンドについては、国際協調による規制強化の必要性を指摘しました。今年4月の報告書でも、ノンバンクに「隠されたぜい弱性が残存している」と警告しています。
 緩和マネーで拡大したノンバンクは、日本経済にも悪影響を与えています。急激な円安が進んだ為替相場、長期金利が乱高下した国債市場などで、投機的取引が価格変動を増幅させています。投資ファンドを運用する資産運用業者を含めたノンバンクに対する情報開示、過度な借入れの制限など国際的な規制強化が求められています。(つづく)

【赤旗】10月14日 「資産運用立国」の本性㊦
 グラフ①は投資家別に見た世界の資産総額の推移です。富裕層分(保有金融資産100万が以上)は2022 年で107・3兆が(1が廿140円換算で1 京5000兆円)にのぼり、準富裕層・中間層(保有金融資産10万5100万が)、年金基金、保険会社の伸びを大きく上回っています。準富裕層・中間層が資産総額を07 年から22 年までで約1 ・5 倍にしたのに対し、富裕層が2 ・1 倍。富裕層ほど金融緩和の下での資産運用の恩恵を受けたことがわかります。
  投資対象拡大
 日本でも超富裕層(金融資産5億円以上)は21年に全世帯合計で105兆円となり07年と比べて1・6倍。一世帯当たり平均でも11・7億円となり、07年との比較で1億円増やしています(野村総研の推計)。一般家計との差は歴然です。
 また、資産運用の近年の特徴は、グラフ①が示すように、上場株式や債券といった伝統的な金融商品以外に投資する「オルタナティブ投資」へ投資対象が拡大していることです。オルタナティブとは、不動産、原油や穀物などを将来価格で取引する先物取引、未公開株、近年では暗号資産などを指し、ハイリスクで投機性が強いのが特徴です。
 グラフ②は、世界の富裕層の資産の内訳の推移を示したものです。豊富な資金を持つ富裕層がオルタナティブ投資を拡大させていることがわかります。23 年1月時点では、08年と比べて保有資産に占める割合は7%から13%へ倍近く拡大しています。日本でも富裕層ほどオルタナティブ投資を拡大する分散投資を進め、21年には11%を占めます。リスクをとれる富裕層ほど投機的取引を拡大しています。
  規制強化こそ
 オルタナティブ投資への富裕層マネーの流入が、投資対象の価格を押し上げ、インフレを助長する要因となっています。
 米国など世界の中央銀行がインフレ対策で金融引き締めを進める中、緩和政策に固執する日銀の姿勢が際立っています。「日銀緩和マネーのバラマキが、他の中央銀行の引き締め努力を打ち消し、原油、穀物など価格上昇を後押ししている」―日本共産党の仁比聡平参院議員の追及に対し、内田眞一日銀副総裁は、日本の金融緩和はアメリカほどの規模はないとしつつも、その影響を否定できませんでした。(今年2 月28 日議院運営委)格差拡大、物価高騰などは、緩和マネーの恩恵を受ける資産運用業がもたらす負の側面です。政府・日銀は、金融政策の正常化、投資ファンドなどの投機的取引への規制強化を進めるべきです。また、深刻化する格差を是正するため、欧米より負担の低い格差拡大、物価高騰などは、緩和マネーの恩恵を受ける資産運用業がもたらす負の側面です。政府・日銀は、金融政策の正常化、投資ファンドなどの投機的取引への規制強化を進めるべきです。また、深刻化する格差を是正するため、欧米より負担の低い金融所得課税の強化、富裕層への資産課税の導入が求められています。(おわり)