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消費税が中心の税制―公平な「総合累進課税」へ改革提案(「赤旗日曜版」)
2023年8月13日
【赤旗日曜尾版】8月13・20日 これって何―消費税が中心の税制―公平な「総合累進課税」へ改革提案

 2022年度の決算(7月31日発表)によると、国の税収のトップは3年連続で消費税です。前生由」から1 兆円以上も増え、約23兆円で収入の32%を超えます。
 消費税の税収は、19年10月に税率が10%に引き上げられたため、20年度に初めて所得税を上回り、所得税、法人税、消費税の国の主要3税の中で最大になりました。
 消費税導入後の1990任度と22年度の主要3税の税収を比べると、所得税、法人税が3兆円以上減り、消費税は大幅に増えています。(図)
 消費税の増加で、22年度の国の税収は71兆1374億円と3年連続で過去最高となりました。
 22年度の歳出は決算ベースで132兆円となる見込みで、税収が増えても国債依存の状況は変わりません。23年度予算では税収が69・4兆円で、国債の元利金返済に25・3兆円が充てられます。歳入不足分を国債で補い、社会保障費が削られる構図となっています。
 1989年に導入された消費税は、第2次大戦後の憲法体制を支える直接税中心主義に初めて大穴をあけた悪税の象徴的存在です。
 悪税と言うのは、年収200万円と1000万円の所得に占める消費税負担割合が、前者は10・5%、後者は3・7%と、低所得者に過酷な負担を強いるからです。(法の下の平等違反、全国消費実態調査から試算)
 所得をもらさず集めて、所得が増えるに従って税率をだんだん高くする制度が『総A累進所得課税」です。このことを宮本憲一大阪市立大学名誉教授は「人類の叡智(えいち)」と述べ、「これに代わる公平で民主主義的な税制がいまのところない」(宮本憲一・鶴田廣巳編著『所得税の理論と思想』)と指摘しています。
 所得課税(国税では得税と法人税)で、高所得者に応分の負担をしてもらう総合累進課税を採用すると、福祉を充実させる所得再分配が可能になります。「不公平な税制をただす会」は、総合累進所得課税によって50兆円を超える財源を生み出せると試算しています。(23年版財源試算)
 税率を引き上げなくても、物価が上がれぱ価格に税率をかける消費税の負担が増えます。消費税を野放しにしたら、人々は食料品など生きていく上で欠かせない支出ができなくなります。
 生活に欠かせない財産は、憲法第25 条の生存権を原点とする第29 条の財産権、すなわち不可侵の生存権的財産権です(人権としての財産権)。逆進性が強い消費税は、どう言い繕っても弱いものいじめの税です。
 大多数の国民の幸福に結び付く国民本位の税制改革においては、総合累進課税の実現が最重要課題となります。
 大企業や資産家が能力に応じた税負担をするなら、消費税を維持・増税する必要はなく、社会福祉への財源を生み出せます。とりわけ全般的な物価高騰時に緊急になすべきは消費税の減税です。
      浦野広明(「つらの・ひろあき立正大学法制研究所特別研究員・税理士