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60年償還ルール―見直しても財源ならず(2月16日「赤旗」)、税務相談停止命令―納税者の権利侵す法案 撤回を(2月16日「赤旗」)、安保法制判決 「軍拡ノー」の声に耳を(「東京」2月17日)
2023年2月18日
【赤旗】2月16日 経済読み解き―60年償還ルール―見直しても財源ならず
 岸田文雄政権が狙う大軍拡の財源として、増税のほか、国債の「60年償還ルール」の見直しが浮上しています。しかし、国債の償還ルールを見直しても1円の財源にもならず、国民負担を増やすだけです。(清水渡)
 国債の60年償還ルールとは、ある年に発行した一般会計の国債(赤字国債、建設国債)は、60年ですべて現金返済(償還)するという日本独自のルールです。
 10年で償還する国債を600億円発行した場合、満期を迎える10年目に100億円を現金で返済し、残りの500億円は借換債を発行して賄います。こうした手法を繰り返すことで60年後に全額を償還するとい「つイメージです。
◆裏付けなくても
「60年償還ルール」は、1966年度に建設国債の発行が始まったときにつくられました。建設国債で形成される資産の平均的な耐用年数を60年と見込んだからです。しかし、1985年度からは資産の裏付けのない赤字国債にも適用されることになりました。
 国債の償還と利払いなどのために、国債整理基金特別会計が設けられています。その財源は、一般会計や特別会計からの繰り入れ、保有株式の売却収入などです。
 赤字国債と建設国債を償還する財源は、一般会計に計上される国債費や毎年の決算剰余金の一部などです。60年での完済のために、国債残高の約60分の1にあたる1・6%を償還のために一般会計から特別会計に繰り入れることが法律で決まっています。2023年度予算案では、一般会計から債務償還費として特別会計に16・8兆円が繰り入れられます。
◆軍拡財源を捻出
 自民覚内で検討されている見直し案は、借換債の発行を増やして繰入額を減らし、軍拡財源を捻出しようということです。そのためには、償還期限の延長やルールを廃止する必要があります。
 一般会計からの繰入額を減らした場合、特別会計での借換債の発行が増え、国債残高が増えるため、国民負担が増加します。そもそも、今の政府予算は、新規国債を発行しながら、過去の国債の償還をしています。23年度予算案の一般会計歳入では、35・6兆円の新規国債を発行し、歳出では債務償還費として16・8兆円、利払費として8・5兆円を盛り込んでいます。借金で借金を返しているもとで、軍拡財源を増やせば、さらに借金が増えることになります。見直すべきは償還ルールではなく、無謀な軍拡そのものなのです。

【赤旗】2月16日<主張>税務相談停止命令―納税者の権利侵す法案 撤回を
 岸田文雄政権が国会に提出した所得税法等改定案の審議が始まりました。同法案には「税務相談停止命令制度」(命令制度)を創設する税理士法改定案が盛り込まれています。税理士でない者が税務相談を行った場合、財務相が相談の停止を命令できる内容です。命令を出すかどうかの質問検査権を国税庁・税務署に与えます。命令に従わなかったり、調査を拒否したりした場合は罰則があります。申告納税制度を骨抜きにする改定案を撤回させる世論を広げることが重要です。
◆違反者はネットで公表も
 違反者は、3年間インターネットで公表され官報でも公告されます。財務省は「SNSやインターネットで『節税コンサルタント』を名乗り、不特定多数に脱税を指南し手数料を取って行う」事例などの防止のためだと説明します。
 しかし、違反とする対象や範囲は無限定です。税務相談を行っている個人や団体が「納税義務の適正な実現に重要な影響を及ぼすおそれ」があると税務署員が判断したら調査することができるなど極めて恣意(しい)的な運用が可能です。
 誤った命令が行われた場合の救済措置も不十分です。財務省は不服申し立てや裁判ができると言いますが、誤りがあったことが認められるまでインターネット上でさらされ続けることになることはプライバシー権の侵害です。
 税務調査の際は、事前通知などの手続き規定がありますが、今回の命令制度について財務省は「事前通知は行わない」と回答しました。税理士を処分する際には行政手続法を適用し、聴聞や弁明の機会が与えられますが、その規定はありません。
 軍拡増税やインボイス制度、消費税増税に反対することや、税制について意見を述べたり異議を申し立てたりする個人や団体の活動を抑え込むために悪用される恐れもあります。憲法が保障する言論、集会・結社、表現の自由の侵害につながる大問題です。
 財務省は、停止命令の対象は「脱税や不正還付の指南を不特定多数に対して、広くあまねく行う行為」と繰り返し説明しています。それならば法律の条文で明確にすべきです。
 税理士法では税理士資格がない者が「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」を反復継続して行うことを禁じています。しかし、納税者同士が税金について学び、教え合う自主申告運動は税理士法違反にあたりません。税について誰もが相談に乗り、意見を交換するのは一般的で当然の権利です。
 イギリスには税務に関する国家資格はなく、家族、友人などに対する無償の税務代理は誰でも可能とされています。
 オーストラリアとアメリカでは民間や学生のボランティアが申告の相談に乗っています。
◆人権無視の徴税をやめよ
 日本の税務行政は、業者を倒産に追い込む差し押さえなど人権無視のやり方で、納税者の権利を著しく蹂躙(じゅうりん)しています。
 憲法の理念に基づき、人権を保障する「納税者権利憲章」の制定こそ必要です。経済協力開発機構(OECD)加盟の主要国のうち納税者権利憲章が制定されていないのは日本だけです。納税者の権利を保障する政治を実現することが急務です。

【東京新聞】2月17日<社説>安保法制判決 「軍拡ノー」の声に耳を
 「安保法制は違憲」と訴えた裁判で東京高裁は原告の求めを退けた。「台湾有事」などが語られ、軍事力拡大が既成事実化する現在だ。司法は戦争の危険性を直視して憲法判断に踏み込んでほしい。
 「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」の集会が八日、東京・永田町の衆院議員会館内で開かれ、法政大前総長の田中優子さんや東京大名誉教授の上野千鶴子さんらが次々とマイクを握った。
 「政府は戦争を回避する外交努力をしているのか」「戦時体制は生活を追い詰める」などと…。
 敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費倍増を明記した安保関連三文書が閣議決定された。岸田文雄内閣が打ち出す政策は軍拡路線である。それに抵抗して「女たちの会」が「軍拡予算は生活破壊だ」「子どもたちの未来に平和を」などと訴え、戦争を心配するのも当然の心情と受け止める。
 その起点となったのが、集団的自衛権の行使容認という憲法解釈の変更であり、それを受けた安全保障法制である。日本が攻撃されていないのに、他国軍のために自衛隊が出動する−。その差し止めを求めた訴訟で、「具体的危険性が立証されていない」などとして、東京高裁は訴えを退けた。
 同種の訴訟は全国で計二十五件あるが、原告敗訴が続いている。だが、他国の武力紛争に自衛隊が介入するのは明らかに憲法九条に基づく「専守防衛」の枠をはみ出していよう。憲法学者が「憲法解釈の変更に明白な違憲性が認められる」と意見書で述べているのに、高裁が「憲法判断を行う必要がない」と一刀両断し、「原告敗訴」とすることは疑問だ。
 司法が見逃せば、憲法秩序の荒廃が起きるからだ。さらに、いったん戦争が起これば、国民の生命や財産に不可逆的で甚大な被害が発生する。「具体的危険」や「法益侵害」が目に見えた時は、もはや手遅れといえる。
 仮に危険を確実に予測しえない場合でも「事前配慮原則」という考え方がある。例えば廃棄物を海洋投棄すれば、深刻な環境破壊が起きるから、予防的に国際条約で規制しているわけだ。
 専守防衛から明白に逸脱した現状に対しては、「事前配慮原則」に即して、能動的に司法権を行使するべきではないだろうか。裁判所こそ「軍拡ノー」の女性たちの声に耳を傾けるべきである。