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児童手当の所得制限 「反省」の中身こそ重要だ(「毎日」)、政府の子育て支援―本気で取り組む姿勢みえない(「赤旗」)、軍事協力「深化」 日米安保の変質を憂う(「東京」)
2023年2月4日
【毎日新聞】2月3日<社説>児童手当の所得制限 「反省」の中身こそ重要だ
 これでは何を反省しているのかわからない。
 開会中の通常国会で焦点の児童手当をめぐり、自民党が所得制限を訴えてきたことについて茂木敏充幹事長が「反省」を表明した。
 2010年に当時の民主党政権が、親の所得にかかわらず支給する「子ども手当」法案を国会に提出した。その際、「ばらまき」などと批判し、所得制限を強く主張したのが自民党だった。
 現行の児童手当は0歳から中学生までが対象で、年齢や子どもの数、親の所得によって支給額は異なる。昨年10月以降、一定以上の所得がある場合には支給されなくなった。
 茂木氏は、国会の代表質問で所得制限の撤廃を訴え、過去の制限要求についてテレビ番組で「反省します」と述べた。岸田文雄首相も「反省すべきは反省しないといけない」と同調した。
 問題の根底にあるのは、子育てについての考え方の違いだ。「基本的に家庭の責任」とみなす自民党に対し、立憲民主党などは「社会全体ですべての子どもを支える」との立場を取る。
 理念を転換したのか問われた岸田首相は「家族か社会かという二者択一論はとらない」と述べるにとどまった。反省の中身を説明しないまま撤廃姿勢だけを強調するのであれば、今春の統一地方選を意識したパフォーマンスと受け取られても仕方ない。
 そもそも子どもは、親の経済事情にかかわらず教育を受ける権利がある。すべての子育て世帯に給付するのは、家庭の子育てや教育の負担を公的に支えるためだ。親の所得によって子どもを分け隔てることがあってはならない。
 制限を撤廃した場合、金銭的に余裕のある家庭にも給付することになり、疑問視する声もある。
 しかし、子育て支援と格差是正は分けて考えるべきだ。
 児童手当とは別に、高所得者に応分の税負担を求めることで再分配を実現することが可能となる。
 子育て支援策は児童手当だけではない。産前・産後ケアの充実や、仕事と育児の両立支援など多岐にわたる。
 子どもを社会の中でどう位置づけるか。理念を明らかにした上で全体像を早急に示す必要がある。

【赤旗】2月3日<主張>政府の子育て支援―本気で取り組む姿勢みえない
 子ども子育て政策をめぐる岸田文雄政権の姿勢に国民が不信を強めています。施政方針演説(1月23日)で「最重要政策」と表明しながら、具体策をほとんど語らず、子育て世代が切望している教育費軽減の課題は抜け落ちました。
 国会での質疑でも、児童手当の所得制限撤廃について従来の反対した立場を改めるのか明言しません。産休・育児休業中にリスキリング(学び直し)対策を強めるとの答弁を行い、「実情が分かっているのか」と厳しい批判を浴びました。首相が強調する「次元の異なる少子化対策」の内実が厳しく問われています。
◆所得制限の撤廃は不可欠
 首相は1月4日の年頭記者会見で「異次元の少子化対策」を打ち出しました。基本的方向として(1)児童手当を中心にした経済的支援強化(2)子育て家庭を対象にしたサービスの拡充(3)働き方の改革―を示しました。しかし、施政方針演説では、中身は4月に発足する「こども家庭庁」で体系的にまとめるとして踏み込まず、予算の「倍増」を打ち出したものの、6月に決める骨太方針までに大枠を示すと先送りしました。岸田政権は大軍拡では5年間で43兆円と数字を示し、積極的に推進していることと比べ違いすぎます。政治の方向が根本的に間違っています。
 首相が課題に示した児童手当も方針は不明確です。自民党の茂木敏充幹事長は1月25日の衆院代表質問で所得制限の撤廃を求めました。これまで自民党は、子育ては親や家族が担うべきという主張にもとづき、児童手当の拡充や所得制限の撤廃にたいし「ばらまき政策」と猛烈に反対してきました。
 茂木氏の代表質問は、自民党の立場に道理がなかったことを浮き彫りにしています。茂木氏は同月29日のテレビ討論で「反省する」と述べましたが、自民党の妨害で多くの子育て世帯に経済的負担を強いてきたことは重大です。
 しかし、首相は茂木氏の代表質問は「一つの意見だ」として撤廃を明言しません。西村康稔経済産業相も1日の衆院予算委員会で、撤廃に否定的答弁をしました。子育てを親や家庭の「自己責任」としてきた立場に固執するのでなく、所得制限を撤廃し、支給対象も18歳まで引き上げるべきです。
 首相が産休・育休中の人へのリスキリングを「しっかりと後押ししていく」と答弁したことは、必死に子育てをしている人たちの思いとあまりにもかけ離れています。国民の怒りが集中し、「希望する人に」と弁明したものの、出産や子育てに対する無理解さを示した事実は消えません。
◆教育無償化を柱に据えよ
 政府の意識調査では、若い世代が最も重要な育児支援策と答えたのは「教育費の支援、軽減」で69・7%にも上っています。中心に据えるべき対策はここです。世界最高水準の学費、若者に借金を負わせる貧弱な奨学金制度などにこそ抜本的な改善のメスを入れなければなりません。学校給食は国の責任で無償化すべきです。
 日本を「少子化社会」にした根源の一つがジェンダー差別です。家父長制などを美化してきた自民党政権の下で女性の声が届かない政治が続いてきました。安心の子育て社会の実現に向け、ジェンダー平等を推進するための社会システムの改革・転換が急務です。

【東京新聞】1月13日<社説>軍事協力「深化」 日米安保の変質を憂う
 日米両国が外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、日本が保有する敵基地攻撃能力(反撃能力)の「効果的な運用に向けて日米間の協力を深化させる」ことで合意した。
 自衛隊は防衛力という「盾」、米軍は攻撃力という「矛」の役割を担ってきたが、自衛隊が打撃力の一部を肩代わりすれば憲法九条に基づく専守防衛は形骸化し、日米安保条約体制は変質する。
 自衛隊と米軍の一体化加速や日本の防衛費急増が地域の軍拡競争に拍車をかけ、地域の安定を損ねることにならないか憂慮する。
 2プラス2後に発表した共同文書で、日本は防衛費増額で防衛力を抜本的に強化する決意を表明。安保分野で「役割を拡大する」と記し、米側は日本の防衛費増額に「強い支持」を表明した。
 さらに文書は「宇宙での攻撃は同盟への明確な挑戦」と明言し、安保条約五条による米国の対日防衛義務の適用対象を宇宙に拡大することでも合意した。
 日米の軍事的一体化の加速や日本の打撃力強化の背景には、軍事的台頭を強める中国やミサイル発射を繰り返す北朝鮮、ウクライナ侵攻を続けるロシアをけん制する狙いがあるのだろう。
 国際情勢の変化に応じて日米安保条約体制の在り方を不断に見直すことは必要だとしても、軍事的な対応を強めるだけでは真の問題解決にはなるまい。
 共同文書には軍事面での対応が列挙されている。2プラス2は日米両国の外相も加わる枠組みであるにもかかわらず、中国などとの対話の在り方に言及していないのは、外交を軽視していると指摘されても仕方があるまい。
 民主主義国である日米両国と、共産党一党支配の下、習近平総書記への権力集中が進む中国とは基本的な価値観が異なるからこそ、対話を深化させる必要がある。
 台湾を巡る米中対立がエスカレートして、米中の軍事紛争に、日本が集団的自衛権を行使して「参戦」するような最悪の事態は絶対に回避せねばなるまい。
 共同文書は「日米同盟が地域の平和、安全および繁栄の礎」と位置付ける。日米安保条約体制が地域の「礎」であり続けるためにも軍事に偏らず、外交により困難を乗り越える知恵を国際社会に示すよう求めたい。それが緊張緩和に向けた第一歩になると信ずる。