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「敵基地攻撃、際限のない撃ち合いに」柳沢協二・元官房副長官補が語る(「東京新聞」30日)、軍事費GDP2%―暮らしをつぶす大軍拡許すな(「赤旗」30日)
2022年12月4日
【東京新聞】11月30日 「敵基地攻撃、際限のない撃ち合いに」柳沢協二・元官房副長官補が語る 「国民に被害及ぶ恐れ」伝える必要
 岸田政権が年内の決定を目指し、敵基地攻撃能力保有の議論を進めている。評価や懸念を柳沢協二・元内閣官房副長官補に聞いた連載企画「崩れゆく専守防衛」の特別編。(川田篤志)

 ―敵基地攻撃能力を保有することの問題点は。
 「最大の問題は、日本を狙う攻撃の着手を事前に認定できても、たたけば結果として日本が先に相手の本土を攻撃する構図になることだ。国際法上は先制攻撃ではないとの理屈でも、相手に日本本土を攻撃する大義名分を与えてしまう。確実に戦争を拡大させ、際限のないミサイルの撃ち合いに発展する」
 ―政府は迎撃ミサイル防衛には限界があり、反撃能力が必要だと説明する。
 「中国や北朝鮮は相当数のミサイル施設があり、一気につぶせなければ日本が報復される。相手を脅して攻撃を思いとどまらせる『抑止力』についても、軍事大国の中国に対し、ちょっとした敵基地攻撃能力を持っても抑止できるとは思えず、反撃を受けた場合の民間人防護の議論もない。論理として完結していない」
 ―専守防衛を維持しつつ保有することは可能か。
 「専守防衛とは日本は国土防衛に徹し、相手の本土に被害を与えるような脅威にならないと伝え、日本を攻撃する口実を与えない防衛戦略だ。敵基地攻撃能力を持てば、それが完全に崩れて専守防衛は有名無実化する」
 ―日本が取るべき道は。
 「力には力で対抗する抑止の発想では、最終的に核武装まで行き着いてしまい、その論理は正しい答えではない。日本は国土が狭く、食料やエネルギーなどを全て自給できず、海外とつながらなければ生きていけない。少子化も進み、戦争を得意とする国ではない。武力強化ではなく、戦争を防ぐ新たな国際ルール作りに向け、もっと外交で汗をかかなければいけない」
 ―世論調査では保有に理解を示す意見も多い。
 「ロシアによるウクライナ侵攻や台湾を巡る米中の緊張状態、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮など、安保環境は間違いなく厳しさを増している。国民に戦争への不安が広がるのは当たり前とも言えるが、敵基地攻撃という戦争に備える政策を選ぶのなら、国民にも被害が及ぶ恐れがあると政治家が伝えなければいけない。相手への攻撃ばかり注目されているが、日本も確実にミサイルを撃たれる。国民全体が戦争に耐え抜く思いになっているか疑問で、国民に都合の悪い事実を伝えていない」
 ―ウクライナから日本が学ぶことは。
 「ウクライナがなぜロシア本土に反撃しないかというと、攻撃すれば核も含めたより強力な反撃をされる口実を与えかねないからだ。軍事大国を相手にした戦争では、相手と同じことをしてはいけない」

【赤旗】11月30日<主張>軍事費GDP2%―暮らしをつぶす大軍拡許すな
 岸田文雄首相が28日、軍事費を今後5年以内に大きく増やし、2027年度に関連経費と合わせ、国内総生産(GDP)比で2%にするよう浜田靖一防衛相と鈴木俊一財務相に指示しました。これまで軍事費はGDP比1%程度の水準が続いていましたが、2倍近い大軍拡となります。首相は、将来にわたり軍事費を維持・強化するための財源を確保する措置を年末に決定することも求めました。国民の暮らし関連予算の削減、所得税や消費税などの大増税に道を開くものです。
◆軍事国家づくり狙う
 首相は浜田、鈴木両氏に対し▽「防衛力」の抜本的強化の中核となる「防衛費」について5年以内に緊急的に強化を進める必要がある▽27年度に「防衛費」と補完する取り組み(関連経費)を合わせ、現在のGDPの2%に達するよう予算措置を講じる▽「防衛力」は27年度以降も維持・強化していく必要があり、これを安定的に支えるためのしっかりとした財源措置が不可欠である▽23年度から27年度まで5年間の「中期防衛力整備計画」の予算規模と歳出・歳入両面での財源確保の措置を年末に一体的に決定する―と伝えました。
 首相が「防衛費」増額の具体的水準を示したのは初めてです。
 防衛省所管の「防衛費」に新たに加算する関連経費は、首相が設置した有識者会議の報告書が示した「総合的な防衛体制の強化に資する経費」が中心になるとみられます。具体的には、科学技術、公共インフラ、サイバー安全保障、国際的協力の4分野で、これまで他省庁の予算とされてきたものです。このほか、海上保安庁の予算なども加えるとされます。
 現在のGDPの2%はおよそ11兆円に上ります。22年度当初予算の「防衛費」は約5兆4000億円です。関連経費を合算したとしてもGDP比2%を実現するには、約5兆6000億円の増額が必要になります。「防衛費」そのものの大幅増は避けられません。
 しかも、関連経費は、科学技術の分野では、軍事力強化につながる研究開発を政府と大学、民間機関が一体となって推進するためのものです。公共インフラは、沖縄県など南西地域(特に宮古、石垣など先島諸島)の空港・港湾を自衛隊などが軍事利用できるようにするための経費です。軍事優先の国家づくりが狙いです。
 首相は指示の中で、財源に関し「まずは歳出改革」とした上で、歳入面で「安定財源」の必要性を強調しました。有識者会議の報告書は「幅広い税目による(国民)負担が必要」としつつ、法人税を上げることについては「企業の努力に水を差すことのないよう」にと配慮の姿勢を示しています。個人所得税や、さらには消費税の増税につながる恐れが大です。
◆日本を危険にさらす
 首相が指示した「防衛費」増の中心となるのは、相手国のミサイル発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有です。「抑止力の強化」が口実ですが、日本が他国を攻撃する能力を持てば相手国はそれを上回る攻撃力を持とうとし、無限の軍拡競争を招くだけです。「抑止」が破綻すれば被害はいっそう甚大になります。
 国民の暮らしを押しつぶし、日本を危険にさらす大軍拡は決して許されません。