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インボイス制度導入で声優たちが悲鳴(10月26日「東京」、日比谷の反対集会に1200人 声優やアニメーターら切実(同27日)、(連載)円安時代①、②、③(「赤旗」26,27,28日)
2022年10月29日
【東京新聞】10月26日 インボイス制度導入で声優たちが悲鳴「2割強が廃業するかも」 #私がSTOPインボイスの声をあげる理由
 2023年10月から事業者を対象に始まる消費税の新ルール「インボイス制度」。これが導入されると「声優の2割強が廃業するかもしれない」というアンケートの結果が、東京新聞「ニュースあなた発」に届いた。調査した声優の有志団体「VOICTION」は導入中止を強く求めている。なぜ声を上げたのか。(小川慎一)
◆7割以上が年収300万円以下
 「インボイスが始まれば業界全体が大打撃を受けてしまう」。人気アニメ「SPY×FAMILY」でシルヴィア・シャーウッド役を演じる甲斐田裕子さん(42)はそう切り出した。
 インボイスは事業者が国に消費税を納める際、仕入れにかかった消費税を差し引く「仕入れ税額控除」に使われる請求書などの文書だ。新ルールでは事業者は、税務署に登録申請して発行される番号を文書に記載しないと、控除に使える請求書として認められない。
 有志団体は制度導入の影響を把握しようと、9月に声優の収入実態などを調べるアンケートを実施(有効回答延べ443人)。回答者の72%が年収300万円以下で、消費税の免税事業者の条件である年収1000万円以下は95%に上った。
 仕入れ税額控除を受けるには、仕入れ先からインボイスを発行してもらう必要がある。だが、発行できるのは消費税を納めている課税事業者のみ。免税事業者はインボイスを発行できないため、仕事を発注する所属事務所などは税負担が増すことになる。
◆「結果的に業界が衰退」
 アンケートでは取引先から「インボイスがない場合、今後取引できない」「課税事業者にならないとギャラを値引きする」と圧力がかかっている実態も浮かんだ。仕事への影響も「減ると思う」が53%、「廃業するかもしれない」が23%と、厳しい予想が多かった。
 声優だけではなく、フリーランスのアニメーターなど多くの個人事業主らがインボイス発行の選択を迫られているが、免税事業者のままなら収入は10%減、課税事業者でも5%は減ると見込まれる。ベテラン声優の咲野さくや俊介さん(57)は「課税事業者になっても控除手続きの事務作業にかなりの時間がかかり、若い人は税理士を雇えない。映画を見たりして仕事の糧にすることができず、結果的に業界の衰退につながる」と懸念する。
 三密(密閉、密集、密接)の声優の仕事は新型コロナウイルス禍で激変し、分散収録が当たり前となり、ベテランと若手が会う機会が減った。長引く不景気で制作費も減り、ギャラの最低ランク「1本1万5000円」が20年以上変わっておらず、「声優の使い捨て」が問題になっている。
 8月にできたばかりのVOICTIONは、政党への陳情など積極的に動く。日本の芸能界では、政府が進める制度に名前を出して反対することはめったにない。芸歴11年の福宮あやのさん(39)は「仕事のチャンスがなくなるのではという怖さはある」と話す。
 甲斐田さんも「名前を出すのはめちゃくちゃ怖い。仕事を振れなくなっちゃうよと言われ、匿名のまま参加している人もいる」と明かす。それでも「新制度が始まれば衰退する未来が見える。業界、文化を守りたい」と意を決して声を上げ続ける。
【関連記事】消費税 インボイス制度、23年開始 免税事業者、募る不安 取引厳しく?税負担増?
◆26日に日比谷野音でSTOP!インボイス集会
 インボイス制度を考えるフリーランスの会は26日午後6時半から、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂(野音)で抗議集会「STOP!インボイス」を開く。入場無料、当日の様子は動画配信サイト「ユーチューブ」で生配信する。甲斐田さんや咲野さんらがゲストスピーカーとして参加する。
【東京新聞】10月27日 インボイス制度、日比谷の反対集会に1200人 声優やアニメーターら切実「いじめっ子のやること」
 消費税の新ルール「インボイス制度」に反対する声優やアニメーターらが26日夜、東京・日比谷野外音楽堂で集会を開いた。影響を大きく受ける個人事業主を中心に約1200人が参加し「ストップ、インボイス」と導入中止を訴えた。(小川慎一)
 集会発起人でフリーライターの小泉なつみさんは「インボイス制度は税率を変えない消費税の増税。弱い人に負担を押しつける。国がやることではなく、いじめっ子がやることだ」と指摘。「ネットワークのない個人同士が声を上げて政治を変える壮大なチャレンジ。声を届けていくことを続けよう」と呼びかけた。集会には、野党の国会議員も駆けつけた。
 インボイスは事業者が消費税を納める際、経費などにかかった消費税の控除に必要な請求書。来年10月から始まる新ルールでは、税務署に登録して発行される番号を請求書に記載しないと、控除に使えない。
 年間売り上げが1000万円以下の事業者は消費税の納税が免除されているが、インボイスが発行できない。このため取引先から、消費税の納税義務を負う課税事業者への切り替えを求められているが、報酬の手取りは減る。切り替えない場合には、取引先が報酬の引き下げを迫る実態もある。
 本紙「ニュースあなた発」には、声優の有志団体「VOICTION」から制度導入で「声優の2割強が廃業するかもしれない」という切実な訴えが届いていた。

【赤旗】10月26日 円安時代①―自ら「日本売り」招く―輸出産業支援の失敗
 円安の流れが止まりません。対ドルの円相場は年初から約30%も下落(1㌦=l15円→149円)しています。日本人の対外購買力が低下し、輸入品価格が為替要因だけで30%上がる計算です。円安急進の背景には金融政策の混迷に加え、日本経済の耀造的弱点があります。
 9月の輸入物価(円ベース)は円安を最大の要因として前年同月比48%上がりました。国内物価への波及も進み、消費者物価(生鮮食品を除く総合指数)は3%上昇しました。円安が業績に悪影響を及ぼすと答えた企業は6割超(帝国データバンク調べ)に達しています。
 国民生活と経済にもたらす異常円安の弊害は深刻なのに、岸田文雄政権は円安指向のアベノミクスにとらわれたままです。対応は混迷を極めています。
 9月22日に政府・日銀は24年ぶりの「ドル売り・円買い介入」に踏み切りました。しかし効果は続きません。10月21日に再度介入したとみられますが、円安基調は変わらず、1㌦=l49円台まで下落しています。
 金利の低い円を売ってドルを買う流れを支えているのは日銀自身です。米連邦準備制度理事会(FRB)が物価抑制のために利上げを進める一方、日銀は低金利政策に固執し、日米の金利差が拡大する見通しだからです。
 黒田東彦日銀総裁は今後2~3年間「金利を引き上げるようなことはない」(9月22日の記者会見)と断言し、円安急進のきっかけをつくりました。岸田文雄首相も「円安メリットを生かした経済構造の強靭化を進める」(10月3日の所信表明演説)と述べ、円安圧力にお手上げの状態です。10年近く続けたアベノミクスの金融緩和政策から脱却する道筋を描けない政府・日銀の失態が異常円安と物価高騰を招いています。
 現在の「円売り・日本売り」の根底には金融政策の行き詰まりだけでなく、日本経済の構造的な弱さがあります。それを生み出したのも自民・公明党政権の間違った政策です。
 「為替レートの決定要因は主に四つ」だと国際経済研究者の木原隆氏は話します。
 ①インフレ率(商品量に比べて貨幣量が多くインフレ率の高い国の通貨は安くなる)②貿易収支(赤字の国の通貨は安くなる)③金融政策(金利の低い国の通貨は安くなる)④政治的要因(信用の低い国の通貨は安くなる)―です。
 「このうち②と③が現在の円安の原因だと考えられます。短期的には金融政策の方向性が決定的ですが、長期的には貿易収支の状況が重要です」
 9月の貿易収支は2兆940億円の赤字でした。単月の赤字は14カ月連続です。2022年度上半期(4~9月)の貿易収支は11兆75億円もの赤字でした。半期の赤字として比較可能な1979年度以降で最大です。輸入額が輸出額を上回る貿易赤字の拡大は円売り・ドル買い取引の増加を意味します。
 長期的には鉱物性燃料(石炭、石油、天然ガスなど)や繊維・衣類の赤字が膨らみ、電気機器の黒字が縮小しています。
 中央大学の村上研一教授は「貿易赤字拡大の一方の要因は燃料輸入額の増大ですが、他方の要因は国内供給力の衰退です」と指摘します。「輸出産業は海外に生産拠点を移転し、空洞化しました。国内の製造業生産能力が減衰したために輸出額が落ち込んでいるのです。輸出産業支援に主眼を置いたアベノミクスの失敗です」(つづく)

【赤旗】10月27日 円安時代②―海外移転で国内が衰退
 日本経済の構造は過去20年ほどの間に大きく変わりました。国内生産が衰退し、貿易赤字が拡大しました。とりわけ深刻なのが、かつて輸出産業の花形だった電気機器製造業の落ち込みです。
◆黒字額が急減
 電気機器の貿易黒字は2007年、7・6兆円にのぼりました。ところが09年以降、黒字額が急減し、20年には1・5兆円に縮小しています。その主因は、パソコン、携帯電話(スマートフォン)、テレビ製造業の海外移転と衰退です。
 パソコンなどの電算機類は2000年代以降、坂道を転げ落ちるよつに貿易赤字を拡大しました。低賃金の中国に生産拠点を移した米国メーカーや中国メーカーの激安商品が売り上げを伸ばし、一部の日本メーカーも生産を海外へ移転したためです。
 携帯電話などの通信機の転機となったのは米アップル社がアイフォーンを発売した07年です。日本メーカーはスマホ開発に乗り遅れ、中国で組み立てられたアイフォーンに市場を奪われました。
 大幅な貿易黒字を誇ったテレビなどの音響映像機器も、10年代に貿易赤字に転落しました。中国・韓国メーカーとの低価格競争に敗れたシャープが経営危機に陥り、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入った16年以降、赤字幅が拡大しています。シャープは国内工場での生産を次々に打ち切り、海外移転を進めました。
 日本の中核産業である自動車(輸送用機器)も、国内生産に目を向けると芳しくありません。08年のリーマン・ショックで生産・輸出が急減した後、海外生産はうなぎ登りに増えたのに、国内生産と輸出は以前の水準を回復していません。海外生産の拡大に伴って伸びていた部品輸出も低迷しています。 
◆新興国の台頭
 中央大学の村上研一教授はこうした構造変化の背景に新興国の台頭があるといいます。
 「巨大な人口を抱える中国などの新興国は低賃金の生産拠点として急成長するとともに、世界の主要市場として台頭しました。新興国の所得水準は欧米諸国より低く、質が悪くても安い商品でなければ売れませんでした。日本メーカーは10年代、サプライチェーン(供給網)ごと海外展開し、低品質・低価格の部品を現地で調達するようになりました。その後、新興国内の技術が急速に向上し、質のよい部品を安価に調達できるようになっています。『組み立て工程を海外移転しても部品輸出が進むので国内産業は空洞化しない』という議論は成り立たなくなっています」
 低賃金・低税率を求めて世界を飛び回る多国籍企業の競争の中で、日本の製造業は空洞化しました。国内の賃金は低迷して内需が冷え込み、内需産業も縮小再生産を余儀なくされました。(つづく)

【赤旗】10月28日 円安時代③―異次元の自国窮乏化策 
 「私の話で円は安くなり、株価は上がり続けている」
 総選挙を目前に控えて舌戦が熱を帯びた2012年末、「無制限の金融緩和」を掲げる安倍晋三自民党総裁(当時)は、狙いが円安誘導にあることをあけすけに語っていました。
 当時、安倍氏の発言を詳報した「朝日」(12年11月20日付)はこう解説しています。「金融緩和をすれば円の金利が下がるので、円は売られやすくなる」。「円高に苦しむ日本の輸出産業が息を吹き返し、景気も良くなるとの見方が株高を誘う」
 「輪転機をぐるぐる回して、日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう(安倍氏)という「異次元金融緩和」の眼目は、円安誘導による輸出大企業支援にあったのです。しかし、アベノミクスで日本の産業が息を吹き返すことはありませんでした。
◆給与は伸びず
 第2次安倍政権が発足した12年12月26日から今年10月26日までの間に、円相場は約73%も下落(1㌦85円→147円)しています。大企業の利益と株主配当は急増し、内部留保も積みあがりました。
 ところが、従業員給与と設備投資は全く伸びず、国内経済の好循環は起きていません。製造業では日本企業の海外現地法人が増える一方、国内企業数と従業員数は減り続けました。 
 大企業が円安で利益を増やす経路は二通りあるからです。
 第一は、日本で製造した商品を海外に輸出する経路です。1㌦=100円が1㌦=150円になれば、同じ1㌦で売っても円での受取額は50円増えます。商品を値下げして販売数量を増やせば、国内生産が拡大し、雇用や賃金に波及します。
 第二は、海外子会社が製造・販売して得た利益を円換算し、親会社の通結業績に組み込む経路です。円安になれば円換算額が増えるので、親会社の業績が向上します。増えた利益を親会社が配当に回し、株価が上がれば、株主は多大な恩恵を受けます。しかし、国内生産は増えず、雇用や賃金にも波及しません。
 アベノミクスの下では、主に第二の経路で大企業と株主の利益が膨張したと考えられます。「結局アベノミクスとは、自国窮乏化政策なのです」と中央大学の村上研一教授は指摘します。
◆空洞化を無視
 「安倍自公政権は、製造業が空洞化して産業構造が変容していることを見過ごし、輸出大企業支援という従来型の発想で円安政策を推し進めました。輸出は伸びず、賃金が低迷したまま、輸入物価が高騰しました。さらに、法人税減税と消費税増税、労働法制改悪、社会保障費抑制を通じて大企業のコスト削減を図り、国民の実質所得を低下させました。国民の生活水準低下は、内需産業の縮小と輸出製造業の空洞化をいっそう促進しました」
 アベノミクスという名の時代錯誤の輸出大企業支援政策が、異次元の自国窮乏化を招いています。(つづく)