2023年度予算 概算要求の焦点―軍事費(「赤旗」)
2022年9月24日
【赤旗】9月23日 2023年度概算要求の焦点―軍事費―金額示さず膨張青天井
2023 年度の軍事費は青天井で要求されています。概算要求で明らかになっているだけでも総額で5 兆5947億円と、過去最大だった22年度当初予算を約2000億円上回りました。前年度を上回るのは13年度から11年連続で、9年連続で過去最大を更新しました。金額を一切示さない「事項要求」が多数盛り込まれ、これまで示してきた各装備品の調達数や物件費などの内訳に加え、自衛隊員の定数までも明らかにせず、積算根拠を隠すという前代未聞の事態です。
◆GDP2 %念頭
岸田文雄首相は5月の日米首脳会談で、国内総生産(GDP)比2%を念頭に軍事費の「相当な増額」を対米公約し、6月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でも大軍拡を宣言。国民が苦しむ物価高騰対策には背を向け、青天井に軍事費を膨張させる姿勢をむき出しにしています。
違憲の敵基地攻撃能力につながる「スタンド・オフ・防衛能力」を「事項要求」の対象とし、射程を現在の百数十㌔から100O㌔程度に延ばす「12式地対艦誘導弾」(地発型)の量産化に初めて着手。また、大気圏内を超音速滑空・攻撃可能な「高速滑空弾」(早期装備型)の量産や、F15戦闘機に搭載するスタンド・オフ・ミサイル「JASSM」の取得もあげました。
◆日本の戦禍想定
さらに突出して増大したのが、新たなツケ払いである「新規後年度負担」です。高額兵器を複数年度にわたって支払い、翌年度以降に計上する軍事ローンで、23年度は22年度比で19%増の2兆9351億円で過去最大となりました。
対中国を念頭に、沖縄本島への地対艦ミサイル部隊の配備計画を示し、陸自勝連(かつれん)分屯地(うるま市)への配備が想定されています。宮古島、石垣島、鹿児島県の奄美大島には既に地対艦ミサイル部隊の配備が進められており、沖縄が再び戦火に巻き込まれる危険が高まっています。
具体的な戦闘戦を想定し、12地対艦誘導弾など弾薬の製造体制の確保、スタンド・オフ・ミサイルなどを保管する火薬庫の整備費、さらに司令部の地下化や、被害を受けた滑走路を復旧する機材も明示。対中戦争に米軍と参戦し、日本に戦禍が呼び込まれることを想定したものです。
(お断り―長文(9回連載)のため、連載第1回の〝概要〟(税財政)と今回の〝軍事費〟のみの掲載です)