2023年度予算 概算要求の焦点―税財政(「赤旗」)
2022年9月22日
【赤旗】9月13日 2023年度予算 概算要求の焦点―「税財政」―生活苦の中 軍事費大幅増―消費税減税には背
2023 年度予算編成に向けた各省庁からの概算要求と「税制改正」要望が8月末に出そろいました。岸田文雄首相が本格的に編成する初の予算となります。特徴をみました。
23年度の概算要求の一般会計総額は110兆484億円で22年度に次いで過去2番目の水準です。100兆円を超えるのは9年連続。軍事費や物価高対策、経済安全保障など幅広い分野で金額を示さない「事項要求」が多数盛り込まれており、年末に閣議決定する当初予算案は歳出総額が11年連続で過去最大を上回ることは確実です。
◆「敵基地攻撃」も
新型コロナウイルス感染拡大の第7波が猛威をふるい、加えて物価高騰で国民生活が危機に直面するもとでの予算編成です。しか
し、軍事費を大幅に増大させる一方、社会保障など国民生活を支える予算は抑制します。
軍事費について自民党が参院選で「GDP(国内総生産)比目標(2%以上)も念頭」に抜本強化すると公約したことを受け、岸田首相は「相当な増額」を表明しました。こうしたもとで、防衛省は過去最大の5兆5598億円を要求しました。さらに防衛省は100件超の事項要求を盛り込んだとしており、最終的には6兆円を超えるとみられます。事項要求には違憲の敵基地攻撃能力につながるスタンド・オフ・ミサイルの取得などを盛り込みました。
厚生労働省は一般会計で33兆2644億円を要求。年金・医療など高齢化に伴う自然増は5600億円を見込みます。例年、予算編成過程で自然増分は抑制されており、今年度も同様に進むとみられます。コロナ禍のもと、医療や介護の拡充が求められています。しかし、病床削減の促進や24年の介護保険制度改定に向け利用者負担増などが検討されています。
来年4月に創設予定の「こども家庭庁」の概算要求について、内閣官房は総額4兆7510億円になると発表。これまで厚生労働省や内閣府が担っていた子育て支援などが移管されます。
内閣府は沖縄振興費として2798億円を要求。これとは別に事項要求もありますが、沖縄県が要望していた3000億円は大幅に割り込む見通しです。中でも県が使途を決められる一括交付金は22年度概算要求から219億円減り、762億円となりました。
経済安全保障の実現の名目で、経済産業省は22年度比16億円増の78億円を要求。法務省は公安調査庁関係経費を22 年度比9・6億円増となる169億円を要求しました。この他、経済安全保障分野については内閣府が事項要求しています。
また、経産省は革新的な原子力技術開発支援事業として22年度比5億円増の17億円を要求。内閣官房は情報収集衛星(スパイ衛星)の開発・運用のために790億円を盛り込みました。
◆消費税減税に背
各省庁から23 年度税制「改正」要望も出されました。経済産業省は研究開発減税の拡充と延長を要望。240億円規模の減税を見込みます。またデジタル投資促進税制の延長・拡充も要望し、110億円規模となる見通し。大企業支援策の拡充です。一方、物価高騰対策として最も効果的な消曹一減税には背を向けています。(9回連載の第1回です)
<お断り―長期(9回)のため、概算要求の概要を記した第1回だけをご紹介します>