消費税をなくす全国の会です
住所
1991年6月29日結成
なくす会ロゴ

どんな会?
会報ノー消費税紹介
消費税Q&A
私の思い・私の怒り
ひろがる草の根
声の広場
声の広場から
あなたも消費税をなくす会に
入会のご案内
運動グッズ紹介
ビラ・署名用紙・学習資料(PDF)
私たちの見解・方針
草の根交流ニュース
白書が描く経済―物価高騰、エネルギー(「赤旗」)
2022年8月15日
【赤旗】8月9日 白書が描く経済―物価高騰―中小企業7 割が利益減
 各省庁から2022年版の白書が刊行され始めています。政治や経済などの実態と、政府の政策を紹介する白書が日本経済の直面する課題をどう描くのか、迫ります。

 物価高騰が日本経済を襲っています。経済産業省「通商白書」は「世界的な供給制約の高まり」のあらわれとして物価高騰に触れています。
 通商白書は物価高騰の要因として、第一に新型コロナウイルス感染拡大の影響をあげます。「ロックダウン等の感染拡大防止のための行動制限、渡航・移動制限といった対策に起因する経済の停滞や人手不足による影響のみならず、大規模な財政措置による急激な需要喚起もあいまって、物流の遅延や価格の高騰を招いている」食料に関しては天候要因も指摘し、「世界各地での豪雨、ハリケーン、寒波、干ばつ等の異常気象によって資源・食料等の不足や不作が起き、食料価格の上昇も見られる」と述べています。
 これらに拍車をかけたのがロシアによるウクライナ侵略です。「ロシアやウクライナは一部の資源やエネルギーの主要な供給国であることから、世界全体での供給量に直接与える影響は大きい」
◆為替相場変動
 同時に日本では為替相場の変動が物価高騰をさらに深刻にしています。通商白書は「足下では円安ドル高の状況が続いており、我が国にとっての資源・エネルギーを含む製品の輸入価格が押し上げられている」と指摘します。ただ、この円安を生み出している日銀の異次元緩和についてはなにも触れません。
 物価高騰が国内産業にどのような影響を与えるのか。経済産業省「ものづくり白書」は企業へのアンケートから営業利益の減少要因を分析。「売上原価の上昇」(52・9%)、「コストの増加」(22・9%)などが上位にきていることを紹介しています。 
 企業にとって原材料の高騰を価格転嫁することは経営を左右する問題です。ものづくり白書は「上昇したコスト等の適切な転嫁対策を進めるべく『パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ』を取りまとめた」などの対策を紹介します。
◆企業努力のみ
 一方、中小企業庁「中小企業白書」は原油・石油製品の価格高騰によるコスト上昇分の価格転嫁について「まったく転嫁できていないとする割合は全体の約7割を占める」と指摘。さらに「コスト変動を価格転嫁できなかった際の対応」としてもっとも多かったのは「利益の減少(対応なし)」で、71・4%に上ることを紹介。多くの中小企業が価格転嫁できず、適切な対応も取れていないことが浮かび上がります。
 また、中小企業白書は取引価格や単価の交渉の機会のきっかけは「自社から提案する」「販売先・自社の双方から提案」が合わせて9割超となっているとして「交渉機会を設けるためには、自社から積極的に提案する姿勢が重要」と中小企業自身の努力に期待するだけです。
 資源・エネルギー庁「エネルギー白書」は世界的なエネルギー価格の高騰について天然ガス、石油、石炭などエネルギー源ごとに分析します。同時に中長期的な対応策として「原子力や石炭を含む化石資源に対する評価が見直される傾向にあります」などと言及。エネルギーの高騰や安定供給への不安につけ込んで、世界の流れに逆行する石炭火発と原発への依存を国民に押し付けるものです。

【赤旗】8月10日 白書が描く経済―エネルギー―価格高騰一過性でない
 ロシアのウクライナ侵略を機に、エネルギー資源を他国に依存する日本の姿が浮き彫りとなりました。経済産業省「エネルギー白書」は、世界的にエネルギー需給が逼迫(ひっぱく)する中、国内のエネルギー価格の上昇は「一過性のものにとどまらない可能性」があると指摘します。
◆資源依存大国
 「白書」によると、日本の石油や石炭などの一次エネルギー自給率は2020年にわずか11%でした。米国106 %、カナダ179%、英国75%、フランス55%、ドイツ35%、イタリア25%と主要7カ国(G7) の中でも突出して低くなっています。
 日本は原油および液化天然ガス(LNG)のほぼ全量を海外からの輸入に依存しています。特に、原油は91・7%を史東に頼っており、LNGも豪州やマレーシア、カタールといった特定の産ガス国から調達してきました。ロシアからの原油、LNGの輸入は、それぞれ日本の輸入量全体の3・6%、8・8%を占めます。
 「白書」はエネルギー資源の依存大国である日本の現状を「脆弱(ぜいじゃく)なエネルギー供給構造」だと指摘し、価格高騰問題を論じています。
 原油価格などの上昇に伴い、日本の国内企業物価は21年2月に前年同月から9・3%増えました。1980年12月の第2次石油危機(10・4%増)以来の歴史的な上昇率です。輸入物価(円ベース)も同34・0%増え、リーマン・ショック直前の08年8月以来の高水準を記録しました。
 ロシアのウクライナ侵略以降、22年3月の日本の電気代、ガス代、ガソリン代は19年1月と比べ約1~3割上昇しており、企業・家計への影響も決して小さくありません。
◆複合的な要因
 「白書」は、世界的なエネルギー価格高騰の背景には複合的な要因があると分析。具体的に、①上流投資不足②エネルギー消費量の回復③電力供給構造の変化④各国の電力需給逼迫⑤欧州の天然ガス貯蔵量減少―の5点を挙げています。
 脱炭素の流れを受け、14年以降、化石資源開発への投資が縮小しました。そんな中、新型コロナウイルスの感染が拡大。世界的な経済活動の停滞により、20年の世界の一次エネルギー消費量は4・5%減りました。第2次世界大戦後最大の減少です。その後、経済が回復し始めた21年を境に天然ガスをはじめとしたエネルギー需要が急増したため、需要に対して供給が追い付かない状態となりました。
 同時期、世界的に天候不順や災害が多発し風力や水力の発電量が低迷。穴埋めとして主に天然ガスの需要が増えました。日本も21年1月に寒波に見舞われ、燃料が不足して需給が逼迫、LNGと卸電力前日のスポット価格が高騰しました。
 そこへ追い打ちをかけたのが、ロシアによるウクライナへの侵略です。再生可能エネルギーを拡大しつつ調整弁として低炭素の天然ガスを使用してきた欧州にとって、ロシア依存が足かせとなり、需給が著しく逼迫し価格も大きく変動。世界的なエネルギー価格の高騰に拍車をかけています。
 「白書」は、「エネルギー価格が継続的に高い水準で推移すれば、製品価格の上昇と購買力の低下等を通じて、各国の経済活動の大きな足かせになるのみならず、政治・経済・社会にさらなる悪影響を及ぼしかねない」と警鐘を鳴らしています。