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物価高騰と亡国政権①、②(「赤旗」)
2022年6月25日
【赤旗】6月24日 物価高騰と亡国政権①
 アベノミクスを「堅持」する岸田文雄政権の下で急激な物価高が進んでいます。異次元金融緩和政策の問題点について、山田博文群馬大学名誉教授に寄稿してもらいました。

 アベノミクスの「第1の矢」は、円安と株高を引き起こす異次元金融緩和政策でした。円安は大企業の対外輸出を増大させ、海外投資から受け取る利子や配当金を増やします。
 株高は株式を大量に保有する大企業や内外投資家の資産を増やします。この10年で円は3割ほど安くなり、株価は3倍近く高くなりました。財界や内外の大口投資家は大歓迎しました。
 しかし、99%の国民や中小零細企業にとっては災いつづきで、先行きに亡国の懸念すら抱かれる事態です。
◆値上げラッシュ
 いま嵐のような値上げラッシュがつづいています。ウクライナ戦争や世界的なインフレーション(貨幣価値の減少による全般的な物価上昇)だけでなく、むしろ日本の半世紀ぶりの異常な円安こそ本当の原因です。3割ほど安くなった円の対外購買力は、エネルギー・資源・食料の多くを海外に依存する日本の輸入物価を高騰させたからです。
 円安で高騰した輸入物価は国内物価へ波及し、値上げラッシュとなって国民生活を直撃しています。4月に東京都区部の都市ガスは27・6%、電気は25・8%も高騰しました。
 帝国データバンクの調査では、円安で高騰した原材料費を回収するため、国内105社の食品メーカーは年内に1万789品目を平均で13%値上げする予定です。食料品の値上げは、年収200万円未満の働く貧困層1823万人や年金生活者4040万人の生存権(憲法25条)を脅かします。
 政府は、円安でもうけた輸出型大企業と大口の対外投資家の円安差益の還元策や、消費税の大幅減税を実行すべきです。
◆金利格差が拡大
 各国中央銀行は、2008年の金融危機後、国内総生産(GDP)の成長を上回る過剰な通貨を供給する金融緩和政策を実施し景気を刺激してきました。金融緩和のツケは新型コロナウイルス禍をきっかけに、世界で10%前後のインフレ・物価高をもたらしました。
 主要国はインフレ・物価高を抑え込むため、金利の引き上げなど金融引き締め政策へかじを切りました。中央銀行の本来の目的はインフレを防止する「物価の番人」だからです。15日、米連邦準備制度理事会(FRB)は27年ぶりに0・75%の大幅利上げで、政策金利を1・50~1・75%にしました。16日、イングランド銀行も政策金利を0・25%利上げし、13年ぶりの高水準の1・25%にしました。
 しかし日銀は16~17日の金融政策決定会合で、主要国最低のマイナス0・1%という政策金利に固執し、異次元金融緩和政策をつづける姿勢を鮮明にしました。各国との金利格差は拡大し、利益を求める世界のマネーは日本から高金利国へ逃避します。円安に拍車がかかり、輸入物価は高騰し、国内物価は今後も上昇します。
 欧米各国は、生活破壊の物価高にたたかいを挑むだけでなく、消費税(付加価値税)減税や公的資金援助で家計を助ける政策に打って出ています。
 しかし、岸田政権は減税など眼中にないばかりか、値上げラッシュの渦中で年金給付金を減らすなど、「やらずぶったくり」政権です。 所得の伸びが抑え込まれているのに値上げラッシュに直撃され、国民生活は泣き面に蜂の被害にあっています。
 岸田政権と黒田東彦日銀は、物価高を放置し、財界や内外の大口投資家が大歓迎する円安と株高誘導の異次元金融緩和政策をつづけています。その先には日本を滅ぼしかねない危機的事態が待っています。(つづく)(2回連載です)

【赤旗】6月25日 物価高騰と亡国政権②
 「日銀は政府の子会社だ」
 安倍晋三元首相は5月9日、大分市での会合で言い切りました。日銀の本来の目的は物価の番人としてインフレ・物価高を抑えることです。そのため政府や経済界などからの独立が必須の条件です。中央銀行の独立性を否!定した安倍元首相の発言は、驚くほど非常識な発言です。
 しかし、この発言は、戦前の政府と日銀の関係が現代日本にそっくり当てはまっていることについての正直な告白です。戦前の政府・軍部は当時の日銀を利用して戦費調達のための軍事国債を増発しました。
 財政と金融の一体的運営を宜言した2013年の安倍政権と日銀の「共同声明」以降、日銀は増発される国債の買い入れマシンとなりました。政府は無制限に国債を増発できる「打ち出の小づち」を手にしました。
◆政府債務の累増
 日銀の国債買い入れに支えられると、国債がほぼ無制限に増発できます。現代日本に累積した国債などの政府債務残高の水準は、国際通貨基金(IMF) によれば、対GDP(国内総生産)比で主要国の中で最悪の256・9%に達します。
 この水準は、軍事国債が日銀引き受けで増発され、終戦を迎えた1945 年の水準に匹敵します。当時の債務解消は、300倍をこえるハイパー・インフレと預金封鎖と新円への切り替えによる国民からの大収奪で実現しました。いま、この歴史の教訓に目を向ける必要があります。
 国債(国庫債券)は代表的な政府の借用証書です。今年度の一般会計では国債費(利払い費プラス元本償還費)として約25兆円が支出されました。国債費が最優先で支払われ、残りの予算が社会保障費などに向けられるので、後者の予算は削減されてきました。
 他方、増大する国債費の支払いのために新規の財源が必要とされ、消曹一の導入と増税が行われてきました。社会保険負担も増やされ、国民負担率は戦後最高の48・0%に達しました。
 国債を買い入れてきた日銀は、普通国債発行残高1004兆円の51%を保有するに至っています。日銀は、国債価格金利変動のるリヌクに直撃されます。それは円の信用不安、円安、円暴落となって輸入物価をつり上げ、国民生活を破壊する亡国のリスクです。
◆官製株高の危険
 異次元金融緩和政策の「異次元」とは、世界の主要中央銀行ではやらない株価対策のことです。日銀は午前の株価が前日より2%以上安くなると、午後に株式を買い支える株価対策を実施してきました。6月17日にも701億円を買いました。
 日銀の株価対策にも支えられ、日経平均株価はこの10年で3倍近く値上がりしました。官製株高です。ただ株価が3倍になっても日本のGDPはゼロ成長状態です。株高の恩恵はでく少数の株式保有層が享受しただけです。
 株価対策を担った日銀は36・5兆円の株式を買い入れ、保有しています。日経平均株価日鋳には株式の評価損が発生し、信用不安と円安を誘発します。
 アベノミクスの矛盾と破綻は多方面で極限に達しています。
 亡国の安倍=岸田政権は、最悪の「政府債務大国」なのに、軍事費を増額し、軍備を増強しています。どこにそんな財源があるのでしょうか。安倍氏らがあてにするのは、財源調達のために発行された国債を日銀が買い入れつづけることです。日銀は独立性を剥奪されて「政府の子会社」のように利用され、軍事予算など政府の一般会計の財源を提供しています。
 日銀の国債買い入れは軍事予算を倍増(自民党公約)するために必要とされているようです。軍事予算の増額に対応し、日米の軍需産業の軍事ビジネスが活発化しています。これは戦争に通じる亡国の道といえるでしょう。(おわり)