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物価高騰 日本経済の構造的繊点①―格差が拡大するもとで、②―アベノミクスの呪縛、③―輸入に依存するもろさ、④―海外移転で円の需要減(「赤旗」)
2022年5月2日
【赤旗】4月26日 物価高騰 日本経済の構造的繊点①―格差が拡大するもとで
 物価高騰が止まりません。帝国データバンクが実施した企業アンケートによると、64・7%の企業が主要商品やサービスの値上げを実施済み、あるいは実施予定だと回答しています。また、食品主要105 社を対象にした調査では4月14日までに累計6167品目で値上げが計画されています。物価高騰は「もろくて弱い」日本経済の構造的弱点を浮き彫りにしています。

 今回の物価高騰は食料品をはじめ、ガス・石油など日常生活に欠くことのできない必需品を中心としていることが特徴です。生活必需品の値上げは低所得者層ほど強烈な痛みを押し付けます。
◆労働者に犠牲
 富裕層に利益新自由主義、とりわけ2012年12月に発足した安倍晋三政権下でのアベノミクスは日本社会に格差拡大と貧困を押し付けてきました。アベノミクスの名でとられた政策はいずれも国民・労働者の犠牲で大企業・富裕層に莫大な利益を与えるものでした。
 大胆な金融緩和は円安と株高を引き起こし、一部の輸出大企業と大資産家を潤しました。米経済誌『フォーブス』が毎年公表して
いる長者番付によると、日本の上位10人が保有する総資産は、12年の4兆4126億円から、22年は12兆1389億円へと2・75倍に膨れ上がっています。
 また、大企業は経常利益を増やす一方で、設備投資や賃金を抑制。その結果、大企業の内部留保は12 年度の333・5兆円から20生度の466・8兆円へと133・3兆円も増加しました。
 一方で大企業の求めに応じて労働法制の改悪などがすすめられました。不安定雇用の労働者が増え、実質賃金は12年の年401万円から21年は同381万円へと20万円も減少しました。
◆消費税増税に加えてコロナ
 安倍政権が14年4月、19年10月と二度にわたって強行した消費税増税は格差を広げ、消費を冷え込ませました。加えて新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で飲食・宿泊、交通など対人サービス業に打撃を与えたほか、サプライチェーンの寸断により幅広い製造業で生産活動が止まりました。その矛盾は女性や非正規雇用など経済的に最も弱い部分に集中的に押し付けられたのです。社会保障の削減で毎年のように年金が削減されていることも暮らしと経済を悪化させました。
 この深刻な貧困と格差拡大のもとに、現在の物価高騰が襲いかかったのです。帝国データバンクの調査では、値上げを実施・予定している食料品メーカーの値上げ幅は平均11%。生活必需品の値上げは低所得者の生活に打撃を与え、格差をさらに拡大します。
 民間シンクタンクのみずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、22 年に予想される食料・エネルギー価格の上昇に伴う支出増の収入に対する割合は年間収入1000万円以上の世帯で0 ・5 % にとどまるのに対して、同300万円未満の世帯では1・8%にのぼります。(つづく)(4回連載です)

【赤旗】4月27日 物価高騰②―アベノミクスの呪縛
 円安が急速に進んでいます。物価抑制のために利上げに転じた世界の流れから日本は取り残され、円が激しく売られています。
◆投資マネーが日本から逃避
 3月7日に114円台だった対ドルの円相場は、4月20日に一時129円台まで下落しました。ひと月半ほどで約15円、円安が進みました。
 大きな要因は日米金利差の拡大です。長期金利の指標となる10年物国債の利回りをみると、米国では3月7日に1・7%台でしたが、4月20日に一時2・98%まで上昇しました。他方、日本では0・25%以下の低水準を維持しています。日米金利差は2・7博程度に拡大しました。
 金利の高い金融商品を求める投資マネーが日本から逃避して米国に向かい、ドル高円安が進んできました。
 長期金利が上昇しているのは米国だけではありません。主要7カ国(G7)の10年物国債利回りは、日本を除き、3月7日以降に0・651響上昇しています。日本だけがわずか0・1㌽の上昇にとどまっています。このため対ユーロの円相場も、3月7日の125円台から4月20日の138円台へ急落しました。
 円安は輸入物価を押し上げます。経済同友会の桜田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス社長)は3月29日の記者会見で「現在の(円安)水準が適切だとはとても思えない」と述べました。輸入コスト増が燃料高や原材料の価格上昇に拍車をかけ、コロナ禍で苦しむ運輸・飲食業をさらに圧迫していると指摘しました。
 日本と米欧の金利差が拡大してきた背景には金融政策の違いがあります。
 米連邦準備制度理事会(FRB)は物価の高騰を抑えるため、3月に政策金利を0・25%引き上げました。欧州中央銀行(ECB) も量的金融緩和の縮小を始めており、利上げを予定しています。イギリスの中央銀行(BOE)は昨年12月以降3回の利上げを行い、政策金利は現在0・75%になっています。
 他方、日銀はマイナス0・1%の政策金利に固執しています。10年物国債利回りを0・25%以下に抑えるため、10年物国債を利回り0・25%で無制限に買う「指し値オぺ」を実施してきました。そのうえ黒田東彦総裁が「(円安は)わが国経済にプラス」(3月22日の記者会見)と言い放ち、円安の火に油を注いできました。
◆政府経済政策全面的転換を
 日銀が混迷するのはアベノミクス(安倍晋「政権の経済政策)の呪縛にとらわれているからです。
 2%物価上昇をめざす異次元金融緩和の根底には〝経済低迷の原因はデフレなので日銀が大胆な金融緩和を採用して物価を上げれば経済は成長する〟という誤った理論があります。異次元緩和を9年間続けても日本経済は低成長から脱せず、日銀は自縄自縛に陥りました。「デフレは低成長の原因ではなく、結果」(白川方明前日銀総裁『中央銀行』)というのが真相だからです。
 日本を経済成長できない国にした元凶は、自公政権による誤った経済政策です。アベノミクスは雇用破壊・社会保障改悪・消費税増税という新自由主義政策を進めて国民の可処分所得を減らしました。新型コロナウイルス禍墜削から個人消費が落ち込んでいたため、欧米諸国と違い、ワクチン普及後も景気が急回復しませんでした。
 2021年通年の実質GDP(国内総生産)成長率(前年比)を比べると、米国は5・7%、欧州連合(EU)27カ国は5・3% の高水準でした。日本は1・6%にとどまり、置き去りにされています。
 日銀を自縄自縛から解き放ち、「物価の番人」としての役割を果たさせるためには、政府の経済政策を全面的に転換する必要があります。(つづく)

【赤旗】4月28日 物価高騰③―輸入に依存するもろさ
 ロシアのウクライナ侵略は、進行中の円安による輸入物価の上昇と相まって、食料、飼料、肥料、燃料などを輸入に依存する日本の脆弱(ぜいじゃく)性を浮かび上がらせました。
◆食料自給率は37%まで下落
 日本の食料自給率は史上最低の37・17%まで下落しています。ロシアのウクライナ侵略の影響で、食料の安定供給が懸念される事態も想定されます。
 穀物価格の国際的指標とされるシカゴ商品取引所(CBOT)で3月8日、小麦の先物価格が14年ぶりに史上最高値を更新しました。 世界の小麦需要が高まっているなかで、主要輸出国のカナダや米国などで天候不順のために収量が減少し、値上がりが続いていたところへ、ロシアのウクライナ侵略で供給不安が増幅したためです。両国だけで世界の小麦輸出量の約3割を占めているのです。
 政府は1日、輸入小麦の売り渡し価格を17・3%引き上げました。ウクライナ危機以前の国際価格の上昇を反映させたにすぎません。それでも、パン、麺類など食料品の値上げが相次いでいます。しかし、食料品の値上がりはこれにとどまる保証はありません。
国連食糧農業機関(FAO)が8日発表した世界の食料価格指数は3月、過去最高を更新しました。FAOの試算によると、ロシアとウクライナからの穀物の輸出の減少は、他の諸国の輸出余力では補いきれず、食料の国際価格が8522%上昇する恐れがあるとい
います。
 日本はロシアとウクライナから穀物をほとんど輸入していません。しかし、両国からの輸出が滞れば、輸入国の代替需要が日本の主な輸入相手国である米国やカナダ、オーストラリアなどへ向けられ、争奪戦も起きかねません。日本が買い負ける可能性も十分にあるのです。
 日本は、飼料穀物の多くを米国、ブラジル、オーストラリアなどからの輸入に頼っています。飼料自給率はわずか25%なのです。 飼料穀物の国際価格も上昇しています。
 使用割合の高いトウモロコシは、輸入の68%までを米国、19%をブラジルに依存しています。大麦も64%までをオーストラリアに依存しています。トウモロコシの国際価格は、中国における需要増加や南米産の作況悪化懸念などで上昇。その後、やや下がったものの、ウクライナ危機を受けてさらに高騰しています。トウモロコシの輸出ではウクライナが世界4 位(14・5%)です。ちなみに、大麦の輸出ではウクライナが1位(13%)、ロシアが2位(13%)です。
 日本が輸入する化学肥料の原料も値上がりが続いています。世界的に人口増加による食料需要の増加に伴い、食料増産のために化学肥料の需要が高まり、原料価格が上昇を続けていたところへ、ウクライナ危機の影響が加わりました。
 尿素の輸入は47%をマレーシア、37%を中国に依存しています。リン酸アンモニウムの輸入は90%までを中国1 国に頼っています。塩化カリウムは16%をロシアから、10%をベラルーシから輸入しており、経済制裁に伴い調達先の変更を迫られています。
◆石油価格上昇影響広範囲に
 石油製品価格の上昇と高止まりで、農業や漁業をはじめ、国民の営業と暮らしに深刻な影響が広範囲に出ています。
 新型コロナウイルス禍からの景気回復に伴う需要増で世界の原油価格が上昇に転じていたところへ、世界3位の産油国ロシアのウクライナ侵略と対口経済制裁で供給不安が高まりました。それに加えて、日本にとっては円安によって輸入価格が膨らみました。まさに「三重苦」です。政府は、石油元売り会社へ補助金を出して、卸値を抑制し、坐m価格の上昇を抑えようとしています。それでも、国際的にも国内的にも、石油の高止まりが続いています。(つづく)

【赤旗】4月29日 物価高騰④―海外移転で円の需要減
 物価高に拍車をかけている円安。その要因は日銀の金融緩和だけではありません。日本経済の構造変化によって円の実需が減少している、という要因が指摘されています。特に重大な変化は、大企業が生産拠点を海外に移転し、貿易収支を悪化させたことです。
 財貨(モノ)の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は今年3月、4124億円の赤字でした。8カ月連続のマイナスとなり、赤字基調が定着しています。2021年度の貿易収支も5兆3749億円の赤字でした。
 もともと2000年代半ばでろから世界的な需要の増加と供給の抑制によって原油やLNG(液化天然ガス)の輸入額は高止まりしてきました。そこへ新型コロナウイルス禍からの景気回復やロシアのウクライナ侵略、円安の進行が重なり、原油や右炭、LNGの輸入価格が高騰したことで貿易収支の赤字幅が拡大しました。
◆輸出促進効果移転で低下へ
 円安には輸出企業の価格競争力を高めて輸出を促す面がありますが、この効果は落ちています。大企業が生産拠点を海外に移転し、日本からの輸出数量が伸びづらくなったためです。製造業企業の子会社・孫会社による海外生産比率は19年度に37・2%に達しています(経済産業省「海外事業活動基本調査」)。他社への外部委託を含めれば、海外生産比率はさらに高まるとみられます。
 ニッセイ基礎研究所の上野剛志経済研究部上席エコノミストは、これらの要因によって「2000年代半ばでろまで10兆円前後の黒字を維持していた日本の貿易収支がこの10年程度はほぼゼロに落ち込み、外貨を円に交換する円転需要の減少につながった」(「まるわかり〝実質実効為替レート」)と指摘しています。
 他方、モノ・サービス・投資収益などの海外との取引の収支を合計した経常収支は大幅な黒字が続いてきました。企業の海外投資の増大に伴い、海外子会社からの配当金や証券投資の利子収入など「第1 次所得」が増えたためです。日本の海外での稼ぎを示す経常黒字は通常、外貨を売却して円に換金する需要を高めるため、円高を招くといわれています。
◆需要増えない「再投資収益」
 しかし「第1次所得」黒字額の14564% (21年度)を占める「再-投資収益」は、海外子会社などの内部留保として積み立てられたものであり、円の需要を増やしません。一方で企業の海外投資の活発化は、円を投資用の外貨に交換する需要を増大させるため、円の下落につながります。
 また、経常収支の黒字自体が急減しています。経常収支は昨年12月に2675億円の赤字となり、今年1月には赤字幅が1兆1964億円に拡大しました。原油高や円安で輸入額が増えた一方、輸出の回復が遅れ、訪日外国人の激減が続いたためです。経常収支には季節要因による波があり、2月には1兆6483億円の黒字に戻りましたが、黒字額は前年同月と比べ1兆2177 億円(42・5%) も減っています。
 上野氏は、①日本の低成長②日銀の金融緩和③企業の生産拠点の海外シフト④原油価格の高止まりという四つの要因で「円の実需が減少した」と結論付けています。
 このように、現在の円安には日本経済の構造的な弱点が現れています。低賃金労働力を目当てに生産拠点を海外移転し、国内の雇用・産業・経済を破壊してきた大企業の責任は重大です。「自由貿易」の推進や海外進出企業優遇税制によって製造業の空洞化を招いた自公政権の政策の転換が必要です。(おわり)(北川俊文、清水渡、杉本恒如が担当しました)