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9月期GDP マイナス―コロナ以前から続く後退局面(「赤旗日曜版」12月12日、半導体企業に巨額の税金ばらまき(「赤旗」12月11日)
2021年12月11日
【赤旗日曜版】12月12日<経済 これって何?>7―9月期GDP マイナス―コロナ以前から続く後退局面
 2021年759月期のGDP(国内総生産)の実質成長率は、前期比マイナス0・8%(年率に換算してマイナス3・0%)と大きく落ち込みました。(内閣府が11月15日に発表した1次速報)
 背景にあるのは新型コロナウイルスの感染拡大であり、「緊急事態宣言」の発令による経済活動の自粛などの影響です。これにより、同期の実質民間消費支出は前期比マイナス1・1%となり、GDPを0・6%引き下げました。
 ことしに入ってからのGDPの実質成長率は、1~3月期にマイナス1・1%となった後、4~6月期はプラス0・4%とやや持ち直していましたが、7~9月期は再び落ち込んでしまったわけです。
 昨年についても、GDPの実質成長率は、l~3月期、4~6月期とマイナスの後、7~9月期、10~12月期はプラスと四半期ごとの動きはプラスの期とマイナスの期が入り交じっています。コロナ禍がやや収まるとプラスになり、再び拡大し始めるとマイナスになる、の繰り返しです。
 ただし、もつ少し期間を長くとり、年単位でまとめてみますと、GDPの実質成長率は18年プラス0・6%の後、19年0・0%、コロナ禍発生の20年はマイナス4・6%、21年(1~9月までの前年比)はプラス2・2%とーつの流れが見えてきます。
 IMF(国際通貨基金)の「世界経済見通し」(21年10月)は、21年の日本経済のGDP実質成長率を2・4%と予測しています。
 しかし、プラス成長の予測に喜んではいられません。同じIMFの見通しでは、21年のGDP実質成長率を、アメリカ6・0%、ユーロ圏5・0%と見ており、日本のそれは、欧米先進国に比べ低いものと見られているのです。
 どうしてでしょうか。三つの理由が考えられます。
 一つは、1997年以来、日本の成長率は欧米諸国をおおむね下回るようになっており、その傾向を見通しに反映させたとみられることです。
 二つは、日本はコロナ禍発生以前から景気後退局面に入っており(19年のゼロ成長はその表れです)、そこからの脱出策が、いまだに何ら講じられていないことです。
 三つは、日本政府のコロナ禍対策が、これまで後手を踏んできたことからつかがえるように、あまり評価されていないことにあるのではないかと思われます。
 まずは、新型コロナ感染症の拡散防止に全力を挙げること(感染拡大の中で「GoTo」キャンペーンや東京オリンピック・パラリンピック開催の強行のような、コロナを軽視しての政策は二度と実施しないこと)、18年秋からの景気後退(その原因は安倍晋三内閣による2度の消費税増税です)、さらには長期停滞(その原因は働く人の賃金が上がらなくなっていることです)からの脱出策をきちんと講じることです。山家悠紀夫(やんベ・ゆきお暮らしと経済研究室主宰)

【赤旗】12月11日 半導体企業に巨額の税金ばらまき―対象数社、かつてない規模―岸田政権
 半導体を「戦略物資」と位置付ける岸田文雄政権は、国内での半導体製造拠点の建設を支援するための法案を臨時国会に提出しました。巨額の財政支援を本予算ではなく、補正予算案に計上し、臨時国会での成立を急いでいます。巨額の税金投入への国民的批判が広がる前に成立させようという意図があるかのようです。
◆短時間審議で
 法案は、特定高度情報通信技術活用システム開発供給導入促進法(5G 促進法)と、新エネルギー・産業技術総合開発機構法(NEDo法)の二つの法律の改定案です。
 改定案は、かつてない大規模な補助金を、わずか数社の半導体製造事業者に投入するためのものです。
 補助金の対象は、高速・大容量通信規格の第5 世代移動通信システム(5G)に対応できるような特定半導体を作る工場です。事業者が作成した施設整備計画を経済産業相が認定すれば、NEDO(ネド)につくる新たな基金から認定計画の実施にかかわる経費が補助される仕組みです。補助率は最大2分の1 。さらに、認定事業者に貸し付けを行う金融機関への利子補給も行います。
 認定基準には、半導体の一定期間以上の継続的な生産や、需給ひっぱく時の増産、技術に関する情報流出を防ぐ体制整備などが規定されています。具体的な生産期間は、法律には明記されておらず、省令で定めることになっています。事業者が違反した場合は、補助金の返還を求めることになります。しかし、違反した場合の罰金の定めはありません。
 政府は、2021年度補正予算案に基金向けの6170 億円を計上しました。認定の第1号は、台湾積体電路製造(TsMc)とソニーグループが計画する熊本県の工場と見込まれています。支援額は4000億円。残りの約2000億円は米マイクロン・テクノロジーとキオクシアホールディングスなどの工場の新増設費用への一部支援が候補として挙がっています。補助金支出の対象事業者はこく数社でしかありません。米マイクロン・テクノロジーは、公的資金の注入を受けつつ経営破綻したエルピーダメモリを買収した企業です。
◆経済政策の失敗
 日本の半導体産業は、80年代に売上高で世界の5 割を超えていました。ところが日本市場への外資系半導体のシェアを事実上20%以上にすることなどを取り決めた日米半導体協定をきっかけに衰退の道をたどりました。自民党政権は、公的資金の投入などを実施したものの、現在は10% に落ち込んでいます。日本の半導体産業の衰退は、自民党の経済政策の失策と企業の経営戦略の失敗の帰結です。
 岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実態が外資を含めた大企業への税金のばらまきだということが、いよいよはっきりしてきました。(金子豊弘)