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『新しい資本主義』の正体①、②、③、④(「赤旗」)
2021年11月20日
【赤旗】『新しい資本主義』の正体①―税金にたかる大企業
 岸田文雄政権の目玉政策、「新しい資本主義」。その実現に向けた「緊急提言」案が「新しい資本主義実現会議」で示されました。「新しい資本主義」の正体はなにか、提言案などから考ええまず。
 提言案は冒頭、「1980年代以降、短期の株主価値重視の傾向が強まり、中間層の伸ぴ悩みや格差の拡大、下請企業へのしわ寄せ、自然環境等への悪影響が生じている」と述べ、新自由主義への反省ポーズを示し、「持続可能な資本主義を構築していく」とします。 そのために必要なのが「成長と分配」であり、成長戦略ではとりわけ科学技術立国の推進が重要だと強調。その際、民間の技術開発などを「官が支援することを基本とする」としました。大企業のもうけを行政が税財政で支援するというまさに「たかり資本主義」です。
<財界戦略と符合>
 「科学技術立国の推進」で具体的にあげられているのが、社会のデジタル化やグリーン、バイオなど「先端科学技術」です。これらは経団連が昨年11月に策定した「新成長戦略」で「集中投資」すべきとされた分野と重なりります。 
 提言案は「ライフサイエンス分野の強化」として、新型コロナウイルスの経口薬について「国産の経口治療薬の研究開発を支援」「国による買い上げ」など極めて臭体的に記述します。新型コロナウイルス対応の飲み薬を開発している国内企業は中外製薬や塩野義製薬など。「新しい資本主義実現会議」の有識著構成員には塩墅義製薬の沢田拓子副社長が就任しており、自社の事業支援を政府文書に書き込ませたとみられても仕方ありません。
 「クリーンエネルギー技術の開発・実装」では、「再生可能エネルギーの導入拡大」うたいます。しかし、蓄電池の整備や余剰再工ネ電気による水素製造などが具体策となっており、再エネ電気を送電線に優先的に接続する原則の導入などは盛り込まれませんでした。むしろ「再生可能工ネルギーのみならず、原子力や水素などあらゆる選択肢を追求」するとしました。具体的には、高速炉開発や小型モジュール炉の実証など原子力利用を明記。結局、再エネ拡大を看板倒れにする「口先資本主義」です。 
<自動車に手厚く>
 提言案は自動重産業について、「国内で550万人の雇用を抱える」基幹産業ど強調。自動車の電動化推進を支援すると述べます。
 具体的にあげられているのが車載用電池の生産支援です。電池及ぴ電池材料の大規模生産拠点の国内立地を支援する」としました。
 国内白動車最大手のトヨタ自動車はこれまで、ガソリンと電気を併用するハイブリッド車を重視。電気自動車(EV)は製造しでいませんでした。しかし4月に15車種のEVを将来的に世界販売すると発表(10月に販売時期を22年中と公表)。9月には電池の開発と供給に対し、2030年までに累積1・5兆円を投資すると表明しました。提言案の車載電池生産支援はトヨタの動きとも符合します。
 さらに、提言案は「電気自動車・燃料自動車等の購入を支援する」としました。生産から販売まで国が税財政で自動車産業を手厚く支援する方針です。(つづく)(4 回連載です)

【赤旗】11月18日 『新しい資本主義』の正体② 「国民監視社会」に道
 岸田文雄政権は「広く関係者の幸せにつながる」「持続可能な資本主義を構築」するといいながら、その実、大企業の利益を最優先にしています。とりわけ危険なのは、医療・介護・教育などの「準公共分野」を、犬企業の利益を増やす「成長戦略」の主要な柱に位置付けていることです。
 第一に、これらの分野で蓄積される国民の個人情報をデジタル化(コンピューターで処理できる0と1の数列で記号化)し、大企業による利活用を進めようとしています。
 岸田政権の「緊急提言」は、▽医療・介護分野で妊産婦・乳幼児・高齢者などの健康状態に関するデータをさまざまな主体が利用できる環境を想定して実証を行う▽教育分野でデジタル教材と学習指導要領をひも付けて、それらを検索できるシステムの開発と実証実験を進める▽将来的に分野横断的なデータ基盤の構築へつなげる―しました。
 これは、経団連が「新成長戦略」などで政府に迫ってきた施策そのものです。 経団連は、▽胎児期から死亡時までの健康状態▽学校・社会教育における学習履歴―どをデータ化し、企業や行政が保有するその他の個人データとひも付けて、データ共通基盤に蓄積することを求めたのです。企業や行政が人工知能(AI)を使っで分析・活用するためです。
 膨大な個人情報を活用して世界各国の市場を支配した米国や中国のIT(情報技術)企業に対して日本企業が劣後し、「デジダル敗戦」ともいわれる中、政府の後押しで後れを挽回する狙いです。日本医療総合研究所の寺尾正之研究・研修委員は監視社会化の恐れを指摘します。
 「健康状態や学習履歴に関する機微な個人情報を営利企業に開放すれば、社会的差別や排除を引き起こす恐れがあります。実際、経団連は学習履歴を企業の『採用、処遇、評価』に使うと明言しています。政府は膨大な個人情報をマイナンバーカードへ集約して一元管理することも狙っており、国民のあらゆる行動を政府が把握する監視社会となる恐れもあります」
<公教育の縮小も>
 第二の危険は、営利企業がつくるデジタル教材を悪用して、公教育を縮小しようとしていることです。
 岸田政権の提言案は、▽1人1台のIT端末を活用して新たな学びの環境の整備(ギガスクール構想)を進める▽先端的教育ソフトウエアを導入して個別最適な学びの充実」取り組む学校を支援する―しましだ。
 金日本教職員組合の波岡知朗副委員長は批判します。
 「『先端的教育ツプト』は企業が営利目的でつくるものです。それを学校で大々的に使わせ、教師の役割を縮小するこどが『成月戦略』とされています。経済産業省の官僚は『小学校は午前中で終わりにして、学びたい子は塾に行けばいい』とまでいいました。事実上、公教育の民営化が狙われています」
 学びの過程も変質するといいます。
 「子どもがソフトを使って学習するど、AIが『次はれをやったら?』と次の課題へ誘導します。できる子は先へ進み、取り残される子は自己責任とされる。『個別最適』の実態は差別・選別です。インターネットを通じてソフトを使った学習履歴はソフト制作企業に蓄積されます。企業はそれを営利目的で使おうとするでしょう。データを十分蓄積できなかった子やデータの提供を拒んだ子は生涯にわたって不利益を被りかねません。総じて、経済政策の中に教育を位置付けること自体が間違っています」
 『新しい資本主義」の正体は、公的部門を侵食して大企業の利潤追求の場に変える、新自由主義なのです。(つづく)

【赤旗】11月18日 『新しい資本主義』の正体③ 大企業優遇策の口実
 米国と中国の先端技術の覇権争いが先鋭化する中で、日本国内で「経済安全保障」という議論が盛んに交わされるようになりました。今年6月に閣議決定した「骨太の方針」では、「経済安全保障にかかわる戦略的な方向性として、基本的価値やルールに基づく国際秩序の下で、同志国との協力の拡大・深化を図りつつ」進めると強調されました。今年の「通商白書」も「各国における経済安全保障の強化」に注目し、「米中の技術覇権をめぐる争いなどを背景とし、米中を始めとして、経済安全保障に関する取り組みが強化されており、新型ウイルス感染症の拡大により、サプライチェーンのぜい弱性が顕在化したこととも相まって、そうした傾向に拍車がかかっている」と指摘しました。
<明確な定義なし>
 「経済安全保障」という用語は、安全保障と経済の問題が密接に関わる文脈で使用される概念ですが、必ずしも明確な定義があるわけではありません。 
 岸田文雄内閣の下で新設された経済安全保障担当相に就任した小林鷹之氏は、10月5日の会見で「経済と安全保障がまさに融合していく世の中になっています」と発言したものの、「政府の定義も含めて、また法律をどうしていくかも含めまして、これは今後の検討事項」だとしました。「国の独立、生存、そして繁栄を経済面から確保していくこと。これを経済安全保障という形で定義」していきたいとの考えを表明しました。「独立」、「生存」「繁栄」というだけでは極めて抽象的です。「経済安全保瞳という看板さえつければ、巨額利権まみれで、欺瞞(ぎまん)に満ちた政策であっても進められる危険があります。
 「日本は先端半導体の輸入依存度が高く、先端半導体の製造能力を有していない」として、「新しい資本主義実現会議」が8日に発表した緊急提言には、台湾の半導体企業の日本進出を後押しする文言が盛り込まれました。
 「最先端半導体の受託製造でトップシェアを誇る台湾企業の日本進出は、日本の半導体産業の不可欠性と自律性を向上し、安全保障に大きく寄与することが期待される」
 翌9日、半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、熊本県での工場建設を正式に発表しました。スマートフォンなどのカメラに使われる画像処理センサーで最大手のソニーグループのソニーセミコンダクタソリューションズも出資。出資比率は20%未満となります。22年に着工し、24年末までの生産開始を目指します。製造するのは自動車などに使われる回路線幅22~28㌨㍍(ナノは10億分の1)のロジック半導体。月間生産能力は30O㍉ウエハー換算で4万5000枚を計画しています。最先端の半導体ではありません。ソニーGは新工場から画像センサー用半導体などを優先的に調達する方針です。当初の設備投資額は、約70億㌦。日本円に換算すると約8000億円。発表文では、政府が支援策を正式に決定する前の段階から「日本政府から強力な支援を受ける前提で検討しています」と強調していました。政府からの補助金は、半額の4000億円と見込まれています。
<「複数年度支援」>
 「新しい資本主義実現会議」は、こうも提言しています。「先端半導体の国内立地の複数年度に渡る支援、必要な制度整備を早急に進め、強靱(きょうじ)なサプライチェーンを構築する」
 政府は、複数年度にわたって、台湾のーつの企業に巨額の税金を注ぎ込む計画です。大企業への「ばらまき資本主義」にほかなりません。(つづく)

【赤旗】11月20日 『新しい資本主義』④ 格差を助長 分断生む
 岸田文雄政権の掲げる「新しい資本主義」は、分配のゆがみを温存し、労働者の間に格差をもたらす「分断」の資本主義です.
 政府の「新しい資本主義実現会議」緊急提言は、「分配」戦略の要として賃上げ政策を掲げます。企業の賃上げを税制面で後押しし、消費の拡大とさらなる成長へつなげる狙いです。
 税制優遇は、法人税減税が柱になるとみられます。中身は、安倍晋三・菅義偉政権が推進してきた「賃上げ減税」の焼き直しです。この間、賃上げはほとんど起きず、平均実質賃金は過去9年間で年22万円も減りました。
<大企業だけ恩恵>
 減税の対象企業も限定的です。国内企業の6割以上が赤字決算で、法人税を納めていません。税制優遇の恩恵は、資本金規模が大きく、高利益の見込める大企業に集中します。中小企業と大企業で労働者間の賃金格差を広げる恐れがあります。
 本気で賃上げを実現するのであれば、最低賃金の抜本的な引き上げに加え、中小企業ほど負担の大きい社会保険料の減免など実効性ある対策をとるべきです。
 待遇格差の解消にも疑間符が付きます。
 「提言」は、男女間の賃金格差を解消するため、「企業に短時間正社員の導入を推奨するとともに、勤務時間の分割・シフト制の普及を進める」と明記。シフト制は、使用者の意向で一方的にシフト(交替勤務)を減らされる不安定な働き方として、コロナ禍を機に法規制を求める声が相次ぎました。
 女性が結婚や出産を機に正規から非正規へ置き換わる現状を踏まえ、正規のまま働き続けられる環境を整備する狙いですが、正規雇用に存在する男女賃金格差の解消は棚上げされています。女性が出産・育児を担うという前提で短時間雇用を押し付ければ、男女の待遇格差を助長しかねません。
 第2 次安倍政権以降の相次ぐ法改悪で、非正規は約4割まで増加。コロナ禍で大きな打撃を受けています。それにもかかわらず、「提言」は非正規の待遇改善について従来の施策をほぼ踏襲。「正規雇用と非正規雇用の同一労働同一賃金を徹底」すると唱えつつ、基本給や賞与の格差是正など具体策には踏み込みませんでした。
 むしろ、産業構造の変化を口実に労働移動の円滑化を侃し、副業・兼業の拡大といった雇用の規制緩和を進めよらとしています。
<労働者保護こそ>
 それに対し、働き手を守るセーフティーネット(安全網)の整備は不十分です。
 「提言」は、「フリーランス(個人事業主)の方々が労筋保険に加入できるよう、労務保険の特別加入の対象拡大を図る」としています。特別加入制度は、加入が任意であるうえ、働き手が自ら保険料を負担しなければなりません。雇い主が保険料を払う本来の労災保険の適用を求める声が相次いでいます。
 労働者性を広げ、いかなる働き方でも広く「労働者」ンして保護する法整備こそ必要です。(おわり)(金子豊弘、小村優、清*渡、杉本恒如が担当しました)