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政権継続も厳しい審判 民意の覚醒が変化促す(「東京」社説)、国際課税の合意―大企業の税逃れ防ぐ改革前へ(「赤旗」)、コロナ禍の株価上昇(「赤旗日曜版」)
2021年11月1日
【東京新聞】11月1日<社説>政権継続も厳しい審判 民意の覚醒が変化促す
 衆院選で自民党は単独過半数を維持したが、甘利明幹事長が小選挙区で敗北し、辞意を固めるなど厳しい選挙戦を強いられた。
 国民を蔑(ないがし)ろにし、権力の私物化が指摘された「安倍・菅」政治を清算しようとしない岸田政権に、有権者が不信感を募らせたからにほかならない。主権者としての目覚め、覚醒した民意こそが変化を促す。自公政権は継続するが、岸田文雄首相は有権者の審判を厳しく受け止める必要がある。
 今回の衆院選は、自公連立に政権を委ね続けるのか、立憲民主党など野党勢力に政権を託すのかを問う政権選択だった。
 与党は過半数を維持したとはいえ、決して「白紙委任」ではないことを、引き続き政権を担う人たちは肝に銘じなければならない。
 菅前内閣の終焉(しゅうえん)とともに発足して間もない岸田政権は、実績を上げるには至っていない。岸田氏は「未来選択選挙」を掲げて選挙戦に臨んだとはいえ、政権運営能力そのものは未知数だ。
◆問われた「安倍・菅」政治
 有権者は岸田政権に信頼を置いたわけではなく、首相のお手並み拝見という結果にすぎないと、政権は受け止めた方がよい。
 選挙では、新型コロナウイルス感染症から国民の命と暮らしをどう守るのかはもちろん、感染拡大で停滞した経済をどう立て直すのか、そして、安倍・菅政権の九年近くで傷ついた民主主義をどう再生するのかも問われた。
 さらに、選択的夫婦別姓の是非や性的少数者(LGBT)差別解消に向けた法整備など、社会の在り方も主要な争点となった。
 もちろん政権選択の衆院選である以上、選挙結果は現政権の継続を意味する。ただ、それは政権や国会を、意のままに運営していいという意味では決してない。
 憲法一五条は、国会議員を含む公務員はすべて「全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」と定める。与野党を問わず、議員に選ばれた以上、支持者だけでなく支持しなかった人たちの意見にも耳を傾けなければなるまい。
 岸田氏が強調する「聞く力」も本来、自民党や与党支持者以外に使われてこそ、意味がある。
 新型コロナの新規感染者数は減少傾向にあるが、感染症流行期の冬にかけて、コロナ感染が再び拡大する恐れも指摘される。
 自民党は公約にワクチン接種推進や病床・人材の確保、人流抑制や医療確保のため行政に強い権限を与える法改正などを掲げた。
 これまでの政権のように独善に陥り、国会や記者会見などで国民への丁寧な説明を怠れば、対策の実効性を上げることはできない。必要であれば、野党の提案も大胆に採用する度量が必要だ。それこそが聞く力にほかならない。
◆分配優先求めるうねり
 経済政策も同様である。自民党は「成長と分配の好循環」を掲げながらも成長優先を強調した。まずは経済成長実現のための対策を講じ、「新しい資本主義」の在り方を模索するのだろうが、岸田氏が評価する成長優先の「アベノミクス」こそが格差を拡大させたとの指摘に向き合う必要がある。
 選挙戦では、成長よりも分配を優先すべしとの国民の思いが、大きなうねりになったことは否定できまい。分配をどう増やし、格差を縮小していくのか、政権として真剣に考える必要がある。
 指摘せざるを得ないのは岸田氏が、九月の自民党総裁選時に「聞く力」とともに強調していた「民主主義の危機」を、首相就任後は語らなくなったことだ。
 今回、その是非が問われた「安倍・菅」政治は、政権中枢に近い人たちの優遇に権力を使い、異を唱える人を排除する側近政治、換言すれば、主権者である国民や国会を軽視する政治だった。
 森友・加計学園や桜を見る会を巡る問題、特定候補者への巨額資金提供、日本学術会議会員候補の任命拒否は、真相が解明され、国民に説明が尽くされたとは言い難い。再調査や決定撤回は毀損(きそん)された民主主義の基盤を再生する作業だったにもかかわらず、岸田氏をはじめ自民党全体が否定的だ。
 前政権の「負の遺産」を清算しようとしないことで募る有権者の不信を直視せねばなるまい。
◆民主主義再生のために
 二年弱のコロナ禍で私たちは、自らの選択が自分や家族、親しい人たちの命や暮らしに直結することを思い知らされた。
 政権の選択肢を示すことは与野党を問わず政党の責任だが、国や地方の政治を変えるにはまず、私たち有権者が目覚め、積極的に政治に関与しなければならない。
 来年夏には参院選がある。覚醒した民意こそが政治を変え、民主主義を再生する。今回の衆院選がその転換点になると信じたい。

【赤旗】11月1日<主張>国際課税の合意―大企業の税逃れ防ぐ改革前へ
 国境を越えた活動で巨額の利益を上げる多国籍企業に対する国際課税のルールづくりが大きく進展しています。日本を含む136の国・地域が10月に合意文書を発表しました。2022年に国際条約を締結し、23年の実施をめざします。経済のグローバル化、デジタル化を利用した巧妙な税逃れを許さないよう、国際協力で課税する体制をつくります。負担能力のある大企業にきちんと税を払わせる実効ある制度にしていく必要があります。
◆法人税減税競争に歯止め
 合意の一つは、大企業が負担する法人税率を最低でも15%とすることです。低税率や無税の国・地域に子会社を置いて利益を移し、課税を逃れても15%との差額を親会社の所在国が徴収します。長年続いた法人税の減税競争に歯止めをかける画期的な改革です。売上高7億5000万ユーロ(約990億円)の企業に適用されます。経済協力開発機構(OECD)は世界で年間約1500億ドル(約17兆円)の増収を見込んでいます。
 1980年代以降、大企業の負担を減らせば経済が成長するという新自由主義の主張に基づいて各国が法人税減税を競いました。OECD加盟国平均の法人税率は81年の48%から2020年には23%に下がりました。アイルランド12・5%、ハンガリー9%など海外からの投資呼び込みを狙って税率を極端に下げた国もあります。
 際限のない減税競争の結果、所得を再配分する税の機能が弱まり、社会保障の財源の浸食や庶民増税が横行しました。コロナ危機に直面して各国で格差拡大に批判、反省が強まり、税制の見直しが加速しました。
 合意のもう一つは、デジタル課税の新設です。海外に進出した多国籍企業に対する現行の法人課税は、進出先に工場や支店などを持つ企業を対象としています。グーグル、フェイスブックなどインターネットを使って事業を展開するデジタル大企業は「物理的拠点」を持たないという理由から海外で上げた利益への課税を免れています。この抜け穴をふさぎます。
 新ルールでは物理的拠点の有無にかかわらず、多国籍企業の利益に課税します。世界全体で200億ユーロ(約2兆6000億円)を超える利益を上げ、利益率10%を超える企業が対象です。100社程度の巨大企業が該当するとみられます。売上高の10%を超える利益の25%を、各国・地域に売り上げに応じて配分し課税します。
 今回の合意は、不公平税制の是正を求めて国際的に運動してきた市民の声を受けたものです。市民団体はさらに15%の最低基準の引き上げやデジタル課税の対象企業の拡大を要求しています。
◆日本は不公平税制是正を
 日本の法人税(国税)は法定税率で23%ですが、研究開発減税や連結納税制度など数々の大企業優遇があるため、企業規模が大きいほど税負担が軽くなります。大企業の実際の法人税負担率は10・2%(19年度)と中小企業の半分程度です。
 大企業に対する優遇税制を見直すことは世界の流れです。かつて法人税減税競争の先頭に立った英国は大企業の税率を現行の19%から23年に25%に引き上げます。日本も不公平税制の是正に踏み出すべきです。

【赤旗日曜版】10月17日 <経済 こっれて何?>コロナ禍の株価上昇
 新型コロナウイルスの猛威で世界の死者は約500 万人に上り、私たちの生存権が脅かされています。経済面では生活関連産業を中心に廃業・倒産、休職・失業が広がっています。世界のGDP(国内総生産)は落ち込み、先進国はマイナス4・6%(2020 年)の大不況に陥りました。
 それにもかかわらず、世界の株価は大幅に上がりました。米ニューョーク・ダウ平均株価は7月23日に3万5000が超の史上最高値(終値、1年前と比べて32 %増)を記録。日経平均株価は9月14日、3万円を超えてバブル崩壊後の最高値(終値、同30 %増)となりました。世界の株式時価総額は史上最高額の116 兆が(1・28京円)に達し、世界のGDP合計額84 ・7兆が(約9300兆円)を大幅に上回
りました。
 株式を大量に保有する大資本や富裕層の金融資産は空前の規模で増え億万長者どころか兆億長者に成長しています。
 新自由主義の母国アメリカでは、コロナ禍で貧困層を中心に死者を70万人も出しています。その一方で、純資産10億が(約1100億円)以上を保有する719人の富の総額は、コロナ禍の1年余で55 %も増え、4・56兆㌦(約500兆円)になりました。生存権と貧富の格差の拡大は深刻です。
 実体経済の動向と逆行した株価は、実体経済とは別次元からの何らかのテコ入れがなければ説明できません。
 コロナ禍に直面した各国政府と中央銀行は、大規模な財政支出と金融緩和政策に踏み出し、今年3月までに約1760兆円もの公的マネーを供給しました。この公的マネーの一部が株式投資に回り、官製株式バプルを引き起こしました。日本では他国に例のない中央銀
行の株価支持政策(株式ETF=上場投資信託の大量買い入れ)が行われています。
 人々の生存権や経済的営みを脅かすコロナ禍には、財政や金融の思い切った古援が不可欠です。問題は、公的支援が格差拡大をもたらしていることにあります。それはコロナ禍というピンチをビジネスや資産拡大のチャンスに変える社会の仕組み、大資本と富裕層による財政と金融への「タカリの構造」が放置されているからです。
 新自由主義政策は、あらゆる方面で規制を緩和し大資本の利益追求の自由を最優先する一方、その対局にある人々の生活や生存権、福祉・医療・社会保障に大なたをふるってきました。
 コロナ禍が突きつけたのは、新自由主義に侵された経済社会が限界に達し、もはや人類にとって許容できないことです。必要なのは、貧困をなくして福祉と健康を優先する政治、ジェンダー平等の実現、省エネと再生可能エネルギーの普及、平和を目指す政策です。
 4日に発足した岸田政権は、中身も体制も安倍・菅政権の根幹を継承しています。政権交代なくして日本の未来はないと考えるのは筆者だけなのでしょうか。 山田博文(やまだ・ひろふみ群馬大学名誉教授)