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特養利用料 月4万円も負担増(「赤旗」)、米国で法人税増税案(「赤旗」)、自民党総裁選 安倍・菅政治の総括から(「東京新聞」)
2021年9月18日
【赤旗】9月15日 特養利用料 月4万円も負担増―低所得高齢者 悲鳴と怒り
 特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所する低所得者の食費・居住費を補助する制度(補足給付)が8月から改悪され、月約2万~7万円の負担増となる人が続出しています。9月に入って改悪後初の利用料請求が届き、入所者や家族に驚きと怒りが広がっています。(前田美咲)
 「母の年金だけでは支払えない上昇率だ」。兵庫県で1人暮らしをする59歳の男性は、急激な負担増に憤ります。特別養護老人ホームで暮らす89歳の母親が、改悪によって補助を受けられなくなり、月約6万円の利用料が11万円弱に跳ね上がりました。
 母親の年金は年120万円余り。8月から資産要件が厳格化されたことで、貯金額が基準を上回って対象から外れることが分かり、補助の更新申請を諦めたといいます。
 資産要件は、7月まで一律「単身1000万円・夫婦2000万円」以下だったのが、8月から収入に応じて単身500万~650万円、夫婦1500万~1650万円に厳格化(表)。対象から外れると補助が一切なくなり、食費・居住費が全額自己負担となります。補助額の大きかった低収入の人ほど負担増額が膨れ上がり、最大月6・9万円に上ります。
 男性は介護疲れから離職。精神疾患も患い、障害年金と作業所の工賃月11万円弱をやりくりする生活です。「新たに月4万円強もどうやって捻出したらいいのか。いきなり資産要件を半額にし、大幅負担増とは納得できない。消費税増税分を社会保障に回すなんてうそだった。作業所をやめ、母を退所させて、自宅介護で共倒れするしかない。『貯金があるなら使いきれ』『自助・共助・公助』という弱者軽視の自公政権の冷酷な思想が表れている」
◆介護補足給付の改悪 「野党共闘で政治変えよう」 補助受けられても負担増
 8月から対象が縮小された介護の補足給付制度。安倍・菅政権は、2019年に打ち出した改悪を、新型コロナ危機のもとでも見直しませんでした。法改正を経ず、施行令の改正だけで済ませたことで国会審議を免れ、多くの国民が知らない間に強行しました。
 8月の制度見直しで、資産要件に加え収入要件も改悪しました。資産要件を満たし、引き続き食費・居住費の補助の対象になったとしても、年金収入などが年120万円を超えると、介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型施設、介護医療院)の1日の食費はこれまでの650円から1360円に跳ね上がります。
 さらに、普段は自宅で過ごし、決まった期間だけ施設で過ごすショートステイの食費では、年収80万円以下の人をはじめ補助を受ける大半の利用者が値上げの対象となっています。収入に応じて日額210~650円の負担増となります。
 岩手県宮古市の男性(71)は8月末、94歳の母親が入る特別養護老人ホームからの通知に目を疑いました。食費負担が倍以上、月額にして2万2000円増となることが分かったからです。
 月13万円余りの母親の年金のうち、約11万円が利用料に消えることになります。自身も年金暮らしの男性は、「資産要件にかからなければ負担増はないと思って安心していたのに。母からは電話で欲しいものをリクエストされることもあり、今まではほぼ叶えることができていたが、これからは厳しくしないといけないかもしれない」と肩を落とします。
 「施設や市役所からの通知には“今度からこの額になる”としか書かれておらず、請求書が届いて負担増にびっくりする人が多いのではないか」と心配する宮古市の男性。自公政権の社会保障切り捨てに憤ります。「総選挙が迫っている。低所得者、高齢者に負担増を強いる政権のひどさを多くの人に伝え、『野党共闘で政治を変えよう』と広げていきたい」

【赤旗】9月15日 米国で法人税増税案―下院民主党 福祉拡充の財源に
 【ワシントン=島田峰隆】米議会下院の与党民主党は13日、連邦法人税率を現在の21%から26・5%に引き上げる案を発表しました。子育てや教育の支援などに10年間で3・5兆ドル(約385兆円)を投じる福祉拡充策の主要財源とします。
 法人税率はバイデン大統領が主張していた28%を下回りますが、トランプ前政権が進めた富裕層・大企業減税を転換する動きです。米紙ワシントン・ポストは「金持ちや一定の企業に対する、ここ数十年で最も顕著な増税」「格差拡大に対処するというバイデン氏の公約を反映している」と指摘しています。
 下院歳入委員会のニール委員長が発表した案によると、多国籍企業の海外収益に課す最低税率は現行の10・5%から16・5%に引き上げます。
 年収が40万ドル(約4400万円)を超える人については、所得税率を現行の37%から39・6%へ引き上げます。500万ドル(約5億5000万円)超の場合は3%の付加税を課すとしています。株式などの売却益についても増税します。
 下院民主党は8月下旬、3・5兆ドル規模の福祉拡充に向けた財政枠組みに関する予算決議を可決。10月から始まる新会計年度を前に関連法案の策定を急いでいます。
 ニール委員長が発表した案について、民主党進歩派議員連盟の共同代表ジャヤパル下院議員は13日、「大金持ちや巨大企業が公平に負担する時代がやってきた」と強調しました。

【東京新聞】9月18日<社説>自民党総裁選 安倍・菅政治の総括から
 きのう告示された自民党総裁選は、河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子の四候補による争いとなった。
 新型コロナウイルス感染症対策や経済再生策、拡大する格差の是正、外交・安全保障など山積する課題を巡る議論は当然だが、国民を長くないがしろにした「安倍・菅政治」をどう総括するのか、各候補は明らかにすべきである。
 安倍晋三、菅義偉両首相の約九年間、政権は国民に対して丁寧に説明せず、異なる意見には耳を貸さず、国会では「数の力」で押し通す独善的な政治を続けた。
 コロナ対策やワクチン接種を巡る混乱、安全保障関連法の成立強行、加計・森友両学園や「桜を見る会」を巡る問題での誠実さを欠く対応などが、その典型だ。
 その結果、国民の間で政治不信が募り、議会制民主主義の危機との指摘まで出る状況を招いた。
 菅氏の退陣表明は「安倍・菅政治」の行き詰まりを示すものにほかならない。
 総裁選で党の表紙だけを変えても、国民と誠実に向き合ってこなかった「安倍・菅政治」の本質が変わらなければ、政治への国民の信頼を取り戻すのは難しい。
 四候補はいずれも、閣僚や党幹部として「安倍・菅政治」に深く関わってきた。反省すべき点を反省し、どう修正するのか、論戦を通じて明確に説明すべきだ。
 看過できないのは「安倍・菅政治」を政権中枢で担ってきた安倍氏や麻生太郎副総理兼財務相らをおもんぱかる発言や動きが、候補から相次いでいることだ。
 森友学園への国有地売却を巡る公文書改ざんの再調査に前向きなのは現段階では野田氏だけで、ほかの三候補は否定的だ。
 総裁選の行方を左右する国会議員票欲しさに、党内に依然影響力を持つ安倍氏らに忖度(そんたく)していると受け取られても仕方がない。
 現在、衆院の第一党である自民党の総裁選は「次の首相」を実質的に選ぶ手続きではある。
 しかし、衆院選が間近に迫る状況では、党所属国会議員と党員・党友しか投票できない総裁選は首相選びの「準決勝」にすぎない。「決勝戦」は十八歳以上の国民が選挙権を行使する衆院選だ。
 各候補は総裁選を通じて「安倍・菅政治」を総括し、新総裁は政権公約と合わせて、衆院選で国民にその信を問うべきである。