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国際課税新ルール―意義と課題(上)(「赤旗」)
2021年8月28日
【赤旗】8月24日 国際課税新ルール―意義と課題(上)
 イタリア・ペネチアで開催された20力国・地域(G20 )財務相・中央銀行総裁会讎(7月10日)で、法人税の国際ルールに関する合意が成真レました。国際課税に詳しい合田寛政治経済研究所理事に合意の意義と課題についで寄稿レてもらいました。 

 国際課税に関する議論はGAFA(グーグル、アップル、フェイスプック、アマゾン)など巨大IT (情報技術)企業をを念頭に置いて進められてきたものです。多国験企業の「課税逃れ」を封じるために、国際課税の新レいルーを取り決めようとしています。
 会議の「声明」では今回の合意について「より安定的でより公正な国際課税制度に関する歴史的な合意を成し遂げた」と、その成果を強調しています。
◆重大な問題含む
 合意された内容には確かに「歴中的」な側面があります。しかしそれはきわめて不十分で、重大な問題をはらんでいます。両面を丁寧に検証する必要があります。
 G20で合意された内容は①タックスヘイブン(租税回避地)に移転された多国籍企業の利益の再配②国際的な最低税率の設定-というニつの柱からなっています。
 GAFAなどデジタル巨大企業は、「国内に工場などの物理的拠点一(PT)を持たない海外企業には課税しない」という現行の国際課税ルールの下で、高収益を得ながら多くの国で課税を免れています。インターネットを通じて海外の拠点からサーピスを提供できるためです。
 また、これらの企業の収益は特許権や商標権などの無形資産によるところが大きく、無形資産をタックスヘイプンなど低税率国・地域の子会社に移すことでこれらの国・地域に利益を移転し、課税を免れています。
 このような利益移転を可能にしているのは、現行の国際課税ルールの基礎にある「ァームズ・レングス原則です。これは、多国籍企業グルー内の会社間取引に適用される価格は、市場で一般的に成立することが予想される価格によるべきたというルールです。
 しかし無形資産には市場で一般的に成立する標準価格ほ存在しないので、多くの多国籍企業は無形資産を低税率国子会社に安価で譲渡し、その子会社に対する特許使用料(ロイヤルティー)などの支払いを通じて利益を移転してきました。
 「物理的拠点なければ課税なし」ルールも、「アームズ・レングス原則」も、およそ1世紀前につくられた、現行菌際課税ルールの基本的な土台とされている原則です。
 このたびG20で合意された内容は、これらの原則に風穴を開ける突破口となるものです。「声明」が歴史的な合意とその成果を強調していることも、その限り、誇張ではありません。
 合意された新ルールの第1の柱は、多国籍企業グルーの総利益を合算した上で、一定の配分基準蒙に従って総利益への課税を各国に再配分するというものです。こうした考え方は従来の国際課税ルールにばありません、新しい国際課税ルールの実現に向かて踏み出した大きな一歩といます。
◆恩恵一部国のみ
 しかしその適用範囲が間題です。利益再配分の対象として合意された多国霜企業は、全世界での売上げ高が200億ユーロ(約2・6兆円)を超える企業です。該当するのは約100社程度の超巨大企業と見られます。
 これまでの合意では売上高が7・5億ユーロ(約970億円)以上とされていたので、対象企業がさらに絞られたことになります。
 しかも配分される利益額は利益率10%を上回る部分のうち、20~30%の範囲とし、その額を市場国(消費者のいる国)に売上高に応じて配分するというものです。
 課税権の再配分の対象となる利益は、多国籍企業の総利益のごく一部にずぎず、残りの大部分の利益に対しては、現行の課税原則が適用ぎれまず。
 配分される利益は約10O億㌦と見られますが、売上高に応じて配分されるので、その天半はG7を構成する太国に向かい、貧困国を含む多くの国にはほとんど恩恵がありません。(つづく)