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「スガノバブル」が「アベノバブル」よりもさらに膨らみかねない不安
2020年9月26日
【DAIMOD online】9月26日 「スガノバブル」が「アベノバブル」よりもさらに膨らみかねない不安―小幡績:慶應義塾大学大学院 准教授
スガノミクスはアベノミクスと根本的に異なっている
 第99代内閣総理大臣に就任した菅義偉氏は、アベノミクスを継承すると言っているし、皆がそう思っている。それ以外に何をするのか、に注目が集まっている。
 しかし、それは間違いである。「スガノミクス」はアベノミクスと根本から全く異なっている。180度違うといっても過言ではない。説明しよう。
 アベノミクスが成功した理由は、アベノミクスという名前を定着させたことにある。7年8カ月を経て安倍前首相が退任しても、辞任会見直後に書いた「安倍首相辞任、アベノミクスの2つの大罪」という私の記事は異常に読まれ、スガノミクスを誰よりも早く解説した記事は見向きもされなかった。
 すなわち、アベノミクスの成功はマーケティングの成功であり、「アベノミクスは成功した」と思わせることに成功したことにある。スガノミクスへの注目度は、支持率と同様に、現時点が一番高いはずだが、一般的には注目されてない。すでに、アベノミクスのような成功はおぼつかなくなっている。
 これには理由がある。アベノミクスは、賛否はあるが、コンセプトがはっきりしており、経済全体に対するヴィジョンのある政策であった。経済全体に関するマクロ政策であった。そして、経済と金融市場をひっくり返すような(私からすれば、とんでもない)ものであった。日銀を使って、インフレを引き起こし、デフレ脱却をし、株高円安を進める。異次元金融緩和は異常であったが、とにもかくにも金融市場全体を変えた。
 一方スガノミクスは、全体像がない。アベノミクスの全体、マクロ政策に対して、スガノミクスは局地戦、ミクロ政策である。
 ひとことで言うと、スガノミクスは「器の小さい政策」なのである。
 規制と戦うのは勇ましいが、あくまで部分的であり、経済の1つ1つの項目に関する話であり、局地戦である。それで世論は盛り上がるかもしれないが、経済はせいぜい一分野ごとにしか変わらない。
「縦割り打破」というもっと小さい話で、要は調整をもう少しうまくやる、という話である。全体に役立つように、部分ごとの目詰まりを解消する、ということである。立派ではあるが、ミクロであることは間違いない。
器の小さい政策が目指す
「規制緩和」という利益誘導策
 菅氏が言うように、ダムの運用方針が所轄官庁ごとに異なっているため、全体のために利用することができなかったのは、調整不足に過ぎない。調整をうまくやるのは素晴らしいが、それはそれだけのことであり、良い例だが、経済全体が動くわけではない。
 だから、世間の印象はともかく、日本経済はほとんど何も変わらない。携帯電話の通話料金が安くなったとしても、3社寡占が残っていれば、彼らはその力を何かの形で使うはずだ。そうなると、消費者のコストは間接的になり、毎月の通信料という形では見えなくなるが、どこかに見えない形で埋め込まれるだけのことだ。
 3社寡占を変えない限り何も変わらない。そして、それが変わったとしても、携帯電話という業界での儲けが減るだけで、経済全体はほとんど変わらない。
 規制緩和は、少しずつ部分的に進むであろう。これは、政治的には最も望ましい政策である。なぜなら、規制緩和こそが最大の利益誘導政策だからだ。規制緩和というのは理論的にも現実的にも、100%間違っている。正しい政策は、規制撤廃だ。あるいは、古い経済、産業構造のためにつくられた規制を、新しくアップデートする規制のデザイン変更である。
 正しくない、あるいは新しい時代に合わない規制は緩和するのではなく、撤廃し、必要な規制を新しくつくることだ。規制というのは、社会と産業のバランスをとるためにも、産業を育成するためにも必要な場合がある。だから、規制は撤廃するか新しくデザインし直すべきで、緩和はいかなる場合にも正しくない。
 ではなぜ、日本では規制緩和が政治に好まれるのか。それは昭和の業界政策だからである。規制に守られて、社会から攻撃を受けている業界に対しては、ゆっくりとしたスピードで規制緩和を進めると感謝される。「スピードを制限している」と、政治の側が主張できるからだ。
 一方で規制緩和は、業界に参入したい側からも必要とされる。政治が緩和を進めてくれており、そのスピードを少しでも早くしてもらいたいから、政治に対する「お願い」は永久に続く。したがって、ゆっくり規制緩和を行うことは、政治にとって最も無難で、かつ力を維持できる政策なのだ。
 すなわち、スガノミクスとは、「昭和のサプライサイダー」なのである。
 IR誘致やオリンピックも、考え方は同じだ。特定産業の利益のために、産業を誘致し、イベントを興す。それで供給サイド、産業、企業を豊かにし、そこに金を消費者に落とさせることで、景気も良くするという政策である。
 これは、アベノミクスと順序が逆なのである。アベノミクスは、マクロ経済全体にカネをばら撒き、消費を起こし、需要を増やし、その結果、企業収益も増える。しかし、メインターゲットであり直接働きかけるのは、経済全体、そして消費者および需要を行う企業などの需要者である。
 それに対して、スガノミクスが働きかけるのは産業側であり、供給者としての企業である。彼らに利益を与え、その中で景気も良くなるということなのだ。消費者よりも企業優先、平成の消費者主導ではなく、昭和の産業主導の政策なのである。
スガノミクスが本来行うべきはアベノミクスの「幕引き」
 そんな菅政権が本来行うべき政策は、産業政策ではなく、何なのか。
 それはアベノミクスの「幕引き」である。
 アベノミクスとは、外見はマーケティングツール、中身は、リスクとコストを先送りし、需要を先食いする政策だった。ともかく今需要を喚起し、景気を良くし、現在を謳歌する。そういう政策だった。そして、日銀が日本国債の発行残高のほぼ半分を保有し、なおかつ、新規に国が借金として発行する国債の大半を市場に通じ、間接的にとはいえ、実質的には買い支え続けるという状態を放置したまま、突然、トップが交替した政策であった。
 米国中央銀行との違いは、リーマンショック後、バーナンキFRB議長(当時)が大規模金融緩和を開始し、量的緩和を行ったが、その縮小も自ら開始し、退任前に出口へ向かい始め、幕引きの道筋をつけて、交替した点である。バーナンキが出口に向かうことを宣言し、株価は暴落し、市場は非難したが、それに動じず、きちんと幕引きをお膳立てして、バーナンキは出て行ったのである。日銀は出口のないまま取り残された。菅政権は、この幕引きをする必要がある。
スガノミクスのベスト&ワーストシナリオ
 アベノミクスは、地球儀を俯瞰する外交にしても、デフレ脱却、異次元緩和にしても、とにかく大風呂敷を広げた。後継のスガノミクスは、そのストーリーを閉じる必要がある。
 そのシナリオは、ベストシナリオですら、日本国債バブルと株式市場バブルの崩壊を甘受し、しかしその経済全体への悪影響を最小限に留める、というものだ。これらのバブルと無関係に誠実に経済活動を営んできた企業や消費者を守り、バブル崩壊を軟着陸にとどめ、最小限の不況で平常に戻すことであろう。
 ワーストシナリオは、政府の財政破綻もしくは政府の財政破綻回避のために日銀を動員し、中央銀行を破綻させ、経済を大混乱に陥れることであろう。中央銀行破綻は、政府財政破綻よりも経済を破壊する力はとてつもなく大きいから、最悪、政府が財政破綻するとしても、日本銀行を守る必要がある。それは今日は議論する余裕がないが、ともかく菅政権の役割は、アベノミクスバブルを静かに崩壊させることである。
 ところが今のところ、それに対するヴィジョンや大きな絵は見当たらない。スガノミクスは、リスクを抱え続け、それを膨らませ続ける政策になる恐れが強い。なぜなら、バブルを軟着陸させずにバブル大崩壊を防ぐには、バブルをさらに膨らませて維持するしか、方法はないからだ。
 アベノミクスで膨らんだバブルは、菅政権でさらに膨らみ、その次の政権で必然的により深刻なバブル崩壊が起きる可能性が高い。そうしたリスクを抱えながら、我々はスガノミクスを見守ることになろう。
 私のこの分析が間違いであり、「スガノミクスは実は大きな絵を隠し持っていた」という結末を期待している。(慶應義塾大学大学院 准教授 小幡績)

【東洋経済】9月26日 安倍政権下で進んだメディア同士の「分断」―東京新聞の望月衣塑子記者に聞く報道と政治
 国会での虚偽答弁や公文書改ざんが明らかになった森友・加計学園問題、招待者リストの破棄まで行われた桜を見る会疑惑など、政権を揺るがすスキャンダルが続出した安倍政権。首相官邸での定例会見で、菅義偉前官房長官を正面から問いただす記者は「異質な存在」として注目を集めた。
 他方、大手メディア幹部と首相との会食が繰り返され、政権におもねるようなメディアの姿勢に国民の不信感も高まっている。
 安倍政権の7年8カ月を振り返るインタビュー連載。7回目は政権とのバトルを繰り広げてきた、東京新聞社会部の望月衣塑子記者。安倍政権はメディアにどう向き合ったのか。
▼進んだメディア間の分断
――安倍政権下で、具体的にはどのような圧力がメディアにかけられていたのでしょうか。
 2014年の総選挙の前、自民党の萩生田光一筆頭副幹事長(当時)は選挙報道の公平性確保などを求める文書を在京テレビ各局の番記者に手渡した。文書では、出演する候補者の発言回数や時間、街頭インタビューなどの構成を公平・公正・中立にし、一方の意見に偏ることがないよう求めている。具体的な番組の内容にまで踏み込んだ政権与党からの要請に、テレビ局を牽制する狙いがあることは明らかだ。
 2016年には高市早苗総務相(当時)が国会で、放送局が政治的な公平性を欠くと判断した場合、放送法4条違反を理由に電波停止を命じる可能性に言及した。
 2019年には報道ステーションで放送されたニュースについて、世耕弘成参議院自民党幹事長がツイッター上で「印象操作だ」と抗議すると、報ステ側が翌日の放送でお詫びをする事態となった。
 時の政権は批判的な報道を抑え込みたいものだ。しかし、権力を行使できる大臣が公然と電波停止の可能性に言及すれば、現場は萎縮してしまう。これに対してテレビ各局が連帯し、抗議行動につなげなかったこともテレビ局の自粛や萎縮に拍車をかけたように思う。
 実際に、テレビ局への権力側の介入は日常的に行われていると感じる。政権に批判的な内容がテレビで報道されると、各局の局長や政治部の記者に対して首相の補佐官や秘書官から電話やメールなどで抗議が届くと聞く。かつてであれば、「こんな抗議が来ました」と笑って流していたような話も、局によってはすぐに反省会を開くこともあるようだ。
――望月さんは官邸会見で菅前官房長官に食いついて質問をする姿が注目を集めました。
 記者会見の場でも、質問を制限したり、会社に抗議文が送られたり、記者クラブに抗議文が貼り出されたりした。
 安倍政権では、首相会見で質問ができたのは記者クラブ加盟社にほぼ限られていた。フリーランスが当てられることも今年、フリージャーナリストの江川紹子氏が会見の場で「まだあります!」と叫ぶまで、まずなかった。
 朝日新聞政治部の南彰記者によると、第2次安倍政権が発足してから2020年5月17日までの首相単独インタビューは、産経新聞(夕刊フジ含む)32回、NHK22回、日本テレビ(読売テレビ含む)11回に対し、朝日新聞はたった3回。安倍前首相が対応に差をつけることで、メディア間の分断が進んだ。
 菅前官房長官の会見では、私に対して2問までという質問制限が続けられていた。内閣府の上村秀紀・前官邸報道室長は、私が質問する直前に会見を打ち切るなど不当な扱いを続けた。抗議をすると、菅氏は夜の番記者とのオフレコ懇談を設けないなど、別の方法で圧力をかけるようになり、官邸クラブにいる番記者側が「不規則発言はしないでほしい」と要望をしてきたこともあった。
 今回の総裁選は党員投票を見送り、派閥が候補者の論戦前から談合を行っていたと思う。こうした総裁選での手法にも菅氏の性格が凝縮しているように感じた。(以下略)

【赤旗】9月23日《主張》異次元緩和の継続―ゆがんだ金融政策は転換せよ
 菅義偉首相が安倍晋三前政権から引き継ぐとしている「アベノミクス」の「第1の柱」は大規模な金融緩和です。日銀も、「異次元緩和」と呼ばれる金融緩和政策の継続を決めました。異次元緩和によって日銀による財政赤字の穴埋めがかつてなく進み、株価のつり上げなど金融にゆがみが生じています。反省のない継承一辺倒は日本経済をさらに危うい道へ導きます。必要なのは行き詰まった金融政策の転換です。
▼株価つり上げ格差を拡大
 菅政権になって初めてとなった16~17日の金融政策決定会合後、黒田東彦(はるひこ)日銀総裁は「引き続き政府としっかり連携しながら政策運営を行う」と述べ、安倍前政権との共同声明(2013年1月)に基づいて今後も異次元緩和を続けると強調しました。
 日銀が金融市場から国債を大規模に買い入れ、大量のお金を民間金融機関に供給すれば、物価が上昇し「経済の好循環」につながるというのが異次元緩和の触れ込みでした。13年4月にこの政策を開始してから約7年半、結局、格差を拡大しただけでした。
 日銀が巨額のお金を投じたことによって金融市場で投機が激化し、円安と株高が急速に進みました。安倍氏自ら訪米時にニューヨーク証券取引所を訪れ、日本株に投資を呼びかけました。その結果、富裕層や大企業には巨額の利益が転がり込みました。
 その一方、実質賃金は低下し、2度の消費税増税で消費は冷え込みました。消費が低迷したため、日銀が民間銀行への資金供給を増やしても貸し出しは活性化せず、銀行内にたまるばかりです。
 日銀は融資の増加を狙って16年にマイナス金利を導入しましたが貸し出しは活発化しません。むしろ極端な金利低下によって銀行の収益が悪化し、金融の仲介役としての機能が低下しました。銀行は手数料の値上げやサービス削減で損失を顧客にしわ寄せしています。異次元緩和で国民の暮らしは良くなりませんでした。
 国債を毎年数十兆円も買い続けた結果、日銀が保有する国債は発行残高の半分近くに膨れ上がりました。国の借金の半分を日銀が抱える異常事態は「事実上の財政ファイナンス」(財政赤字の穴埋め)と批判されています。財政法は日銀による国債の直接引き受けを禁じています。日銀が政府の言いなりにお金の供給を増やせば放漫財政を招くからです。
 日銀は、大企業の株式で構成する投資信託(ETF)も大量に買い入れ、株価をつり上げています。安倍政権は公的年金積立金の株式投資も拡大し、二つの公的マネーが日本の株式時価総額に占める比率は政権発足前の5%から12%に膨らみました。株価が下落すれば日銀や年金に損失が生じます。通貨の信用を守る日銀が私企業の株式に巨額の投資をするなどあってはならないことです。
▼日銀本来の使命に戻れ
 大規模な金融緩和で景気拡大を促進するという政策そのものが間違いでした。日本経済にこれ以上被害を及ぼさないためには異次元緩和を続けてはなりません。日銀の理念は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することです。異次元緩和の破綻が明白な今、この本来の使命に立ち返るべきです。