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消費増税のウラで、大企業は「消費税の還付金」で大儲け
2019年11月23日
【週刊現代】11月20日 消費増税のウラで、大企業は「消費税の還付金」で大儲けしていた
景気回復の実感がないまま迎えた消費増税。個人の家計は無論、ギリギリでやってきた中小企業にも大問題だ。その一方で、実質的な「補助金」を消費税から享受する大企業がある。一体どういうことなのか。
▼実質的な「補助金」
「非常に良いことだと歓迎する」(経団連・中西宏明会長)
「消費者に大きな影響があると思っていない」(日商・三村明夫会頭)
「2025年には14%以上へのさらなる増税が望ましい」(経済同友会・櫻田謙悟代表幹事)
10月1日の消費増税スタートから1ヵ月半が経過した。軽減税率やキャッシュレス決済のポイント還元など、政府は「景気対策」を講じていると言うものの、いまひとつ実感はない。
2%の増税、見かけ上は小さなパーセンテージだが、私たち消費者の家計にじわじわとのしかかってくるのは明らかだ。
にもかかわらず、財界トップは冒頭のとおり、消費増税を容認するスタンスである。彼らがこんな物言いをする理由はひとつ。消費増税すればするほど、経済3団体に所属する大企業が得をするからだ。
輸出企業への優遇措置、つまり消費税の還付金が、大企業へ莫大な恩恵を与えている。その名も「輸出免税制度」。製品の輸出時に、消費税が企業に払い戻される制度だ。
不公平感が否めないこの制度については後に詳しく述べるとして、まずは大手13企業が還付を受けたとされる金額を列挙していこう。これらは'18年度の有価証券報告書などに記載された売り上げから推計、消費税率8%として算出された金額だ。
トヨタ:3683億円、日産:1587億円、ホンダ:1565億円、マツダ:790億円、新日鐵住金(現日本製鉄):750億円、三菱自動車:683億円、スバル:507億円、村田製作所:494億円、キヤノン:482億円、シャープ:381億円、パナソニック:313億円、日立製作所:248億円、スズキ:160億円
売上高に対する輸出割合を見ると、トヨタで67.6%、日立製作所で53%、村田製作所に至っては90.8%と、売り上げの多くを海外輸出から得ている企業が並ぶ。
これら13企業が受け取った還付金の合計は、およそ1.1兆円にのぼる。今回の消費増税では、5.6兆円の増収が見込まれるが、その約20%にあたる金額が、これら大手企業に還流しているのだ。
先ほどの還付金額は、消費税率8%の時のもの。10%に増税した今年からは、さらに多くのカネを受け取ることになる。
どのような理屈で、輸出大企業はこうした優遇措置を受けているのか。前出の消費税還付金額を推計した、元静岡大学教授で税理士の湖東京至氏が解説する。
「消費税は、商品を購入した人が税務署に直接納めるものではありません。企業が受け取った消費税額から、仕入れ税額を引いたものをアバウトに年間計算して納税します。
ただし、国際的なルールで、輸出した商品の価格に消費税は転嫁できないことになっています。
税務署に申請するとその転嫁できない分が還付金として戻ってくるわけですが、特にトヨタのような大手の輸出企業だと、数千億円単位の莫大な金額になる。
輸出企業、特に大手が恩恵を受けられる仕組みになっていることを考えれば、実質的な『輸出補助金』と言っても過言ではありません」
▼利息分までもらえる
具体的に整理すると、次の通りになる。50万円の商品を下請けから仕入れたとき、メーカーは消費税率10%を上乗せし、55万円を下請けに支払う。下請けはこの売り上げから5万円を税務署に納める。
メーカーはそれを加工し、税込み110万円の商品を作ったとする。国内では販売に際し、消費税10万円を消費者から受け取る。
10万円から仕入れの際、下請けに払った5万円を引き、残る5万円をメーカーが税務署に納める。これを年間でまとめて計算して支払う。
一方、海外に輸出する場合は輸出免税により価格は税抜きの100万円となるため、仕入れの際に支払った5万円が相殺できない。これを国庫から還付金として補填する、というのが、輸出免税制度の仕組みだ。
税務署に質せば、「本来支払う必要がなかった税額分を企業に返しているだけ」と答えるだろう。たしかに輸出を行う企業であれば、大手に限らず還付自体は受けられる。だが、輸出金額が大きいほど、企業が得をする可能性が高い。
というのも、この消費税還付金には、年率1.6%の利息に相当する「還付加算金」が上乗せされて戻ってくるからだ。'18年度分で3683億円の還付を受けるトヨタを例に取れば、単純計算で約59億円が利息として入ってくることになる。
同社の'18年度の純利益は約1.9兆円。これだけ稼いでいて、なおも利息を苦労なく手にするわけだ。
輸出免税制度は、企業間格差を広げる一因にもなっている。大企業が優遇される一方で、その下請け企業は増税の影響をモロに受けるからだ。
消費増税分を価格に転嫁し、値上げしようとすれば、大企業から「消費税増税分は値下げしろ」と、かえって値下げ圧力を受けてしまう。
ほとんどの下請けは自ら商品を輸出するわけではないので、還付金は受けられない。それでも法人税などはきっちりと税務署が取っていく。
本来であれば消費税還付金は下請けにも還元されるべきものだが、実際には税金を商品に転嫁しづらい圧力がある。
立正大学法学部客員教授で税理士の浦野広明氏はこう言う。
「特に下請け中小企業は、商品を納める大企業に対しては消費税を上乗せできず、一方で税務署からはしっかりと消費税の納付を要求されます。消費税は利益ではなく売り上げに対してかかるため、赤字を出していても払わなければなりません。
当然のことながら、税率が上がれば上がるほど中小企業は苦しくなる。消費増税後の税金を納めるのは法人は'19年12月以後ですが、これで首が回らなくなって倒産する中小企業も出るでしょう」
下請け、孫請けの中小企業が身銭を切って払った消費税が、巡り巡って大企業の懐に入っている。おまけに労せずして、利息までついてくるのだ。
所得が増えれば増えるほど、さまざまな優遇措置があり、低所得者は一向に貧困から抜け出せない格差社会が深刻化する日本。消費税の還付金は、まさにこの構図を作り出す一因だ。
トランプ政権は日米貿易交渉のテーブルで、車などの日本の輸出産業を「ダンピングだ」と痛烈に批判してきた。その理由こそ、消費税とその還付金にある。
「アメリカが消費税を採用していないのは、消費税は逆進性が強く、低所得者や中小企業への負担が重くなるからという認識があるためです。逆に言えば、一部の企業だけが恩恵を受けるものだとも考えている。
ですから、日本の消費税と輸出免税措置の組み合わせは、あくまで輸出企業へ補助金を与えるために作り出された、と見ています。だからアメリカは日本の消費税を批判しているのです」(前出・湖東氏)
▼もっと社会に還元してよ
アメリカの批判を受けても、日本政府は特に還付金を見直すつもりはないようだ。
前出・浦野氏も次のように言う。
「トランプ大統領は、自動車への輸入税率を上げない代わりに、日本が輸入する農作物の関税を7600億円も撤廃させたうえで、もっと購入することを要求しています。日本政府はこれを飲むと目論んでのことでしょう。
もしこれが実施されれば、政府はトヨタやホンダといった、実質的な補助金を受け取っている企業を守り、中小の事業者も多い大切な農業を犠牲にしたことになります。これが正しい判断といえるのでしょうか」
立正大学法学部客員教授で税理士の浦野広明氏はこう言う。
そもそも、私たちが結果的に負担している消費税自体、国民の生活にきちんと還元されているとは思えない。
鹿児島大学の伊藤周平教授は言う。
「今回の消費増税の理由について、政府は『社会保障の充実』を挙げました。ところが、消費税が5%から8%に増税された際も、実際に社会保障に充てられたのは、増税額の16%程度でした。
残りのほとんどは年金の国庫負担分、そして国債の返済に使われた。消費税は特定財源でもなく、国庫に入ってしまえば、どのように使うかは政府の裁量次第です。
反対に、法人税は年々引き下げられており、輸出免税制度のように大企業が恩恵を受ける制度も多い。これから増える社会保障負担を、政府が企業ではなく個人から取るというのは公平性を欠きます」
'89年に消費税が導入されて、今年で30年になる。その間、法人税の基本税率は40%から23.2%まで下げられた。
30年間の消費税の税収は累計349兆円であるのに対して、'17年度までの法人3税の減税額は累計281兆円だった。消費税税収のおよそ8割が、法人税減税の穴埋めに消えてしまったのである。
「これだけさまざまな優遇を受けているのですから、大企業は従業員や下請けにもっと還元する方法を考えてもいいとは思うのですが」(前出・浦野氏)
消費増税に苦しむ国民、還付金にほくそ笑む大企業。こんな制度がいつまでもまかり通っていていいはずはない。「週刊現代」2019年10月26日号より

【ハーバー・ビジネス・オンライン 】11月21日 総理のためだけに動く「官邸官僚」。今井補佐官の正体<森功氏>
▶国家を私物化する安倍晋三・国民を裏切り続けた七年間
 11月20日で桂太郎(第11・13・15代内閣総理大臣)を抜き、憲政史上最長の在職日数となった安倍晋三総理。この間、安倍総理は官僚人事を壟断し、自身の手駒として動く忠実な下僕を主要ポストに据え、自身の「身内」に利権を分け与え、嘘を嘘で糊塗し、法や民主主義を踏みにじり、公文書を捏造させ、国家を私物化してきた。
 安倍総理は「政治は結果」というが、その結果は、粉飾だらけのアベノミクス、失敗だらけでカネをばらまく外交とろくな成果も見られない。
『月刊日本 12月号』では、総特集として、長期政権の驕りと緩みが噴出しまくっている安倍政権を批判する「国家を私物化する安倍晋三 国民を裏切り続けた七年間」を掲載している。
 今回はその特集から、ジャーナリストの森功氏の論考を転載し、ここに紹介したい。
▶国家・国民ではなく安倍首相のために働く官邸官僚たち
── 第二次安倍政権では、首相秘書官兼首相補佐官の今井尚哉氏を中心とする「官邸官僚」が突出した力を持ち、霞が関を牛耳っています。森さんは『官邸官僚』(文藝春秋)で、この官邸官僚の弊害を指摘しています。
森功氏(以下、森):今井さんをはじめとする官邸官僚は、決して古巣の省庁のトップを走ってきたわけではありません。安倍さんの絶大な信頼を獲得し、思いのままに権勢を振るっているのです。その権勢は安倍さんの威光なしには成り立ちません。
 本来ならば、国の政策を決める際に、各省庁の幹部が総理に対して直言しなければならないはずです。ところが、官邸官僚に抑え込まれて、各省庁がまともに政策を提示できなくなっています。「内閣人事局」によって省庁の幹部人事を握られている恐怖もあり、官邸の意向には逆らえなくなっているのです。
 各省庁はそれぞれの専門分野に精通しています。問題点を総理にきちんと説明し、それを整理した上で政策を練るべきです。ところが、そのプロセスがなくなってしまっているのです。霞が関システムの崩壊と言ってもいいでしょう。
 首相が掲げる政策を、官邸官僚が経産省に丸投げし、経産省が政策を作っています。その政策に他の省庁が従わざるを得ない状況です。安倍政権が「経産内閣」と呼ばれる所以です。
── 今井氏らは、総理の分身であると同時に、総理の振付師とも呼ばれています。
森:「一億総活躍社会」というスローガンを作ったのも今井さんやそのブレーンたちです。今井さんは古巣の経産省のブレーンを使って政策を作っています。その一人が、最近タレントの菊池桃子さんと結婚した新原浩朗・経済産業政策局長です。彼は、内閣府政策統括官として、働き方改革や幼児教育の無償化などの目玉政策を進めてきた人物です。(以下略)