日本共産党 「消費税減税・廃止を求める、新たなたたかいをよびかけ」
2019年10月6日
【東京新聞】10月5日<社説>自公20年と安倍政治 「平和主義」の正念場だ
自公連立政権の発足から二十年。安倍晋三首相はきのうの所信表明演説で憲法改正論議を促した。戦後日本の「平和主義」は堅持できるのか、正念場だ。
臨時国会がきのう召集された。七月の参院選後、与野党が本格的に論戦する初めての国会だ。
政府は法案十五本と日米貿易協定の承認案などを提出し、与党は協定承認や改憲手続きを定めた国民投票法改正案の成立を目指す。
参院選後、消費税率が10%に上がり、関西電力役員らの金品受領や「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付、台風15号への初動対応などの問題も噴き出した。
◆9条改憲を促す首相
法案や条約の審議はもちろん、国政の調査や行政監視の機能という国会に託された役割を、与野党ともに誠実に果たすべきである。
首相は所信表明演説で、戦後復興や高度成長を実現し、「平和で豊かな日本を、今に生きる私たちに引き渡して」くれた先人たちの歩みに「心から敬意を表し」た上で「わが国の平和と繁栄は、必ずや守り抜いていく」と強調した。
日本人だけで三百十万人という犠牲者を出し、日本が侵略した近隣諸国や交戦国にも多大な犠牲を強いた過去の戦争への反省から、戦後日本は戦争放棄と戦力不保持の憲法九条の下、「専守防衛」に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、平和国家としての道を一貫して歩んできた。
首相が、そうした歩みをも守り抜く決意を表明したのであれば、評価もできよう。
しかし、首相は演説終盤でこうも語っている。「令和の時代の新しい国創り」の「道しるべは、憲法です。令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ、憲法審査会」であり、「しっかりと議論して」「国民への責任を果たそうではありませんか」と。
◆集団的自衛権を容認
要は、平和主義の堅持よりも、憲法改正論議を促すことに演説の主眼があったのである。
自民党は憲法九条への自衛隊明記や緊急事態対応、参院選での合区解消、教育充実という改憲四項目を提示しており、十二月九日までの臨時国会会期中に衆参の憲法審査会で自由討議を開き、四項目の改憲案を説明する構えだ。
このうち首相が自民党長年の悲願とするのが九条改正だろう。
七月の参院選では、与党と日本維新の会などを合わせた「改憲勢力」は改正発議に必要な三分の二を参院で割り込んだが、首相は改憲を目指す姿勢を変えていない。
自民党が衆参両院の選挙で改憲を訴え、政権を維持し続けているのだから、改憲は国民に支持されているというのが首相の論法だ。
首相の自民党総裁としての任期は二〇二一年九月と二年を切っており、レガシー(政治的遺産)づくりのために、与党多数という政治的資産を改憲に注ぎ込もうとしているのかもしれない。
カギを握るのは、自民党とともに二十年間、政治的な歩みをともにしてきた公明党の対応である。
公明党が自民、自由両党の連立政権に参加したのは一九九九年十月五日。きょうで二十年になる。〇九年衆院選で旧民主党に政権が移ったが、自公両党は野党時代も協力関係を維持し、一二年の政権復帰後に再び連立を組んだ。首相は「風雪に耐えた」関係とする。
九九年の連立発足当初は自民党の参院選敗北で「ねじれ国会」となり政治が不安定な時期だった。金融危機も重なり、自公連立が政治や経済の安定に一定の役割を果たしたとはいえる。
しかし、政治の安定が、特に安倍政権発足以降、強引な政権や国会の運営につながったことも事実だ。例えば「知る権利」や人権が著しく脅かされかねない特定秘密保護法や、安全保障関連法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法の成立である。
公明党側には、前のめりになる自民党や安倍政治の「歯止め役」を果たしてきたとの自負があるのだろうが、圧倒的多数の自民党を前に政策的妥協を強いられてきたのもまた、現実である。
◆専守防衛を覆さぬか
歴代内閣が禁じてきた「集団的自衛権の行使」を一転認めた閣議決定と安保法はその典型だろう。そして公明党に再び突き付けられているのが改憲論議である。
必要な条項を加える「加憲」の立場の公明党は、改憲論議自体は否定していないが、九条改正論議は「平和の党」を掲げてきた公明党の根幹を揺るがしかねない。自衛隊明記が、戦後日本が堅持してきた専守防衛政策を根底から覆す恐れなし、とは言えないからだ。
公明党が「地に足の着いた平和主義」を貫き、日本は平和国家の道を歩み続けられるのか。自公連立の二十年は問い掛けている。
自公連立政権の発足から二十年。安倍晋三首相はきのうの所信表明演説で憲法改正論議を促した。戦後日本の「平和主義」は堅持できるのか、正念場だ。
臨時国会がきのう召集された。七月の参院選後、与野党が本格的に論戦する初めての国会だ。
政府は法案十五本と日米貿易協定の承認案などを提出し、与党は協定承認や改憲手続きを定めた国民投票法改正案の成立を目指す。
参院選後、消費税率が10%に上がり、関西電力役員らの金品受領や「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付、台風15号への初動対応などの問題も噴き出した。
◆9条改憲を促す首相
法案や条約の審議はもちろん、国政の調査や行政監視の機能という国会に託された役割を、与野党ともに誠実に果たすべきである。
首相は所信表明演説で、戦後復興や高度成長を実現し、「平和で豊かな日本を、今に生きる私たちに引き渡して」くれた先人たちの歩みに「心から敬意を表し」た上で「わが国の平和と繁栄は、必ずや守り抜いていく」と強調した。
日本人だけで三百十万人という犠牲者を出し、日本が侵略した近隣諸国や交戦国にも多大な犠牲を強いた過去の戦争への反省から、戦後日本は戦争放棄と戦力不保持の憲法九条の下、「専守防衛」に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、平和国家としての道を一貫して歩んできた。
首相が、そうした歩みをも守り抜く決意を表明したのであれば、評価もできよう。
しかし、首相は演説終盤でこうも語っている。「令和の時代の新しい国創り」の「道しるべは、憲法です。令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ、憲法審査会」であり、「しっかりと議論して」「国民への責任を果たそうではありませんか」と。
◆集団的自衛権を容認
要は、平和主義の堅持よりも、憲法改正論議を促すことに演説の主眼があったのである。
自民党は憲法九条への自衛隊明記や緊急事態対応、参院選での合区解消、教育充実という改憲四項目を提示しており、十二月九日までの臨時国会会期中に衆参の憲法審査会で自由討議を開き、四項目の改憲案を説明する構えだ。
このうち首相が自民党長年の悲願とするのが九条改正だろう。
七月の参院選では、与党と日本維新の会などを合わせた「改憲勢力」は改正発議に必要な三分の二を参院で割り込んだが、首相は改憲を目指す姿勢を変えていない。
自民党が衆参両院の選挙で改憲を訴え、政権を維持し続けているのだから、改憲は国民に支持されているというのが首相の論法だ。
首相の自民党総裁としての任期は二〇二一年九月と二年を切っており、レガシー(政治的遺産)づくりのために、与党多数という政治的資産を改憲に注ぎ込もうとしているのかもしれない。
カギを握るのは、自民党とともに二十年間、政治的な歩みをともにしてきた公明党の対応である。
公明党が自民、自由両党の連立政権に参加したのは一九九九年十月五日。きょうで二十年になる。〇九年衆院選で旧民主党に政権が移ったが、自公両党は野党時代も協力関係を維持し、一二年の政権復帰後に再び連立を組んだ。首相は「風雪に耐えた」関係とする。
九九年の連立発足当初は自民党の参院選敗北で「ねじれ国会」となり政治が不安定な時期だった。金融危機も重なり、自公連立が政治や経済の安定に一定の役割を果たしたとはいえる。
しかし、政治の安定が、特に安倍政権発足以降、強引な政権や国会の運営につながったことも事実だ。例えば「知る権利」や人権が著しく脅かされかねない特定秘密保護法や、安全保障関連法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法の成立である。
公明党側には、前のめりになる自民党や安倍政治の「歯止め役」を果たしてきたとの自負があるのだろうが、圧倒的多数の自民党を前に政策的妥協を強いられてきたのもまた、現実である。
◆専守防衛を覆さぬか
歴代内閣が禁じてきた「集団的自衛権の行使」を一転認めた閣議決定と安保法はその典型だろう。そして公明党に再び突き付けられているのが改憲論議である。
必要な条項を加える「加憲」の立場の公明党は、改憲論議自体は否定していないが、九条改正論議は「平和の党」を掲げてきた公明党の根幹を揺るがしかねない。自衛隊明記が、戦後日本が堅持してきた専守防衛政策を根底から覆す恐れなし、とは言えないからだ。
公明党が「地に足の着いた平和主義」を貫き、日本は平和国家の道を歩み続けられるのか。自公連立の二十年は問い掛けている。
【赤旗】10月1日消費税減税・廃止を求める、新たなたたかいをよびかけます―2019年10月1日 日本共産党
日本共産党の志位和夫委員長が発表した「消費税減税・廃止を求める、新たなたたかいをよびかけます」は、次の通りです。
◎消費税10%強行に満身の怒りを込めて強く抗議する
本日、安倍政権は、国民の強い反対と危惧の声を無視して、消費税率を10%に引き上げる大増税を強行しました。日本共産党は、国民の暮らしの悪化も、景気と経済を壊すこともかえりみない、この愚行に対し、満身の怒りを込めて強く抗議します。
国民のみなさん。
たたかいはこれからです。この大増税は、強行されたからといって、そのままにしておくことは決してできません。耐えがたい重税によって、暮らしと経済が土台から破壊されることを、座視するわけにはいきません。
私たちは、この日にあたって、消費税の減税と廃止を求める新たなたたかいをおこすことを、心から訴えるものです。
◎31年の消費税の歴史は何をもたらしたか――消費税廃止にむけ力をあわせよう
国民のみなさん。
今年は、消費税導入が強行されて31年目になります。この税金が、日本に何をもたらしたか。31年間の歴史で明らかになったことが三つあります。
第一は、消費税が、「社会保障のため」でも、「財政危機打開のため」でもなく、大企業と富裕層の減税の「穴埋め」に使われたということです。
この31年間で消費税収は397兆円ですが、ほぼ同時期に法人3税の税収は298兆円減り、所得税・住民税の税収も275兆円減りました。こうなった原因は、何よりも、大企業と富裕層への減税・優遇税制が税収を大きく減らしたことにあります(法人税率引き下げや大企業向けの優遇税制、所得税の最高税率の引き下げ、大株主優遇の証券税制など)。それにくわえ、消費税増税がもたらした不況と経済低迷が税収を減らしました。弱者から吸い上げ大企業や富裕層を潤す――これこそが消費税の正体であることが、すっかり明らかとなりました。
第二に、消費税が、貧困と格差の拡大に追い打ちをかけているということです。
所得の少ない人ほど重くのしかかる逆進性は、消費税の宿命的な害悪であり、どんな小手先細工によってもそれを是正することはできません。「生計費非課税」の原則に真っ向から反し、憲法25条に保障された生存権を脅かす悪税が消費税です。働く貧困層が拡大し、低年金の方々が拡大する社会において、暮らしに困窮する人々に最も無慈悲に襲いかかる最悪の不公平税制が消費税ではないでしょうか。
第三に、消費税導入と度重なる増税は、国民の暮らしと景気、中小企業の営業を壊し、日本を“経済成長できない国”にしてしまった大きな要因の一つとなりました。
日本経済は、消費税増税が繰り返された90年代以降、低迷を続け、“成長しない国”になってしまっています。1997年~2017年の間に、世界の主要国のGDPは、アメリカ―227%、イギリス―170%、フランス―178%、ドイツ―166%などという伸びですが、日本は102%と20年間かけてほとんど成長しない、長期の低迷に陥っています。
国民のみなさん。
31年の歴史によってその害悪が天下に明らかになったこのような悪税を続けていいのかがいま問われています。
いまこそ、消費税を廃止するために力をあわせようではありませんか。税金は負担能力に応じて――応能負担の原則にもとづいて、税制の民主的改革をすすめようではありませんか。
日本共産党は、消費税導入が強行されたその日から、一貫してこの悪税の廃止を求めて奮闘してきた政党として、消費税廃止の旗をいっそう高く掲げ、国民のみなさんと力をあわせてその実現をめざす決意を表明するものです。
同時に、消費税廃止を目標としつつ、次の緊急の要求を掲げて、国民の共同のたたかいを発展させることをよびかけるものです。
(1)消費税を5%に減税し、長期にわたる経済低迷を打開しよう
2014年に安倍政権が強行した8%への大増税の結果、5年半が経過しても家計消費は回復するどころか、増税前にくらべて年20万円以上も落ち込むという深刻な消費不況に陥っています。働く人の実質賃金も年15万円も落ち込んでいます。8%への大増税が重大な経済失政であったことは明らかです。10%への大増税は、失政に失政を重ねる言語道断の暴挙となったのです。
こうした経緯に照らしても、消費税を5%に減税することは、経済・景気・暮らしを回復するうえで、当然の緊急要求ではないでしょうか。
さらに、長期にわたる日本経済の低迷を、本気で打開しようと考えたら、政治が「5%への減税」という思い切った家計応援の希望あるメッセージを発信し、実行することが不可欠ではないでしょうか。
安倍政権は、わずか6年の間に、8%への増税、10%への増税という2度にわたる消費税増税――合計13兆円もの大増税を強行しました。一つの内閣で2度もの大増税を強行するなど、戦後どの内閣もやったことのない空前の暴挙です。力をあわせて、消費税を5%に減税し、「安倍大増税」を元に戻そうではありませんか。
(2)消費税減税にむけた野党の協議と共闘をよびかけます
野党は、共通政策で「消費税10%への引き上げ中止」を公約にして参議院選挙をたたかいました。安倍政権が10%への増税を強行したもとで、野党が減税に向けた共闘を発展させることは、国民に対する当然の責任だと考えます。
日本共産党は、共通政策を土台に、消費税減税に向けた野党の協議を開始し、共闘をさらに発展させることを心からよびかけます。日本共産党としては、「5%への減税」が野党の共通政策となるように、力をつくします。
軽減税率を口実に政府が導入しようとしているインボイス制度は、中小業者やフリーランス、農業者、漁業者などに大打撃となります。増税の賛否をこえて、インボイス導入反対の共同をよびかけるものです。
(3)消費税減税と一体に、賃上げ、社会保障・教育の負担軽減を
景気回復にとっても、暮らしの安定にとっても、貧困と格差をただしていくためにも、消費税減税と一体に、賃上げと暮らし応援への政治の転換が必要です。
日本共産党は、参議院選挙で「暮らしに希望を―三つのプラン」を公約にかかげました。最低賃金を全国どこでもただちに時給1000円にして1500円をめざす、そのための中小企業支援を1000倍に増やす、「減らない年金」を実現する、国保料(税)の大幅値下げをはかる、大学・専門学校の授業料を半額にする、学校給食の無償化など義務教育の完全無償化、認可保育園を30万人分増やすなどです。
消費税の減税と一体に、「三つのプラン」の実現など、暮らし応援の政治への転換をすすめるために、力をつくします。
(4)消費税減税と暮らし応援のための財源――税財政改革と経済の好循環で
消費税減税と暮らし応援の政策を実行するために、大企業と富裕層に応分の負担を求めることを中心にすえた税財政改革を行います。家計応援の政策を実施することで経済が健全な成長の軌道にのれば税収増が実現できます。こうした税財政改革と経済の好循環をつくりだすことによって、消費税減税と暮らし応援のための財源をつくります。
――大企業と富裕層への優遇、不公平税制を見直し、応分の負担を求めます。中小企業の法人税負担率は18%ですが、大企業は10%しか負担していません。研究開発減税などもっぱら大企業だけが利用できる優遇税制があるためです。大企業優遇税制を是正し、法人税の税率を安倍内閣以前の水準に戻す(中小企業は除く)ことで6兆~7兆円の財源が生まれます。
――所得が1億円を超えると、所得税の負担率が逆に下がってしまいます。富裕層の所得の多くを占める株の配当や譲渡益が分離課税とされ、住民税を含めても20%と国際的にも低い税率になっているからです。証券税制の是正と最高税率の引き上げで3兆円程度の財源になります。
――為替取引税、富裕税、炭素税(環境税)を創設し、暮らしのための財源とします。これらで2兆~3兆円規模の財源をつくることができます。
――トランプ米大統領いいなりの米国製兵器“爆買い”などで膨れ上がっている軍事費や大型開発をはじめ予算を見直し、無駄を削減すれば、3兆円程度の財源を国民の暮らし優先に振り向けることが可能です。
――これらの財源で消費税減税と暮らし応援への政策転換をはかることによって、国民の所得の改善と健全な経済成長を実現し、さらに税収を数兆~10兆円規模で増やすことが可能になります。
なお日本共産党は、赤字国債の乱発と日本銀行による直接引き受けなど、野放図な借金を消費税減税などの財源にすることには賛同できません。
安倍政治のもとで優遇され、巨額の内部留保や金融資産を保有し、十分な担税力がある大企業と富裕層に応分の負担を求め、日本経済の主役である家計を温める政策をすすめれば、経済と財政の好循環が生まれ、財源を確保することは十分に可能です。それこそが“1%でなく、99%の人たちのための政治”を実現する道だと考えます。
◎消費税減税を求める政党・団体・個人が一致点で力をあわせよう
国民のみなさん。
日本共産党は、消費税を減税・廃止し、応能負担の原則にもとづく民主的税制を確立していくことこそ、暮らしと経済をよくしていく大道があると確信しています。
同時に、税制に対する考え方の違いはあっても、安倍政権が行った消費税大増税を見直すべきだ、景気や家計のことをもっと考慮すべきだなど、消費税減税を求める政党・団体・個人が一致点で力をあわせることを訴えます。
消費税の重い負担を軽減し、暮らしと景気を立て直すために、ともに力をあわせようではありませんか。
日本共産党の志位和夫委員長が発表した「消費税減税・廃止を求める、新たなたたかいをよびかけます」は、次の通りです。
◎消費税10%強行に満身の怒りを込めて強く抗議する
本日、安倍政権は、国民の強い反対と危惧の声を無視して、消費税率を10%に引き上げる大増税を強行しました。日本共産党は、国民の暮らしの悪化も、景気と経済を壊すこともかえりみない、この愚行に対し、満身の怒りを込めて強く抗議します。
国民のみなさん。
たたかいはこれからです。この大増税は、強行されたからといって、そのままにしておくことは決してできません。耐えがたい重税によって、暮らしと経済が土台から破壊されることを、座視するわけにはいきません。
私たちは、この日にあたって、消費税の減税と廃止を求める新たなたたかいをおこすことを、心から訴えるものです。
◎31年の消費税の歴史は何をもたらしたか――消費税廃止にむけ力をあわせよう
国民のみなさん。
今年は、消費税導入が強行されて31年目になります。この税金が、日本に何をもたらしたか。31年間の歴史で明らかになったことが三つあります。
第一は、消費税が、「社会保障のため」でも、「財政危機打開のため」でもなく、大企業と富裕層の減税の「穴埋め」に使われたということです。
この31年間で消費税収は397兆円ですが、ほぼ同時期に法人3税の税収は298兆円減り、所得税・住民税の税収も275兆円減りました。こうなった原因は、何よりも、大企業と富裕層への減税・優遇税制が税収を大きく減らしたことにあります(法人税率引き下げや大企業向けの優遇税制、所得税の最高税率の引き下げ、大株主優遇の証券税制など)。それにくわえ、消費税増税がもたらした不況と経済低迷が税収を減らしました。弱者から吸い上げ大企業や富裕層を潤す――これこそが消費税の正体であることが、すっかり明らかとなりました。
第二に、消費税が、貧困と格差の拡大に追い打ちをかけているということです。
所得の少ない人ほど重くのしかかる逆進性は、消費税の宿命的な害悪であり、どんな小手先細工によってもそれを是正することはできません。「生計費非課税」の原則に真っ向から反し、憲法25条に保障された生存権を脅かす悪税が消費税です。働く貧困層が拡大し、低年金の方々が拡大する社会において、暮らしに困窮する人々に最も無慈悲に襲いかかる最悪の不公平税制が消費税ではないでしょうか。
第三に、消費税導入と度重なる増税は、国民の暮らしと景気、中小企業の営業を壊し、日本を“経済成長できない国”にしてしまった大きな要因の一つとなりました。
日本経済は、消費税増税が繰り返された90年代以降、低迷を続け、“成長しない国”になってしまっています。1997年~2017年の間に、世界の主要国のGDPは、アメリカ―227%、イギリス―170%、フランス―178%、ドイツ―166%などという伸びですが、日本は102%と20年間かけてほとんど成長しない、長期の低迷に陥っています。
国民のみなさん。
31年の歴史によってその害悪が天下に明らかになったこのような悪税を続けていいのかがいま問われています。
いまこそ、消費税を廃止するために力をあわせようではありませんか。税金は負担能力に応じて――応能負担の原則にもとづいて、税制の民主的改革をすすめようではありませんか。
日本共産党は、消費税導入が強行されたその日から、一貫してこの悪税の廃止を求めて奮闘してきた政党として、消費税廃止の旗をいっそう高く掲げ、国民のみなさんと力をあわせてその実現をめざす決意を表明するものです。
同時に、消費税廃止を目標としつつ、次の緊急の要求を掲げて、国民の共同のたたかいを発展させることをよびかけるものです。
(1)消費税を5%に減税し、長期にわたる経済低迷を打開しよう
2014年に安倍政権が強行した8%への大増税の結果、5年半が経過しても家計消費は回復するどころか、増税前にくらべて年20万円以上も落ち込むという深刻な消費不況に陥っています。働く人の実質賃金も年15万円も落ち込んでいます。8%への大増税が重大な経済失政であったことは明らかです。10%への大増税は、失政に失政を重ねる言語道断の暴挙となったのです。
こうした経緯に照らしても、消費税を5%に減税することは、経済・景気・暮らしを回復するうえで、当然の緊急要求ではないでしょうか。
さらに、長期にわたる日本経済の低迷を、本気で打開しようと考えたら、政治が「5%への減税」という思い切った家計応援の希望あるメッセージを発信し、実行することが不可欠ではないでしょうか。
安倍政権は、わずか6年の間に、8%への増税、10%への増税という2度にわたる消費税増税――合計13兆円もの大増税を強行しました。一つの内閣で2度もの大増税を強行するなど、戦後どの内閣もやったことのない空前の暴挙です。力をあわせて、消費税を5%に減税し、「安倍大増税」を元に戻そうではありませんか。
(2)消費税減税にむけた野党の協議と共闘をよびかけます
野党は、共通政策で「消費税10%への引き上げ中止」を公約にして参議院選挙をたたかいました。安倍政権が10%への増税を強行したもとで、野党が減税に向けた共闘を発展させることは、国民に対する当然の責任だと考えます。
日本共産党は、共通政策を土台に、消費税減税に向けた野党の協議を開始し、共闘をさらに発展させることを心からよびかけます。日本共産党としては、「5%への減税」が野党の共通政策となるように、力をつくします。
軽減税率を口実に政府が導入しようとしているインボイス制度は、中小業者やフリーランス、農業者、漁業者などに大打撃となります。増税の賛否をこえて、インボイス導入反対の共同をよびかけるものです。
(3)消費税減税と一体に、賃上げ、社会保障・教育の負担軽減を
景気回復にとっても、暮らしの安定にとっても、貧困と格差をただしていくためにも、消費税減税と一体に、賃上げと暮らし応援への政治の転換が必要です。
日本共産党は、参議院選挙で「暮らしに希望を―三つのプラン」を公約にかかげました。最低賃金を全国どこでもただちに時給1000円にして1500円をめざす、そのための中小企業支援を1000倍に増やす、「減らない年金」を実現する、国保料(税)の大幅値下げをはかる、大学・専門学校の授業料を半額にする、学校給食の無償化など義務教育の完全無償化、認可保育園を30万人分増やすなどです。
消費税の減税と一体に、「三つのプラン」の実現など、暮らし応援の政治への転換をすすめるために、力をつくします。
(4)消費税減税と暮らし応援のための財源――税財政改革と経済の好循環で
消費税減税と暮らし応援の政策を実行するために、大企業と富裕層に応分の負担を求めることを中心にすえた税財政改革を行います。家計応援の政策を実施することで経済が健全な成長の軌道にのれば税収増が実現できます。こうした税財政改革と経済の好循環をつくりだすことによって、消費税減税と暮らし応援のための財源をつくります。
――大企業と富裕層への優遇、不公平税制を見直し、応分の負担を求めます。中小企業の法人税負担率は18%ですが、大企業は10%しか負担していません。研究開発減税などもっぱら大企業だけが利用できる優遇税制があるためです。大企業優遇税制を是正し、法人税の税率を安倍内閣以前の水準に戻す(中小企業は除く)ことで6兆~7兆円の財源が生まれます。
――所得が1億円を超えると、所得税の負担率が逆に下がってしまいます。富裕層の所得の多くを占める株の配当や譲渡益が分離課税とされ、住民税を含めても20%と国際的にも低い税率になっているからです。証券税制の是正と最高税率の引き上げで3兆円程度の財源になります。
――為替取引税、富裕税、炭素税(環境税)を創設し、暮らしのための財源とします。これらで2兆~3兆円規模の財源をつくることができます。
――トランプ米大統領いいなりの米国製兵器“爆買い”などで膨れ上がっている軍事費や大型開発をはじめ予算を見直し、無駄を削減すれば、3兆円程度の財源を国民の暮らし優先に振り向けることが可能です。
――これらの財源で消費税減税と暮らし応援への政策転換をはかることによって、国民の所得の改善と健全な経済成長を実現し、さらに税収を数兆~10兆円規模で増やすことが可能になります。
なお日本共産党は、赤字国債の乱発と日本銀行による直接引き受けなど、野放図な借金を消費税減税などの財源にすることには賛同できません。
安倍政治のもとで優遇され、巨額の内部留保や金融資産を保有し、十分な担税力がある大企業と富裕層に応分の負担を求め、日本経済の主役である家計を温める政策をすすめれば、経済と財政の好循環が生まれ、財源を確保することは十分に可能です。それこそが“1%でなく、99%の人たちのための政治”を実現する道だと考えます。
◎消費税減税を求める政党・団体・個人が一致点で力をあわせよう
国民のみなさん。
日本共産党は、消費税を減税・廃止し、応能負担の原則にもとづく民主的税制を確立していくことこそ、暮らしと経済をよくしていく大道があると確信しています。
同時に、税制に対する考え方の違いはあっても、安倍政権が行った消費税大増税を見直すべきだ、景気や家計のことをもっと考慮すべきだなど、消費税減税を求める政党・団体・個人が一致点で力をあわせることを訴えます。
消費税の重い負担を軽減し、暮らしと景気を立て直すために、ともに力をあわせようではありませんか。