【赤旗】9月21日 消費税10% 復興妨害―増税中止へ窮状切々―全中連が政府7省庁交渉
全国中小業者団体連絡会(全中連)は20日、地域の経済、雇用、文化などを支えている中小企業への支援を充実するよう求めて、財務省、経済産業省など7省庁と交渉し、現場の実態や切実な要求を突きつけました。
財務省への要請で、高松市で魚屋を40年経営する男性(72)は「消費税は、生きていくことそのものに税金をかける憲法違反の税制だ」と強調。京都でスナックを経営する男性(62)は「(軽減税率による)区分経理の事務も大きな負担だ」と述べ、増税を中止するよう訴えました。
要請に先立って開かれた幹事会で太田義郎代表幹事(全国商工団体連合会会長)は、「380万業者の声なき声を突きつけ政治と世の中を変えよう」と呼びかけました。
各地・各団体の代表が訴えました。
全国保険医団体連合会(保団連)の工藤光輝さんは、安倍政権が、医療、介護、年金などでさらなる給付削減と負担増を狙っていると告発。「最後まで10%への増税反対の声をあげ続けよう」と呼びかけました。
千葉県商工団体連合会会長の橋沢政實さんは、台風15号でいまだに3万戸以上が停電し、多くの業者や農家が営業・営農を再開できないでいると窮状を訴えました。
コンビニオーナーなどが参加する日本FC加盟店協会副会長の河合章さんは、値引きの規制など本部との不公正な契約や従業員の賃金、社会保険料の支払い困難を抱えるオーナーの実態を語りました。
日本共産党の岩渕友参院議員があいさつしました。
主な要請項目
全国中小業者団体連絡会が財務省、経済産業省などに求めた主な項目は、次の通りです。
【財務省】消費税10%への引き上げは中止する。財政健全化の財源は、大企業や富裕層への課税強化で確保する▽複数税率とインボイス制度は実施しない▽家族経営の女性の働き分を認めない所得税法56条を廃止する▽森友学園開設を後押しした財務省の疑惑を自ら究明する
【経済産業省・中小企業庁】中小企業予算を抜本的に拡充する▽被災者生活再建支援制度の支援金上限を500万円に引き上げるとともに、半壊・一部損壊や店舗・工場なども対象にする▽コンビニ等フランチャイズ本部による加盟店との契約について、不公正な取引を防ぐ規制を行う
【厚生労働省】国民健康保険への国庫負担を元の45%に戻し、当面は、国が財政支援を増額し、国保料を引き下げる▽年金のマクロ経済スライド制度を廃止する。これ以上の支給額の低下を中止する
【流通ニュース】9月18日 流通4団体/経産省「ポイント還元事業」抜本的な見直し要望
日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会、全国スーパーマーケット協会、日本チェーンドラッグストア協会は9月18日、経済産業省に対して、消費税増税対策としてのキャッシュレス・ポイント還元事業の抜本的な見直しについての意見・要望を提出した。
要望書によると、今般の消費税率引き上げに伴う負担軽減を図るため、「キャッシュレス決済の推進」か、「個人消費の下支え」か、「中小事業者の支援」か、その政策目的が曖昧なまま、キャッシュレス・ポイント還元事業の実施が短兵急に決定された。
これまで、事業は、消費者利便及び公平・公正な競争の確保の観点から強い懸念があるとともに、官主導による過度な価格引き下げ競争を通したデフレの再燃を招きかねないものであると大きな憂慮を表明してきた。
また、軽減税率の導入に忙殺されている中で、事業はさらに混乱を招くものとなっている。
このような問題を抱える事業が実施されるべきではないと考えるが、中止が困難な状況にあるならば、速やかに抜本的な改善を図ることを強く要望する。
2020年6月の期限の延長などを行わないことを直ちに確定するとともに、このような問題を含む類似政策が再び実施されることがないよう強く要望すると述べている。
対象加盟店の登録については、ポイント還元店舗が至るところに出現し、その地域の消費環境や競争環境に大きな影響を及ぼすおそれがあるため、事業に参加する中小店舗の随時登録のあり方を見直すよう要望してきたが、依然として放置されたままになっている。
このような登録のあり方は、かえって消費者を混乱に陥れ、競争環境の予見可能性を削ぐとともに不安定にするものにほかならないと指摘。9月末日をもって、対象加盟店の登録を締め切るように求めている。
■ポイント即時充当(実質値引き)に憂慮と失望
また、「即時充当(実質値引き)」については、そもそも、「ポイント還元」という名を借りた官製の価格引き下げ競争策自体大変大きな問題と考える。
クレジットカードの利用や大規模に展開するコンビニの店舗などにおいても精算時の「即時充当(実質値引き)」が幅広く容認される様相を呈していることは大きな驚きであり、憂慮と失望を禁じ得ない。
このような「価格引き下げ行為」が市中に増加することは、一見「消費者の利益」にかなうかのように思われるが、日々の買物に新たな差別と混乱をもたらすことになるとともに、過度な価格引き下げ競争を通したデフレの再燃を招きかねないものであり、到底看過できるものではない。
加えて、小売事業者は日々大変厳しい競合環境の中で事業を展開しており、官製による「常時値引き」が可能な店舗が至るところに出現することは、公正・公平な競争環境や自由な事業活動を大きく損なうものと言わざるを得ないと指摘した。
その上で、現実の運用は、「やむを得ない場合でなくとも即時充当を認めている」との懸念を持たざるを得ないところであり、「即時充当方式」を即刻廃止するか、少なくとも公募要領に従った適正な運用を確保するように要望した。
■たばこは還元対象から除外すべき
対象商品については、小売定価制が維持されている「たばこ」について、事業に参加する店舗においてのみ「値引き」と同様の効果を生じてしまうことの問題を指摘してきたが、今回、施行規則の改正案が示され全ての取扱い事業者に「値引き」が認められることとなった。
これまでの指摘に対しては一定の配慮をいただいたものと理解しています。しかしながら、事業開始間際になって提示された制度改正に対応するためにはシステム改修や再設定を伴い、相当の困難と負荷がかかるものであり、やはり公正・公平な事業活動を阻害する代表例と考えざるを得ない。
そもそも、小売定価以外による販売を禁止するとともに健康面から販売に制限・配慮をしている商品を本事業の対象とすることは、適切とは考えられない。そのため、今後の政策立案にとっても悪しき先例とならないよう、「たばこ」は還元の対象から除外するよう要望した。
要望書では最後に、「キャッシュレス決済の推進」自体には賛同するが、今回のポイント還元事業のような問題が多い政策ではなく、事業者の規模を問わず、決済手数料の引き下げや決済端末導入やシステム改修に係る優遇措置等の適用等のキャッシュレス決済の推進に向けた適切な政策が実行されることを強く要望すると述べている。
【AERAdot】9月19日 山本太郎「できると確信」 立憲議員らと“消費税廃止”のマレーシア訪問
7月の参院選で2議席を獲得した「れいわ新選組」の山本太郎代表(44)は、政策の軸に「消費税ゼロ」を掲げる。緊縮財政によるデフレの状態から脱却するためには、財政の出動が必要だと主張し、「税の取り方を変えれば消費税だってやめられる」と訴える。
「この国では、かれこれ20年以上のデフレが続き、人々の生活と人生はすっかり疲弊してしまいました。すでに生活が苦しく、消費税が8%でもしんどい。だから、今回の(消費増税の)特徴的なこととして、10%に上がる前の駆け込み需要がほとんど起きていません。これは一部の富裕層を除く国民に、買いだめしておこうという体力がなくなっているからです」
1997年4月、当時の橋本龍太郎内閣のとき、消費税率が3%から5%にアップした。それと同時に政府は支出を抑える緊縮政策にかじを切る。翌98年から日本経済は本格的なデフレに陥る。
「私は、消費税自体がこの国の経済とか人々の暮らしを壊してきたと思っている。消費税を5%に上げたことを、後で橋本さんは、間違いだったと認めてらっしゃいますから。人々の生活を壊すことにつながったということを認識されているわけですね。もちろん、消費税だけではなくて、97年にはアジア通貨危機もあったので、内外で不安定な状況が生まれたという部分もあるとは思うんです。だけど、日本国内での消費の落ち込みであったりとか、就職氷河期であったりとかの、本格的なデフレに突入させる引き金をひいたのは、消費増税であったことは間違いないです」
その後もデフレが20年以上続いている。
「どういう状態か? 世の中にお金がまわっていない状態。人々はお金がない、もしくは将来に不安があるからお金を出さない。消費が弱まっていけば、投資をしようという企業が減るのは当たり前なんです。人々も企業も金を出さないということは、世の中にまわるお金が、より少なくなっているということ。これに加えて政府が支出を削減したり、増税したりすると、さらにまわらなくなる。まわってるお金を間から抜いていくのが増税。より状況が悪くなるに決まっている」
こう主張する山本氏が、消費税廃止を実現した国の例として挙げたのが前述したマレーシアだ。
「マレーシアでは、消費税が物価上昇を招き、国民からの不満がたまっていたんです。マハティール首相が消費税ゼロを実現し、財源が失われた部分はあるけれど、高級なサービスなどを受けたときにかかるお金持ち向けの旧税(SST/売上税・サービス税)を復活させました。わかりやすく言うと、定食屋ではそうした税はかからないけど、高級レストランではかかる、みたいな話です」
消費税廃止以前は非課税品目が545だったが、旧税を復活させたことによって、非課税品目が5443品目に拡大した。
「これだけでも随分、一般の消費者にとっては負担が軽減されたと思います」
廃止から1年。マレーシアの2019年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比で4.9%増(日本は1.0%増)と伸び、GDP全体の6割弱を占める個人消費は同7.8%増(日本の民間最終消費支出は0.9%増)と好調さを示した。
「消費税をやめることによって一気に消費が高まり、旧税を復活させた反動で一回落ち込む。けれどまた上がっている状態だと思う。マレーシア政府の見解は、成長することによって税収を増やしていく、と明確に示しています。普通に考えて、消費の落ち込みというのがあったならば、消費にかかる税金を軽減していくのは当たり前の話なんですよね」
参院選の前、山本氏は消費税5%への減税を主張していたが、選挙では「廃止」になった。どうしてなのだろうか。
「消費税は5%に減税、を野党の共通政策として参院選を戦いたい狙いがありました。落とし所を5%にするためには、廃止でプレッシャーをかける必要があると。5%がかなえば旗を降ろすとまで宣言していましたが、影響なかったようで(笑)。野党は『増税凍結』で選挙に突入した。ですから本番でも遠慮なくこの国に一番必要な廃止を訴えました。8%から5%、3%を経由して段階的に廃止するやり方だと、次に税率が下がるときまで待とうという買い控えが生じるおそれもありますから、本物の景気回復には廃止のほうがいい」
とはいえ、消費税をゼロにした場合、財源はどうするのだろうか。
「消費税をやめると仮定した場合、年間20兆円くらいの財源が必要になります。その財源を何で埋めるかというと二つある。一つは国債の発行。もう一つは税でやる。法人税を累進性に変えていく。もうかっているときに税率は高まるが、そうでないときは税負担が低くなるというやり方です。さらに、所得税についても累進性を強化し、分離課税などをやめることで金持ちからより取れるようになれば、29兆円の財源ができるという試算が存在するんです。あくまでざっくりとした数字。でも、税の取り方を変えれば、消費税だってやめられる、ということです」
法人税を厳しくすると、海外に企業が出ていくといった指摘が出てくることについては、こう反論する。
「経済産業省の14年の海外事業活動基本調査によれば、企業が海外進出を決定した理由として、『税制、融資等の優遇措置がある』と答えたのは、たった8.0%。1位の67.5%は、『現地の製品需要が旺盛』。海外に出るのは物が売れるから。この国はどうかと言えば、人口減で賃金も上がっていない。内需が弱っているから将来的な展望が持てない。なぜ企業側が内部留保をあれだけため込むのかと言ったら、投資に回してもリターンがないと思うからです」
こうした内部留保に対して課税するべきだとの主張については反対という。
「合法的にためたものを『新たに金よこせ』というのはヤクザすぎる。はき出させる、というのなら、国の成長戦略をもとに、投資をしていただくのが王道です」
もう一つの財源となる国債発行については、大胆に財政出動すべきだと指摘。
「国が、成長産業が何かを見極めて、投資すべきです。教育、保育、介護など国がケチり続けてきた分野は、伸びしろしかない。『国が本腰を入れるので、みなさんも参加しませんか』とやればいいんですよ」
ただ、大規模な財政出動には、インフレを懸念する声が上がる。こうした主張に対しても、疑問を持っている。
「ハイパーインフレの心配があるという人たちに聞きたい。まだデフレから脱却すらできていないのに何がハイパーインフレですか?金利は30年以上下がりっぱなし。これが破綻(はたん)すると言うのなら、金利が上がっていないとおかしい。そこの説明ができていない」
消費増税後は、すでに冷え込んでいる景気がさらに落ち込むとみている。
「年間の自殺者は2万人を超え、未遂も推計50万人を超えている。生活困窮を自己責任化する空気も原因と考えます。誤った政策によって、人生が行き詰まり、自ら命を絶つほどに追い詰められる社会を止めたい。8%でも首をくくらないといけないような状況だった人が、10%になったらどうなるか。中小零細企業を壊す気か、と。本当に、政府はろくでもないことをやってくれるなと思います」
(本誌・上田耕司)