【赤旗】9月11日<主張>消費税増税目前―国民には「駆け込む」力もない
安倍晋三政権が10月1日から強行を狙う消費税率の10%への引き上げまで、20日余りです。政府は、増税と同時に行う「複数税率」実施のためのレジ設置への補助やキャッシュレス決済のポイント還元のための中小業者の登録など、準備を進めています。しかし、増税に対する国民の反対の声はおさまりません。今回の増税前の目立った特徴の一つは、「駆け込み」需要が低調なことです。金額の張る自動車や住宅では目立った需要増がほとんどありません。その背景には勤労者の所得が低迷し、購買力が弱体化していることがあります。
小売販売8カ月連続減
消費の弱さを示す指標の一つが、経済産業省が8月末発表した商業動態統計です。7月分の小売業販売額は、季節調整を行った指数で前月に比べ2・3%の減となりました。前年同月と比べると、昨年12月以来、8カ月連続のマイナスです。総務省の家計調査でも、7月の実質消費支出は、2カ月連続で減少しました。
勤労者の所得の低迷は、厚生労働省の毎月勤労統計調査で浮き彫りになっています。事業所規模5人以上の企業の勤労者の7月の実質賃金は、前年に比べ0・9%低下し、今年に入って7カ月連続のマイナスです。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の下では、大企業や富裕層のふところが豊かになるだけで、勤労者の賃金は上がっていないことの表れです。
資本金10億円以上の大企業の内部留保は2018年度末で449・1兆円にも積み上がっています(財務省の法人企業統計から)。アメリカの通信社ブルームバーグのデータによれば、日本の上場企業の手元現金だけでも、大半の国の国内総生産(GDP)を上回る506兆円にも上るといわれます。こうした手元現金は、今すぐにでも労働者の賃上げや設備投資に使えるものです。
内閣府が9日発表した今年4~6月期の国内総生産(GDP)の改定値でも、消費の低調さや所得の低迷を改めて示しました。GDPの前期(1~3月期)に比べた実質の伸び率は0・3%と、8月に発表された速報値より0・1ポイント低下しました。個人消費の伸びは速報値と同じ前期比0・6%でしたが、民間住宅投資や民間企業の設備投資は下がりました。米中の貿易紛争の影響を受けた輸出も、不振が続きます。GDPの雇用者報酬には賃金だけでなく役員報酬も含まれます。それでも、その雇用者報酬の前期に比べた伸び率は実質0・7%という低さです。
こうした中だからこそ、増税前の「駆け込み」需要も目立たないのです。日用品のトイレットペーパーや洗剤を買っても、ささやかな額です。消費者は住宅や自動車を買わないのではなく、買う力がないのが実態です。
政府は国会審議を行え
安倍政権は、消費税の増税にあたって、経済の下振れリスクには躊躇(ちゅうちょ)なく対策をとるからと、増税を正当化します。しかし、そんな「対策」に巨費を投じるなら、増税そのものをやめればいいだけです。「複数税率」の導入やキャッシュレス決済のポイント還元は、消費者や中小企業の負担を軽くするものではありません。増税前に国会で審議を行い、増税の中止に追い込んでいくことが不可欠です。
【週刊女性】9月24日号 責任者出てこい! 消費増税で導入される軽減税率とポイント還元はメチャクチャ
消費税10%の増税まで1か月を切るなか、政府は景気失速を防ぐために2兆円規模の費用を計上、「十二分な対策」(安倍首相)を講じたと強調する。
それでも増税すれば、家計への打撃は避けられない。どの程度の負担増になるのか、生活経済ジャーナリストのあんびるえつこさんが教えてくれた。
「総務省の家計調査に4人世帯(世帯主42歳)の平均的なデータがあるので、それをもとに計算してみました。それによると、増税後は月3000円、年4万円ぐらいの負担増になります。食料品に軽減税率が適用されるとはいえ、外食や水道光熱費、通信費、学習塾といった教育費などいろいろかかりますからね」
ややこしいうえに効果は謎
今回の増税に伴い、食料品に軽減税率が初めて適用される。だが、外食は適用されないというのがややこしい。
特に、ファストフードやコンビニの、「持ち帰りは軽減税率で8%、イートインは外食扱いで10%」という仕組みは、客も店側も混乱必至だ。
「コンビニのイートインコーナーやファストフードの席で座って食べると10%になるわけですが、どこで食べるかは、あくまで買う側の自己申告。“席がないから持ち帰りで”とテイクアウトにして8%の消費税を払ったあと、“あっ、そこが空いてる”と座って食べることなど、おおいにありうるわけです。
なかには、最初からそのつもりで“テイクアウトで”と申し出る人もいるでしょう。そういう場面にお店がどう対応するか、現場のスタッフは悩まされそうです。あと、不思議なことに、映画館で買ったポップコーンや飲み物の消費税は8%です。劇場のシートに座って食べるのに(笑)」
不可解な点はまだある。添付の表にまとめたとおり、8%に据え置かれる食品と、そうでないものの線引きがわかりにくい。
例えば、みりん風調味料は軽減税率となるが、本みりんは対象外。食べ物を購入して、公園のベンチで食べるなら8%だけど、店が設置したベンチで食べれば10%に。飲料用の氷と保冷用の氷でも、税率はそれぞれ異なる。
「私がおかしいと思うのが、水道水にかかる消費税は10%だということ。水道水って命にかかわるものですよね。その一方で、スーパーで売っているミネラルウォーターは8%。こちらのほうが庶民にとって高級品です」
軽減税率は弱者のためのものではない
生活を維持するものとして、軽減税率を適用するべきものはもっとたくさんあるとあんびるさん。
「食料品に適用されたことは当然のこととして、電気・ガス・水道が抜けているのはおかしい。北国の人にとっては灯油もライフラインに入るでしょう。今回、新聞が“知る権利”を保証するために軽減税率の対象となりましたが、庶民で新聞を定期購読している人は減りつつあります。
むしろ、ネットから情報を取る人がかなり増えていることを考えたら、通信料も対象にしたほうがいいのでは。ネットでも話題になりましたが、紙おむつや生理用ナプキンも生活必需品なのに10%です」
ちなみに財務省の資料によると、ヨーロッパの多くの国で、食料品のほか水道水、外食、雑誌や書籍、医薬品にも消費税の軽減措置がある。
「日本の軽減税率が弱者の立場で考えられたものではないということがよくわかります」
そのヨーロッパでは近年、軽減税率の効果を疑問視する声が広がっている。税理士の湖東京至さんによれば、ヨーロッパ連合(EU)の執行機関であるEU委員会では、軽減税率の廃止や見直しが提言されているという。
ローソンが公表した増税対応のレシートには軽減税率の「軽」の表示が
「事業者の事務処理が大変なうえ低所得者対策にならないとの批判があるほか、軽減税率のために国の税収が減っているからです。軽減税率をやめれば税収が上がり、むしろ標準税率を引き下げられるという考え。軽減税率の本家ヨーロッパが廃止や見直しへ動くなか、これから導入する日本は世界の流れに逆行していて時代錯誤です」(湖東さん)
このほかにも景気の落ち込みを防ぐため、キャッシュレス決済時のポイント還元が9か月限定で実施。また、プレミアム商品券、マイナンバーカードを使って貯める全国共通ポイントの発行、低年金者への最大で月5000円の給付金などが講じられている。
しかし、これらの対策で家計の負担が軽くなるかと言えば、はなはだ疑問だ。
「救済効果は微々たるものでしょう。食べ盛りの子どもがたくさんいる家庭ならともかく、高齢者世帯の食費は少ないので、家計を預かる主婦にとって軽減税率の効果はあまり感じられないのでは? ただ、外食の回数が減る、中食の回数が増えるといった変化はあるでしょうね。そういう意味で、いちばん影響を受けるのが外食産業、小売店などの流通産業でしょう」(あんびるさん)
【キャリコネニュース】9月13日 消費税増税で「生活がきつい」という声相次ぐ 「子どもを産むんじゃなかった」「お店閉めるとこが増えそう」
消費税増税まで1か月を切った。8%から10%になるわけだがこのアップが多くの人々の生活を圧迫する可能性は大いに想定される。ガールズちゃんねるに9月7日、「増税したら本気でお金がきつい人」というトピックが目立つ
★「増税する前からきついです」など、
すでに生活に困窮している人からのコメントが多く寄せられた。増税後はとか当たり前の生活が送れている人は厳しく、今現在厳しい生活を強いられている人はさらに厳しい生活にシフトせざるを得なくなるのかもしれない。文:石川祐介)
「このままじゃ格差は広がる一方で、社会を逆恨みする人たちの犯罪が増えていきそう」
★「ここ最近は、以前と同じ物を買ってると厳しくて、色んな商品のランクを安い方へ落とす事で乗り切ってる 」
可能な限り節約できるところは節約して何とかやりくりしていた人も、増税を機に生活状況が変わる人もいるだろう。10月以降に国民の権利である「健康で文化的な最低限度の生活」を送ることが難しい人は急増しかねない。
また、「ちゃんと国民に還元されるならいいんだけど」と増税を容認しつつも、「このままじゃ格差は広がる一方で、社会を逆恨みする人たちの犯罪が増えていきそう」と格差拡大を指摘するコメントも見られた。
消費税は豊かな人も貧しい人も同じく負担する逆新性の側面を持つ。増税で高所得者よりも低所得者に非常に大きなダメージを与え、格差の拡大だけでなく格差の固定化まで招く恐れがある。
他にも、「今後もますます増税するかも」という予想が出てきて「子ども生むんじゃなかった……生まれてきてそんな世の中が待ってるなんて可哀想すぎる」と子どもの将来を案じて出産を後悔する人の悲痛の叫びも見られた。
★参院選では消費税撤廃を訴える政党もあったが……
「うちは自営業飲食店ですが、これからますますお店を閉めるところが増えそう。うちもかなり厳しいです」消費増税は個人だけでなく企業側にとっても重くのしかかる。増税に伴うコストカットとして、最も手がつけやすい「人件費」を削る企業は増えるだろう。そして、消費税は上がり給料が下がるという負のスパイラルが生じる可能性も予想できる。
★「自民党に入れた人だけ増税して欲しいわ。馬鹿馬鹿しい」
自民党に入れた人や選挙に行かなかった人への恨み節も見られた。この前の参院選は投票率は48.8%と24年ぶりに半数を下回る歴史的な低さではあったが、「消費税を撤廃する」と訴えていた政党がある中で、自民党が票数を集めた。 増税が私達の生活にどのような影響をもたらすかはまだわからない。ただ、もし10%への引き上げのせいで生活が苦しくなったと感じたのであれば、次に行われる衆議院選挙では政党選びを吟味し、投票所に足を運ぶべきではないだろうか。