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草の根交流ニュース
不況進む中での増税は中止を
2019年8月31日

【赤旗】8月27日<主張>消費税10%が目前―不況進む中での増税は中止を
 安倍晋三政権が10月1日から強行を狙う消費税の税率10%への引き上げまで、あと1カ月余となりました。
 政府は新聞の全面広告を使って、増税実施に向けた宣伝に躍起です。しかし、国民の不安と懸念は全く払しょくされていません。経済情勢は、8月上旬に発表された今年4~6月期の国内総生産(GDP)が、低い伸びにとどまったことなどにも示されるように、いよいよ悪化が鮮明です。米中貿易紛争の激化で、国際経済の先行きも不透明です。こうした中での増税強行は許されません。
▼国内外の経済は深刻
 消費税は1989年4月に税率3%で導入され、その後の30年間に、5%、8%と増税が繰り返されてきました。原則としてあらゆる商品やサービスに課税される、低所得者ほど負担が重い逆進的な税金です。10%への引き上げは、安倍政権の経済政策「アベノミクス」がもたらした貧困と格差を一層拡大させる道です。
 消費税の増税による家計や中小業者の負担増は、消費や景気を冷え込ませます。実際、2014年4月に安倍政権が消費税率を8%に引き上げてから、長期にわたって消費の低迷が続いています。
 とりわけ深刻なのは、安倍首相の政権復帰以来、「戦後最長の景気拡大」といくら宣伝しても、経済情勢が昨年末以来、消費の不振に加えて、国際経済の悪化が顕著になり、ますます不況色を強めていることです。
 国際経済は、米中貿易紛争がエスカレートする中で、下振れリスクを警告する声が相次いでいます。米国のサマーズ元財務長官も09年の「金融危機以来もっとも危険な瞬間かもしれない」と言います。こうした中での消費税の増税は、世界経済にとっても日本経済にとっても無謀です。
 消費税を導入した時も、増税した時も、こんなにひどい経済状況ではありませんでした。安倍政権は15年10月に予定した10%への引き上げを2回にわたって延期した時、日本経済や世界経済の悪化を理由にしましたが、今はそれ以上に深刻です。
 消費税の増税が、参院選で「信任を得た」という安倍首相の言い分は通用しません。確かに政権与党の自民党や公明党は参院選で、10月からの増税実施を公約に掲げました。しかし参院選の結果は、自民党が改選時より9議席も減らし、投票日のマスメディアの「出口調査」でも、参院選後の世論調査でも、増税に「反対」が多数です。「読売」26日付の調査でも、「反対」が49%です。増税強行に全く道理はありません。
▼このままでは混乱必至
 安倍政権は、消費税率の10%への引き上げに対して「万全の対策」をとると言い張り、キャッシュレス取引でのポイント還元やプレミアム付き商品券の発行、景気の下振れリスクには「躊躇(ちゅうちょ)することなく」対策をとるといいます。しかし、制度を複雑にするだけで、効果が薄い対策に巨費を投じるぐらいなら、増税をやめるべきです。
 ポイント還元に必要な中小商店の登録申請は、まだ対象業者の約2割です。これで1カ月後に増税を強行すれば、混乱の拡大は必至です。増税前に国会での十分な議論もなく、増税を強行する安倍政権の姿勢は全くの暴走です。


【赤旗】8月28日 基礎年金 30年で3割減―マクロ経済スライドで年間7兆円―政府が「財政検証」 低年金者ほど打撃
  厚生労働省は27日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会で、公的年金の収支や給付の見通しを示す「財政検証」を公表しました。経済成長の程度が異なる六つのケース全てで、基礎年金(国民年金)の所得代替率(現役世代の手取り収入に対する年金の給付水準)が3割程度下がる結果となりました。物価や賃金の伸びよりも年金給付の伸びを抑制して給付水準を自動削減する「マクロ経済スライド」の影響です。
 経済成長と雇用の拡大が進み、収支のバランスがとれた時点で厚生年金と合わせた所得代替率が50%以上確保されるケース1~3でも、基礎年金の削減は2046~47年度まで続きます。基礎年金部分の所得代替率は現在の36%台から26%台に低下。給付水準は最終的に約3割も減ります。
 さらに、経済成長が低かったり、横ばいだったりした場合(ケース4、5)は、厚生年金と合わせても所得代替率が50%以下に陥り、基礎年金部分の削減率は4割に迫るとしています。
 安倍政権は7月2日、日本共産党の志位和夫委員長の質問主意書に対し、前回の財政検証をもとに、マクロ経済スライドが終了する43年には基礎年金の減額が年間実質7兆円になるとの答弁書を閣議決定しています。今回の財政検証でも、終了時期は3~4年遅れるものの、基礎年金の削減総額は年間約7兆円に上ります。
 一方、厚生年金の所得代替率は、ケース1で据え置き、ケース2、3でも0・2~0・7%と微減です。マクロ経済スライドの削減の影響は、国民年金のみの加入者など低年金者ほど大きくなります。
 公的年金の財政検証は5年ごとの実施が義務づけられており、前回は14年6月に公表されました。今年6月、年金だけでは老後に2千万円不足するとの金融審議会(財務相の諮問機関)の報告書が批判を浴び、7月の参院選でも争点となる中、安倍政権は公表を先送りしてきました。
 今回の財政検証は、出生率の改善や労働参加が進んだことで最終的な所得代替率が前回よりわずかに上昇するとしています。
 ただ、ケース1~3は、高い物価上昇率(2~1・2%)とそれを上回る実質賃金の上昇率(1・6~1・1%)を前提としており、安倍政権下で実質賃金が下がっている現実からはかけ離れています。こうした経済前提を置いても、ケース3では、基礎年金の満額は現在の月額6万5千円から6万2千円に減少します。
 マクロ経済スライド 公的年金制度で年金額の改定の際、物価や賃金の伸びよりも年金額の伸びを低く抑えて、給付水準を実質削減する仕組みです。年金財政の主な収入源は保険料と国庫負担です。安倍政権は、保険料や国庫負担を大幅に増やすのではなく、給付などの支出を厳しく抑制・削減する路線をとっており、マクロ経済スライドによる給付水準の削減を、強化・推進しています。
〔解説〕マクロスライドの逆進性浮き彫りに
 公的年金の新たな「財政検証」は、いまでも暮らせない年金をますます貧しくし、高齢者の経済格差を拡大する「マクロ経済スライド」の逆進性を改めて浮き彫りにしました。
 日本の公的年金制度では、20~60歳の全国民が基礎年金(国民年金)に加入します。会社員などは基礎年金とともに厚生年金(報酬比例)にも加入します。
 マクロ経済スライドは、少子化や高齢化の進展に合わせて、基礎年金部分と報酬比例部分それぞれの財政の収支が均衡する水準まで、年金給付を削り続けます。
 今回の財政検証で、基礎年金の給付水準は、経済成長と雇用の拡大が進むケースでも今後27~28年間減り続け、最終的に給付水準は約3割減少します。今年65歳で年金を受け取りはじめた人は、削減が終わるころには90歳を超えています。国民年金の平均給付額は現在月額5万5千円にすぎず、3割もの給付水準削減は、高齢者に対する重大な人権侵害です。
 特に、会社員時代の給与水準に応じて給付額が定まる報酬比例部分が低額の厚生年金加入者や、報酬比例部分の上乗せがない国民年金加入者(自営業者やパート労働者など)ほど、マクロ経済スライドによる削減の打撃は大きいのです。
 逆進性がここまで強まったのは、マクロ経済スライドの仕組みそのものに原因があります。
 2004年の年金制度改悪で導入されたマクロ経済スライドは当初、基礎年金部分と報酬比例部分の給付抑制の割合を同程度に見込んでいました。
 ところが、基礎年金財政の基準となっている国民年金財政のバランスは、加入者の減少や保険料の減免を受ける低所得者の増加などによって急激に悪化。財政検証のたびに基礎年金部分の削減幅が大きくなりました。
 反対に厚生年金は、基礎年金の給付抑制が厚生年金財政から基礎年金の給付のために拠出する財政負担の軽減につながり、財政検証のたびに削減幅が小さくなっています。
 マクロ経済スライドの矛盾と弊害は明らかです。国民の年金不信を解消し、老後の安心をつくるにはマクロ経済スライドを直ちに廃止し、「減らない年金」にすることがなにより重要です。
 日本共産党はマクロ経済スライドの廃止を主張し、そのための財源として、高所得者優遇の年金保険料見直し、約200兆円の年金積立金活用、賃上げと非正規労働者の正社員化による担い手強化―という現実的提案をしています。安倍首相は「ばかげた案」と一蹴する態度を改め、マクロ経済スライド廃止に足を踏み出すべきです。(佐久間亮)

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