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消費税増税の根拠は崩壊した
2019年5月18日

【赤旗】5月14日〈主張〉景気動向の「悪化」―消費税増税の根拠は崩壊した
 内閣府が発表した3月の景気動向指数で、景気の基調判断が2月までの「下方への局面変化」から「悪化」に転じました。消費の不振や輸出の落ち込みで、安倍晋三政権も、景気悪化を認めざるを得なくなったものです。来週発表される1~3月期の国内総生産(GDP)も実質ゼロ成長が見込まれます。月末に発表される政府の月例経済報告でも、これまでの「景気は緩やかに回復している」との判断を変えるのではないかとの見方が強まっています
 この経済情勢の中で、10月からの消費税の増税強行など最悪です。直ちに中止を決断すべきです。
6年2カ月ぶりの「悪化」
 景気動向指数は、企業の生産や雇用などの統計をもとに、内閣府が機械的に算出します。先行き、現状、過去の3種類の指数があります。現状を示す「一致指数」にもとづいた景気の基調判断は、「改善」「足踏み」「局面変化」「悪化」「下げ止まり」の5段階で表現します。1月と2月の基調判断は、「下方への局面変化」でした。3月は、「一致指数」が前月に比べ0・9ポイント低下、基調判断も2013年1月から6年2カ月ぶりに「悪化」に転じました。
 安倍首相は12年末に第2次政権を発足させてから、「戦後最長」の景気拡大が続いていると言い張ってきました。昨年から今年にかけ政府の経済統計の偽装が相次いで明らかになったように、“上げ底景気”の疑いが濃厚です。
 実際には安倍政権が強行した14年4月の消費税の8%への引き上げ以来の消費の低迷が続いているうえに、“頼みの綱”だった輸出や企業の設備投資も、中国経済の悪化や、米中の貿易摩擦の影響で、落ち込みがあらわになっています。内閣府が景気の基調判断を、「悪化」に変えたのは当然です。
 先週発表された3月の毎月勤労統計調査でも、物価変動の影響を除いた実質賃金が前年同月比2・5%減と3カ月連続のマイナス、下げ幅では15年6月以来3年9カ月ぶりの大幅減となりました。
 安倍政権が10月から強行を狙う消費税の10%への引き上げが、消費をさらに落ち込ませ、経済に打撃になるのは目に見えています。もともと消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進性のある税制です。複数税率の導入やキャッシュレス決済時の「ポイント還元」、「プレミアム付き」商品券の発行など、どんなに「十二分の対策」をとっても、増税の痛みは消えません。制度を複雑にするだけで、消費者にも中小商店にも、負担の軽減にならないことは明白です。
 景気の悪化が鮮明になる中での消費税の増税は、それこそ暮らしも経済も破綻に導くものです。消費税増税の中止は、まさに待ったなしです。
参院選で厳しい審判を
 景気の落ち込みは、首相側近の萩生田光一自民党幹事長代行でさえ、日本銀行の6月の全国企業短期経済観測調査(短観、7月1日発表予定)の結果次第では、延期もありうると言い出した(4月18日のインターネット番組)ように、政権内も動揺させています。増税は今からでも中止に追い込めます。
 自らの失政に全く反省がなく、増税に固執する安倍政権に、政治は任せられません。7月の参院選で厳しい審判を下し、安倍政権と増税計画を葬り去りましょう。

【月刊『ゆたかなくらし』】6月号 統計不正問題は高齢者のくらしにどのように影響するか  唐鎌直義
 長年、官庁統計を使って勤労者と高齢者の生活実態を分析してきた者として、今回の政府による統計不正には強い関心を抱いています。なぜこのようなことが起きたのか。その理由を考えてみます。

1.事実の隠蔽から事実の偽装へ

厚労省『所得分配調査結果』というわずか数ページのそっけない調査報告書があります。
今ではかんたんに入手できないものですが、私が博士課程院生の頃は国立国会図書館で閲覧可能でした(コピー不可)。所得階層(五分位)ごとに当初所得と再分配後所得の状況が示され、日本における税と社会保障による格差是正状況を示した資料です。その資料をもとに、かなり高い格差是正効果を発揮しているイギリスの社会保障との比較を行い、日本の社会保障が同一階層内再分配に終始していることを証明しました。
ある年、国会図書館のいつものボックスに閲覧に行くと、紙切れが1枚入っていまして、「必要な人は厚労省まで問い合わせること」と書かれていました。厚労省のお役人が私の論文を読むとは思えませんが、なぜか閲覧のハードルが上がってしまったのです。これが統計を公開しないという「事実の隠蔽」の始まりです。
その後、社会保障・人口問題研究所の『社会保障統計年報』に所得再分配の章が設けられるようになりました。ところが見てビックリ。社会保障による高い所得再分配効果が発揮されていることになっていたのです。子細に検討すると、第㈵五分位の社会保障給付(現金給付)が異常に高いことがわかりました。全世帯の第㈵五分位ですから、低賃金の不安定労働者、若年労働者などが含まれているはずです。
これは年金を受給している高齢者のデータではないかと思いました。また、高齢者のデータであるとしても、おそらく月数万円の国民年金で生活している一人暮らし高齢者はデータから除外されたのでしょう。これが「事実の偽装」の始まりです。
参考までに2017年の『所得分配調査結果』から高齢者世帯に関するデータを示すと、当初所得(稼働所得と財産所得)95・5万円、年金給付額204・5万円、総所得303・3万円、医療サービスを含めた再分配所得350・2万円。これが日本の高齢者世帯の平均値だというのです。「(税による再分配効果は上がっていないが)社会保障を通じて高い所得再分配が達成されている」と評価しています。
これ以外にも、厚労省『国民生活基礎調査』の高齢者世帯の世帯構造(世帯類型)別所得階層分布表が200 9年から公表されなくなり、高齢者世帯の貧困率を推計できなくなりました。
同じ時期に「子どもの貧困」に関するデータが数多く公表されるようになり、高齢者の貧困に関するデータは激減しました。貧困率の面では、子どもよりも高齢者の方が2倍以上も高いのに、どういうことでしょうか。多分、子どもの貧困は、本当は「子どもを養育している親の貧困」に他ならないのに、低所得労働者の親と子どもを切り離し、子どもだけを対象とする地域住民主体の「学習支援」と「子ども食堂」に対策を矮小化できたから、国に負担がかからなくて済んだためでしょう。
これに対して、高齢者の貧困は丸ごと国が責任を持たなければなりません。このように、厚労省による事実の隠蔽と事実の偽装は、今回、表沙汰になる前から徐々に進行していたのです。

2.統計不正問題の本質

政府統計は事実を極力正確に数量的に把握し、得られた事実をもとに既存の政策を修正したり、新たな政策を策定したりするために用いられるものです。その際、最も重要とされることは「恣意性の排除」(客観性の確保)です。恣意的に操作されたデータをもとに政策が展開されると、間違った方向に進んでしまい、後々大きな問題が発生するからです。統計学は恣意性を排除するための手法をさまざまに発展させてきた学問です。
今回の日本政府による「統計不正」は、毎月勤労統計が全数調査でなければならないのに、2004年以降、東京都ではひそかに標本調査に切り替えられていて、しかも大企業だけ標本数を大幅に減らしていたという問題です。これは「事実の捏造」そのものです。
一般に大企業の方が中小企業よりも賃金が高い傾向にあるので、大企業のデータを少なくすることは、東京都の事業所の賃金水準が低く表れることを意味します。この問題が露見した際、大和総研の研究員はNHKのインタビューに答えて「これで大企業は長い期間、賃上げの幅を抑えることができたので、相当得したのではありませんか」と発言していました。また、根本厚労大臣は正直にも、「大企業の方々から、毎勤への調査協力が非常に大きな負担になっているという意見が寄せられたので、それを考慮した」と答えていました。
この2つの発言を組み合わせると、今回の統計不正は「大企業への配慮」から起こったことであることが判ります。
倍首相は毎年、春闘の時期になると、経団連に対して「アベノミクス成功のためにも、賃上げに格段のご努力を賜りたい」という要求行動を派手に行い、その光景をマスコミに報道させていました。その裏で、自ら賃金が上がらない工作をしていたのであれば、あれは国民を騙すためのパフォーマンスに過ぎなかったということになります。このように裏表のある行動を繰り返す点が「人柄が信頼できない」と評される理由です。首相に比べれば、失言とお詫びを繰り返す浅慮の桜田五輪担当大臣の方が善人に見えてしまうほどです。「巨悪は栄え、小悪は滅びる」ということでしょう。

3.民主主義に反する「忖度」と「偽造」

これは逆説的な説明になりますが、自由に発言できる権利(表現の自由)が保障されている現代では、自分の意思を表明しないかぎり、全体の合意形成や方針決定に関与できません。だれも個人の意向を忖度などしてくれません。忖度とは「思いやる」「気を遣う」を意味する配慮とはちがって、地位の上下関係があるなかで、下位の人が上位の人に対して行う行為です。現代では、天皇が自ら退位の意向を記者会見の場で意思表明しなければならない時代です。これが民主主義というものです。
現代では「やましいこと」(犯罪的行為)を企む場合しか、忖度行為はあり得ないでしょう。天皇でさえ年々重くなる宮中祭祀の負担を宮内庁に忖度してもらえない時代に、官僚が大物政治家のやましい意向を忖度することなどあってはならないはずです。忖度することでブレークスルーされたやましいことの達成が一種の成功体験となって、保守政治家の間では「手柄話」として語られていたのでしょう。忖度した官僚も全員、栄転を遂げましたから。
塚田国土交通省副大臣の「私は忖度しました」発言は、森・加計問題が自民党内でどのように理解されていたのかを垣間見せてくれました。忖度は自民党内では美談だったのです。だから、うっかり公の場で話してしまったのでしょう。
民主主義の現代では、総理の意向を忖度すること、統計を偽造すること、それ自体が時代錯誤なのです。その行為が現代に黄泉がえってしまったこと、黄泉がえりを許容してしまったことの意味はものすごく深刻です。安倍首相のいう「美しい国」が部分的に実現された姿がそこにあります。

4.統計不正の多面的影響

統計不正によって国民が受けた損失は、2000万件を超えると言われる雇用保険の失業手当・労災補償金の支給減だけではなく、全勤労者に対する賃金引き上げ幅の圧縮です。その金額は、森友への8億円とか加計への139億円とかのレベルではなく、恐らく数兆円レベルに達するでしょう。それが大企業にプレゼントされたことになります。
また、賃金引き上げ幅の圧縮は、賃金スライド制を採用する公的年金の支給額にも連動しますから、高齢者が取り損なった年金額も相当額に達するでしょう。これはアメリカからの大量な戦闘機の購入に充当されたのでしょう。統計不正問題は、日本の民主主義を岐路に立たしめる大問題なのです。
筆者の懸念は、森友・加計問題と比べて、統計不正問題に国民がそれほど強い関心を抱いていない点にあります。その証拠に、事件以降、安倍内閣の支持率はむしろ上昇傾向にあります。どういう影響があったのか、わかりにくいためだと思われます。
統計を利用する立場にある私たち研究者が、強く訴えていかなければならない問題だと思います。また、この問題の露見を機に、2度とこういう問題が起こらないよう、各官庁の対応に目を光らせていかなければならないと思います。(からかまなおよし/立命館大学特任教授)

【月刊保団連】19年3月号 Q&A 消費税の損税問題(回答者―益子良一税理士)
Ⓠ医療に係る消費税の動きについて教えてください
Ⓐ「保険診療は非課税」とされているので、保険診療を受けた患者に消費税は課されません。しかし「非課税」とは、保険診療が課税対象にならないだけで、仕入れに係る消費税がなくなるわけではありません。保険診療を行う医療機関は、医薬品や医療機器の購入など仕入段階で発生した消費税を負担することとなりますので、最終消費者として「控除対象外消費税」-「損税」が発生します。
2018年度税制改正大綱では、医療に係る「損税」を解消するため、2019(平成31)午度税制改正で結論を得るとしていました。
Ⓠ 2019年度税制改正大綱ではどうなりましたか。
Ⓐ 大綱では「医療に係る措置」として、「社会保険診療等に係る医療は消費税非課税である一方、その価格は診療報酬制度による公定価格となっている。このため、平成元(筆者注:1989)年の消費税導入以来、仕入れ覗額相当分を診療報酬で補てんする措置が講じられてきたが、補てんにばらつきがある等の指摘があった」とし、「今般の消費税率10%への引上げに際しては、診療報酬の配点方法を精赦化することにより、医療機関種別の補てんのばらつきが是正されることとなる」と述べています。そして「今後、所管省庁を中心に、実際の補てん状況を継続的に調査するとともに、その結果を踏まえて、必要に応じて、診療報酬の配点方法の見直しなど対応していくことが望まれる」と指摘し、さらに「長時間労働の実態が指摘される医師の勤務時間短縮のため必要な器具及び備品、ソフトウェア、また地域医療提供体制の確保のため地域医療構想で合意された病床の再編等の建物及びその附属設備、さらに共同利用の推進など効率的な配置の促進に向けた高額医療機器の3点において、特別償却制度の拡充・見直しを行う」としています。
Ⓠ 医療界は「診療報酬による補てんは限界」として抜本的解決を求めてきたと思います。
Ⓐ 日本医師会は、今回の税制改正大綱をもって長年の懸案であった医療に係る消費税問題について解決したとの認識を示していますが、病院団体は、税制での補てんが不可能とされたことから「厳しい結果」と評価しています。
確かに「診療報酬の配点方法を精教化する」との方針は、「医療機関種別のばらつきが是正されることになる」かも知れませんが、個別の医療機関ごとに発生している「損税」が完全に補てんされるかは別の問題で、これまでの診療報酬での補てん対応と変わりません。
保団連は、10%増税時の診療報酬対応状況を厳しく精査しつつ、抜本的解決策として「ゼロ税率」適用を強めるとしています。
Ⓠ 消費税増税時の診療報酬改定はどうなりますか。
Ⓐ 診療報酬本体が+0.41%、薬価が▲0.51%、、材料が+0.03%となり、最終的には▲0.07%のマイナス改定になります。「損税」解消の抜本的解決のために、引き続きゼロ税率を求める運動が必要と考えます。