【赤旗】4月18日〈主張〉大問題の国保料―値上げノー 大幅な引き下げを
いまでも高すぎる国民健康保険料(税)をさらに引き上げる動きが、各地で強まっています。日本共産党が2019年度の保険料の改定状況を調査したところ、140市区町村で値上げしたことが分かりました。年5万円~10万円アップしたケースもありました。安倍晋三政権が全国の自治体に対して、国保料の大幅・連続値上げの圧力をかけていることが最大の原因です。政府の圧力に屈することなく、住民の暮らしを守るために力を尽くす自治体を実現できるかどうか。大激戦の統一地方選の後半戦(21日投開票)の大争点です。
連続上昇の危険が現実に
日本共産党の16日までの調査では、全市区町村の2割弱にあたる、少なくとも311自治体で国保料(税)を改定していました。給与年収400万円の4人世帯(30代夫妻と子ども2人)の場合で計算すると、140自治体で値上げになっていました。保険料を改定した自治体の半数近くで保険料アップが判明したことは、深刻です。
今年3月、日本共産党は、安倍政権が18年度から開始した「国保の都道府県化」によって保険料の大幅・連続値上げの危険があると警鐘を鳴らしました。都道府県化で導入された「標準保険料率」という仕掛けが、それぞれの自治体に保険料アップを強要することになり、際限ない引き上げを招くことになるという告発です。それが現実の動きになっている中、国保料値上げを許さないと住民が声を上げ、世論と運動を広げることが極めて重要になっています。
政府が圧力をかけても、自治体に従う法的義務はありません。まだ約8割の自治体が保険料改定をしておらず、すでに19年度の値上げを決めた自治体でも政府が求める水準より値上げを抑えている自治体も少なくありません。大幅・連続値上げをストップさせるたたかいは、まさに正念場です。政府の要求をはねのけ、住民を守る「防波堤」の役割を果たせる自治体にしていくことが不可欠です。
いまも高すぎる国保料に住民は悲鳴を上げています。負担能力を超える保険料を払えず滞納したのは全国で269万世帯以上にのぼります。これは全加入世帯の約15%で、東京都の滞納世帯は22%を超えています。保険料を払えず正規の保険証を取り上げられた世帯は92万世帯以上です。保険証がなくて病院を受診できず、手遅れになり死亡する悲劇が後を絶ちません。滞納世帯の財産差し押さえなど過酷な取り立てが住民を一層苦しめています。加入者の平均所得は他の公的医療保険より低いのに、保険料は、中小企業サラリーマンらが加入する「協会けんぽ」などと比べて異常に高い国保の構造問題の打開こそ急務です。
日本共産党の躍進こそ
いまやるべきことは国保料値上げでなく大幅引き下げです。これは幅広い人たちの願いです。全国知事会は、国保料を「協会けんぽ」並みの保険料に下げるために公費1兆円を投入することを求めています。日本共産党は知事会の提案に大賛成です。力を合わせて必ず実現しましょう。
統一地方選で、国保料値上げを推進する自民、公明などにノーの審判を下すとともに、国保料値下げと国保改善などに各地で全力を挙げる日本共産党を躍進させることがいよいよ求められます。
【「消費税10%」が日本経済を破壊する】(藤井聡著―晶文社刊)
―以下は、安倍内閣の官房参与(刊行当時)だった藤井氏の著書の一文です。(K)
「(2014年の)消費増税直前には、各世帯は年間369万円消費する勢いを持っていた。しかし、増税直後からその支出額は激減している。そして、現在では335万円へと縮小してしまっている。
そもそも消費税というものは、消費者にとっては「消費行動についての罰金」のようなものだ。だから、消費税を上げれば、必然的に消費にブレーキがかかることとなるわけだ。
いずれにせよ私たちの世帯は平均で、消費増税によって実に年34万円(369万円1335万円)もの消費を削ることとなったのである。」(同署021頁)
【毎日新聞】4月19日 在職老齢年金の廃止検討 政府・与党、高齢者の就労促す 高所得者優遇懸念も /政府・与党は、一定以上の収入のある高齢者の厚生年金支給額を減らす「在職老齢年金制度」廃止の検討に入った。政府は、意欲のある高齢者が働き続けられるよう制度改正する方針を打ち出しているが、在職老齢年金には支給されるはずの厚生年金が減額され、高齢者の就労意欲をそいでいるとの指摘がある。高齢者の就労を後押しするには制度廃止が必要と判断した。来年の通常国会に厚生年金保険法などの改正案の提出を目指す。/在職老齢年金制度の対象は、60歳以上で就労し一定以上の賃金を得ている厚生年金受給者。60~64歳は賃金(ボーナス含む)と年金の合計額が月28万円、65歳以上は月47万円を超えると年金支給額が減らされる。賃金が増えるほど減額幅は大きくなる。/厚生労働省によると、在職老齢年金の対象者は2016年度末時点で60~64歳が約88万人、65歳以上が約36万人。これにより年約1兆1000億円の年金支出が抑制されている。/厚生年金の支給開始年齢は65歳へと段階的に引き上げられている。男性が25年度、女性は30年度に65歳に完全移行し、約7000億円の年金支出が抑制されている60代前半の在職老齢年金制度は失効する。/一方、65歳以上については、廃止すると約4000億円の財源が必要になる。年金財政への影響が大きいことから、政府・与党は、受け取れる年金額を段階的に増やしたうえで全額受け取れるようにすることも含め検討している。 65歳以上の在職老齢年金制度は、現役世代の負担を軽減する意味合いもある。制度廃止による満額支給には「高所得者優遇」との批判も出かねない。自民党内からは所得税負担を増やすなど税制も併せて見直すべきだとの意見も出ている。/内閣府は昨年8月、在職老齢年金制度がなかった場合、フルタイムで働く60代の男性が約14万人増えるとの分析結果を公表した。ただ、就労促進の効果が高いのは60代前半との指摘もある。65歳以上は、減額される基準が高く、減額による生活への影響が小さいからだ。検討過程では、こうした政策効果も論点になる見通しだ。【横田愛】