【赤旗】3月27日〈主張〉19年度政府予算案 前提は総崩れ、成立許されぬ
一般会計の総額が当初予算で史上初めて100兆円を超えた2019年度政府予算案について、自民党と公明党などが参院で可決・成立させる動きを強めています。
予算案が前提にしている10月からの消費税の増税は、経済情勢の悪化が際立つ中で、根拠が総崩れとなっています。今年1月、菅義偉官房長官は、予算成立後、消費税増税を「最終判断」すると言いました(文化放送の番組で)。成立を待つまでもありません。失政を認めて、直ちに予算案を撤回すべきです。あくまで消費税増税に固執する安倍晋三首相を退陣に追い込むことが必要です。
「大砲」を「バター」に優先
19年度予算案は、大増税と大軍拡の「二重の亡国予算」です。
安倍首相が政権に復帰して以来、7年連続で増え続けた軍事費は、ついに5兆2574億円と、史上最高額を更新しました。アメリカのトランプ政権言いなりに、F35戦闘機や地上発射型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」などを“爆買い”します。これまで建前の、「専守防衛」さえ投げ捨て、「いずも型」護衛艦2隻空母化の調査費を盛り込むなど、「戦争する国」づくりに突き進む予算です。
一方、国民の暮らし向けでは、高齢化などによる社会保障費の「自然増」の伸びをカットし、後期高齢者医療保険料の軽減措置を廃止するなど、文字通り、「大砲」を「バター」に優先させています。予算の土台に関わる統計不正の解明に、政府が背を向けているのも大問題です。
62兆4950億円の税収のうち、消費税は増税によって3分の1近くにふくらみます。安倍首相は都合の良い数字を並べ立てて、経済が「成長」しているから、「リーマン・ショック級の出来事がない限り、法律にのっとって引き上げる方針だ」と繰り返しています。
経済情勢は今では政府自身、「下方への局面変化」や「輸出や生産の一部に弱さも見られる」ことを認めざるを得ません。どんなに「十二分の対策」をとっても、深刻な消費不況の中での消費税増税が、暮らしも経済も、破壊することは目に見えています。
消費税はもともと、低所得者ほど負担が重い、逆進的な悪税です。増税すれば逆進性は、いっそう強まります。住宅や自動車の減税措置は買わない人には無関係です。「幼稚園や保育園の無償化」も、所得の少ない人ほど負担は減りません。複数税率の導入やキャッシュレス決済時の「ポイント還元」、「プレミアム付き」商品券の発行などは、仕組みを複雑にするだけで、消費者も業者にも負担です。
世界経済も失速の恐れ
予算審議の中で、安倍首相も、家計消費や実質賃金がマイナスであることを認めました。増えたと自慢してきた雇用も、年金の不安から無理をしても働く高齢者や、高学費で苦しみアルバイトを迫られている学生などの増加によるものである事実を否定できません。
直近の世論調査でも、景気回復を「実感していない」が82%、消費税増税に「反対」が47%と「賛成」を上回っています(「日経」25日付)。先週末から各国の株式市場が不安定で、世界経済の失速の懸念は、増すばかりです。
前提がなくなった「二重の亡国予算」案の強行は許されません。
【MONEY VOICE】2017/11/23 京大の心理実験でわかった「10%消費増税」が日本を滅ぼすメカニズム=藤井聡(一部抜粋)
「京大で行った「消費者心理実験」
京都大学で行った「消費者心理実験」から、今度の「10%」への消費税増税は、これまでとはまったく異なる次元の凄まじいインパクトを与えることが示されています。
つまり今度の増税は「2%税率が上がる」という効果に加えて、「税率が10%になる」ということそれ自身が、激しく消費を冷え込ませる「特別効果」を持つことが示されたのです。
この実験では、様々な商品を買うシチュエーションを想定し、その状況下で様々なパターンでの「増税」を被験者に呈示しました。そしてそのそれぞれで「商品を買い控えするかどうか」を測定しました。こうして、どういう増税がどれだけのインパクトを持つかを測定したわけです。
実験参加者は男性女性100名ずつの合計200名。この皆さんに5つの増税仮想状況を呈示し、それぞれでの「買い控え」の程度を測定しました。
通常の「経済理論」では、3→5%への増税も、8→10%への増税も、どちらも「2%増税」なので、大きな差は無いと想定されます。つまり、増税後に何パーセントになろうが、増税する幅が同じであれば反応に大きな差は無いと考えることが一般的なのです。
だから8%の時の増税幅は「3%」だったけど、今度の10%への増税幅は「2%」なので、そのインパクトは小さくなるだろう、ということがしばしば指摘されています。
「実験の結果得られたデータを統計分析したところ、「10%への2%増税」は、これまでの「1.4倍もの消費縮退効果」を持つことが示されたのです。」
このことはつまり、2014年の8%増税よりも今回の10%増税の方が(その増税幅は2%に過ぎぬとしても)、「10%になる」ということそれ自身が原因で、より大きく消費を縮退させることを意味しています。
特に女性の買い控えが加速する
しかも男女別に分析をしたところ、その「10%増税の特別効果」は、女性において凄まじく顕著であることも示されました。女性にとっての「10%」の特別効果は、これまでの実に「2.9倍」にも達することが示されたのです。
このことはつまり、女性は概して、消費税が10%になった途端に、激しく「買い控え」をしはじめることを意味しています。」(以下略)