【現代ビジネス】1月26日 厚労省・統計不正で再燃する「安倍政権への忖度疑惑」の深刻さー国家への信頼が崩壊しかねない (歳川 隆雄)
56の基幹統計で22に「問題あり」とは…
厚生労働省の「毎月勤労統計」不正調査問題について、1月24日に衆院厚生労働委員会(冨山勉委員長)の閉会中審査が行われた。
この統計不正調査問題は、過少給付が発生している雇用保険の現在の受給者に対し追加支給する必要などその影響が国民の2000万人以上に及ぶことが判明し、安倍晋三政権を揺さぶりかねない深刻な事態を招来している。
それだけではない。22日に厚労省が設置した特別監察委員会(委員長・樋口美雄労働政策研究・研修機構理事長)の検証結果の中間報告が根本匠厚労相に提出されたが、そこでは「組織的な隠蔽は無かった」と決論づけられていた。
ところが閉会中審査の中で、不正調査に関与した厚労省課長補佐以下の職員らに聞き取り調査したのは身内の同省職員であったことが判明しただけでなく、統計を所管する総務省は、政府が56ある基幹統計が適正に調査されているかを点検・発表したが、56中22の基幹統計に問題があることを明らかにしたのだ。
不正の原点とささやかれる「官僚の忖度」
そもそも、不正調査の原点である2016年1月から行われた不正なデータを本来の全数調査に近づける「データ補正」(中間報告)の作業、すなわち統計サンプルの入れ替え判断は、なぜ行われるようになったのか。
それを理解するには少し時間を遡る必要がある。麻生太郎副総理・財務相は2015年10月の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)で、「毎月勤労統計については、企業サンプルの入れ替え時には変動があるということもよく指摘されている」と、数値が悪化していることにクレームを付けたが、このことが契機となっているというのだ。
要は、安倍政権要路に位置する麻生氏の統計言及に驚いた厚労省サイドが「忖度」したのではないかということである。
【東京新聞】1月26日〈社説〉学者の沖縄声明 憲法違反の指摘は重い
安倍政権の辺野古新基地建設は憲法違反-。百三十一人の憲法研究者がきのう、連名で声明を発表した。日本国憲法に守られない沖縄は異国なのか。政権は誠実に受け止め工事を再考すべきだろう。
0・6%の県土に在日米軍専用施設の七割が集中する沖縄。基地の存在から派生する事件事故、環境被害は後を絶たない。
そこに新たな基地が建設されることに多くの県民が異を唱えるのは当然だ。だが、知事選および国政選挙で重ねてその民意を示しても政権は一顧だにしない。
埋め立て承認の撤回という知事権限を使って対抗しようとしても、法の解釈をねじ曲げて効力を停止し土砂投入に踏み切る。
政権の対応は、憲法の基本原理である民主主義、基本的人権の尊重、平和主義、そして民主主義を支える地方自治を蹂躙(じゅうりん)する-。
名古屋学院大教授飯島滋明氏、武蔵野美術大教授志田陽子氏らグループの声明は、県民が日ごろ感じていた違憲の実態を整理して世論に訴えた点で評価したい。
百三十一人とは、国内の主な憲法研究者の四分の一前後に当たる人数という。昨年十二月十四日からの土砂投入によって賛同者が一気に増えた。
声明が特に強調するのは、民主主義や地方自治が問われている沖縄の現状は「日本国民全体の問題である」との点だ。新基地建設がこのまま強行されれば「日本の立憲民主主義に傷を残す」との問題提起は広く共有する必要がある。
その上で政権に求めたいのは、最低でも、約一カ月後に迫った辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票まで土砂投入を中止すること。その結果を踏まえ、米軍普天間飛行場の危険性除去と日米安保の在り方について県民のみならず国民との対話に乗り出すことだ。
「(沖縄住民の)自治は神話だ」。米軍統治下、キャラウェイ琉球列島高等弁務官が公言したように沖縄では自治も人権も厳しい抑制が続いた。日本国憲法下で平和や諸権利を取り戻す。復帰運動は沖縄の人たちの切実な願いから始まった。ただ現実は、基地建設を「粛々と進める」と言う菅義偉官房長官について故翁長雄志前知事が「キャラウェイと重なる」と形容するありさまだ。
復帰後五十年近くたっても満足にかなわない沖縄の求めは、私たちみなが重く受け止めるべきだ。
安全保障の名の下に沖縄だけに負担を押しつけていいのか。憲法に立ち返ってもう一度考えたい。
【赤旗】1月20日 チェーンストア協会長批判―「悪名高き消費税増税」
日本チェーンストア協会の小浜裕正会長(食品スーパーのカスミ会長)は18日の新年祝賀会で、10月からの消費税率引き上げについて「悪名高き消費税増税が実施される」と発言しました。「軽減税率やプレミアム商品券、キャッシュレス決済時のポイント還元策などに原資(増税による税収増)が消えていく。何のための増税か分からない」と述べ、政府の対応を痛烈に批判しました。
小浜会長は「『悪法も法なり』なので何とか努力はするが、全てが解決する見通しは立たない」と語り、複雑な「軽減税率」などへの対応を迫られることへの不満をあらわにしました。
祝賀会では、与党・公明党の斉藤鉄夫幹事長が「いろいろ矛盾点もあろうかと思うが、皆さんの声を聞きながら改善したい」とあいさつしましたが、会場の拍手はまばらでした。
業界関係者によると、経済産業省幹部は同日、協会の主要加盟社首脳にポイント還元策の内容などを説明しました。各社首脳からは「中小の小売店で買い物をした客に(国の支援で)ポイント還元するなら(支援を受けられない)大手は値下げで対抗せざるを得ない」「デフレを加速させる」などと批判の声が続出したといいます。
【赤旗】1月19日 公的年金 0.5%実質削減―厚労省 マクロ経済スライドを実施
厚生労働省は18日、2019年度の公的年金の支給額について、物価や賃金の上昇に応じて本来受け取れるはずの年金額の伸びを0・1%に抑えて、実質的に0・5%削減すると発表しました。19年10月には消費税10%への大増税も狙われており、年金を重要な支えとしている高齢者の厳しい生活実態と、国の悪政との矛盾は広がるばかりです。
0・1%増によるモデル的な支給月額は、国民年金が67円増の6万5008円(満額)に、厚生年金は夫妻2人の標準的な世帯で227円増の22万1504円になりますが、本来であれば過去3年間のデータに基づく賃金変動率に合わせて0・6%の引き上げです。同様のモデルケースで機械的に計算すると、国民年金は月335円、厚生年金は月1135円も実質削減されることになります。
実質削減されるのは、支給額の伸びを物価や賃金の上昇よりも低く抑える「マクロ経済スライド」を15年度以来4年ぶりに発動するためです。今回で2度目の発動となり、0・2%を減額します。
そのうえ安倍政権は、物価と賃金がともに上昇した場合を発動条件とするマクロ経済スライドが実施できなかった際に、抑制を翌年度以降に繰り越す仕組みを導入。18年度の未実施分0・3%を減額します。これで計0・5%の圧縮となります。
安倍政権は無年金・低年金の解決とは真逆に、12~16年度で高齢者1人あたりの年金給付費を年平均14万円も削減しました。19年10月には消費税大増税や、75歳以上の後期高齢者が加入する医療保険料を最大9割軽減している特例措置の廃止まで狙うなど、国民に冷たい施策をすすめています。
【赤旗】1月21日 内部留保還元で経済活性化―労働総研が春闘提言
全労連と共同して調査・研究活動をしている労働運動総合研究所(労働総研)は20日までに、2019春闘提言を発表しました。
安倍内閣のもとで企業収益は史上最高となりましたが、賃金は上がらず個人消費も低迷したままで、貧困と格差が拡大していると分析しています。
最低賃金引き上げなど労働者のための「働き方改革」や全労連・春闘共闘が要求する2万5千円の賃上げなどによって、GDP(国内総生産)は34・8兆円増加し、雇用や税収も大幅に増えると指摘。「賃上げや働くルールの改善は労働者の生活を向上させるだけでなく、日本経済を正常化し、拡大するカギとなる」と国民的大義を強調しています。
「働き方改革」として、(1)最低賃金の時給1500円への引き上げ(2)非正規雇用の正規化(3)サービス残業の根絶と年休の完全取得、週休2日制の完全実施―を提起しています。
賃上げ2万5千円は、全企業規模でみた内部留保667・3兆円(17年度)の2・98%で可能。時給1500円も2・46%、「働き方改革」(59・5兆円)も8・9%弱で可能だとしています。
「働くルールの確立」と非正規の正規化で雇用増は約643万人、最賃引き上げなども含めた税収増は6・35兆円に上ると試算。
「労働・雇用条件の改善は企業の労務コストを上昇させるが、やがて家計消費需要の拡大を通じて新たな国内生産が誘発され、企業経営にもプラスになって跳ね返ってくる」と強調しています。