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安倍政権の横暴が極まった国会―東京新聞
2018年7月21日

【JIJI.COM】「怖さ知らない」=消える金、スロットで指変色-ギャンブル依存に懸念・カジノ法
 カジノを中核とする統合型リゾート(IR)実施法が成立した。ギャンブル依存症患者の家族や支援団体からは「回復困難な病気」とカジノ解禁に伴う依存症患者の増加などを懸念する声が上がる。
 「同じ苦しみを受ける人が増えるだけでは」。神奈川県に住む60代の女性は、30代の息子が19歳だった頃、異変に気付いた。居間の引き出しに入れた5万円を発端に自宅で現金が消えていく。問いただしても息子は盗んだと認めない。車の免許取得費用などを口実に金をせびられ、100万円以上を手渡した。
 ある時、息子の指先が黒く変色しているのが目に留まった。スロット機に入れるメダルの汚れだった。依存症と分かってからは治療方針をめぐり夫婦げんかが絶えなくなった。大学を中退して自宅を出た息子は自助グループに加わるなどしたものの、10年以上たっても再発を繰り返している。
 借金をして生活保護を受けたこともあったが、現在の暮らしぶりは詳しく知らないという。「自分の息子だけど、怖い。素直ないい子だったのに」
 ギャンブル依存症患者や家族の支援に携わるNPO法人「ホープヒル」(横浜市)代表の町田政明さん(65)は「依存症は人格が変わり、本人だけでなく周りも苦しめる。政治家も本当の怖さを知らない」と話す。
 日本人客に対しては、カジノへの週3回までの入場制限や6000円の入場料徴収などの抑止策を打ち出しているが、「依存症になるのは回数や量の問題ではない」と効果に疑問を呈する。
 ホープヒルの利用者の中には、ギャンブルにのめり込んだ揚げ句、強盗事件を起こし逮捕された経験を持つ人もいる。政府は経済効果に期待を寄せるが、町田さんは「裁判や治療のコストなども含めると、社会的損失があまりにも大きい。カジノ周辺の治安も悪化するだろう」と危ぶむ。
 「国全体が経済優先に向かう中で、ギャンブルはその最たるもの。お金をもうけることは必ずしも国民の幸せにはつながらない」と訴えた。(

【東京新聞】7月21日《社説》国会あす閉会 政権の横暴が極まった
 通常国会があす閉会する。与党は延長会期中、国民への影響が懸念される「悪法」の成立を強行する一方、森友、加計問題の解明にはふたをしてしまった。安倍政権の横暴が極まったのではないか。
 あす会期末を迎える通常国会はきのう事実上閉会した。実質的な最終日、与党が成立を図ったのがカジノを中核とする統合型リゾート施設(IR)整備法案だった。
 そもそも刑法が禁じる賭博を一部合法化する危険性や、ギャンブル依存症患者を増やす恐れがある法案だ。地域振興や外国人の集客に本当に役立つのか、審議を通じても疑問は解消されない。法案成立後に政令などで決める事項が約三百三十項目にも上る。そんな法案を成立させていいのか。
 延長国会の期間中、西日本を豪雨が襲い、二百人以上が亡くなった。猛暑の中、多くの被災者が生活再建を急ぐ。避難生活を余儀なくされている方は依然多い。
 生活再建や復旧、復興に向けた策を練り、法の不備を補い、予算を確保することこそが、国会が優先すべき課題ではなかったか。
 しかし、会期末の限られた時間は安倍政権が優先した「カジノ法案」の審議に費やされ、寸断された道路や鉄道、堤防が決壊した河川を所管する石井啓一国土交通相が答弁に追われた。災害対策より賭博か、との批判が出て当然だ。
 西日本豪雨では、気象庁が厳重警戒を呼び掛けた五日夜、自民党議員が「赤坂自民亭」と題する宴会を開き、安倍晋三首相や小野寺五典防衛相らが参加していた。
 豪雨発生時から緊張感を持って災害対応に当たっていたのか、疑問を抱かせる振る舞いだ。
 与党は延長国会で参院議員定数を六増やし、比例代表の一部に優先的に当選できる「特定枠」を導入する改正公職選挙法も成立させた。法律が求める抜本改革に程遠く、「合区」対象選挙区で公認漏れした自民党現職議員の救済策にほかならない。こんな制度をつくり、恥じることはないのか。
 森友学園をめぐる問題では財務省の公文書改ざんが明らかになり、佐川宣寿前国税庁長官による国会での偽証も指摘されている。加計学園は愛媛県に嘘(うそ)をついたと主張する。国民の多くが疑念を抱くのに、与党はなぜ事実を解明しないのか。政治権力を集める首相や官邸への配慮なのか。
 国会で多数を占めれば、何をやっても許される。政権がそんな考えで国会を運営したとしたら、国民を愚弄(ぐろう)するにも程がある。

【赤旗】7月14日株価つり上げに64兆円―年金基金・日銀が資金投入―時価総額の1割
 アベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)によって国内株式市場に投入されている公的資金の時価総額が3月末時点で64兆円を超え、国内上場株式全体の9・6%に上ることがわかりました。東証1部上場企業に限ると、その比率は10%を超えます。国内株の1割を公的資金が占め、株価をつり上げる異常事態です。本紙の集計で明らかになりました。
 株式を買い入れている公的資金の一つは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)。公的年金の積立金を運用しています。6日に公表された3月末の保有銘柄一覧から計算すると、GPIFが保有する国内株の時価総額は40兆円でした。
 もう一つは日銀が年6兆円のペースで買い入れている株価指数連動型上場投資信託(ETF)。株式で構成される投資信託です。日銀が保有するETFの時価総額は同時点で24兆1000億円と推計されます。
 国内株式市場の公的資金は合わせて64兆1000億円。17年3月末時点と比べて13兆8000億円増えました。東証1部、2部にマザーズ、ジャスダックなど新興市場を合わせた国内株式全体の時価総額665兆3000億円に占める比率は9・6%(17年3月末8・7%)。東証1部では公的資金の比率が10・02%です。
 日銀は「異次元の金融緩和政策」で大量のETFを買い入れています。安倍政権はGPIFが運用する資産のうち国内、海外の株式が占める比率を倍増しました。この4年間を比較すると、国内株式市場の公的資金は時価ベースで2・6倍に膨らみ、国内株全体に占める比率は5%から10%に急増しました。

 《関連記事》同紙7月19日 公的マネーが筆頭株主―1部上場3社に1社― 安倍政権の株価つり上げ政策で― 昨年から拡大
 公的年金の積立金と日銀が株式市場に大量の資金を投入した結果、3月末時点で、東京証券取引所一部上場企業2064社のうち少なくとも710社で公的マネーが「筆頭株主」になっていることが本紙の推計で分かりました。代表的な大企業の3社に1社で公的マネーが筆頭株主となる異常事態です。17年3月末の本紙推計625社からさらに増えました。
 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が保有する株式は銘柄別の株数が公表されています。日銀は、株価に連動して運用される株価指数連動型上場投資信託(ETF)を年間6兆円購入することによって、株式市場に資金を投入しています。日銀が保有するETFの銘柄別内訳は公表されていませんが、日銀の購入方針などから、間接的に保有する個別銘柄の株数を推計できます。
  ▶トヨタが最多
 二つの公的マネーを合わせた投入額は、トヨタ自動車が最多の1兆9497億円、次いでソフトバンク・グループ1兆1345億円、三菱UFJフィナンシャルグループ1兆482億円と続きます。投入額上位10社のうちトヨタ自動車を含め6社で公的マネーが筆頭株主でした。
 また、投資先として特に評価が高い大企業で構成する「日経225指数」の採用銘柄225社に限定して集計すると、公的マネーが筆頭株主になっている企業は189社で、84%を占めました。
 安倍晋三政権は日銀に大量のETFを買わせ、GPIFの積立金の株式による運用比率を2倍に拡大しました。株式市場に巨額の公的マネーを投入することによって株価をつり上げています。