【赤旗】7月1日 大企業役員報酬1億円以上500人超え―本紙調査 日立は2倍以上に
2018年3月期(17年度)に上場企業で1億円以上の報酬を得た役員が530人を超え、過去最高を更新したことが本紙調査でわかりました。500人を超えるのも初めてです。29日までに公表された3月期決算上場企業の有価証券報告書から集計しました。1億円以上の役員が急増したのは日立製作所で、前年度の7人から18人へと2倍以上に増やしました。
1億円以上の役員数が最も多かったのは三菱電機の22人。4年連続で20人以上でした。22人の報酬額合計は32億9000万円で、前年度から7億2000万円の増加でした。
2番目の日立製作所は、中西宏明会長が今年度から経団連会長を務めています。中西会長の報酬額は2億4300万円でした。
続いてファナック、東京エレクトロンの10人でした。
役員報酬額がもっとも多かったのはソニーの平井一夫前社長の27億1300万円でした。内訳は基本報酬2億4400万円のほか、業績連動報酬6億4700万円、ストック・オプション(自社株購入権)4億900万円など。さらに、今年4月の社長退任による退職金11億8200万円を加え、前年度の9億1400万円から大きく増やしました。
2位はソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長の20億1500万円、3位もソフトバンクグループのマルセロ・クラウレ副社長で13億8200万円でした。
安倍晋三政権による大企業優遇や株価つり上げ政策、トランプ減税の恩恵を受けて、高額報酬を受け取る役員が増えています。生活を切り詰めざるを得ないほど労働者の実質賃金が低迷を続けているのとは対照的です。
【週プレ NEWS】7月7日 中間層を搾取する貸金ルール、緩すぎる入場規制......「カジノ法案」は地雷だらけだ!
6月15日、衆議院内閣委員会でカジノ法案が成立した。『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏は、この法案に埋め込まれた多くの"地雷"について指摘する。
「カジノ法案(IR整備法案)」をこのまま成立させていいのか? 安倍首相は「世界最高水準のカジノ規制を導入する」と豪語するが、どうにも怪しい。
例えば週3回、月に10回までの入場制限は、実質的に週6日間のカジノ通いが可能なザル規制だ。どういうことか?
法案では一回の入場時間は"24時間"となっている。ということは月曜午後5時に入場した客は火曜日午後5時までカジノに滞在できる。その後、カジノ内のホテルに1泊し、水曜のお昼頃に起きて腹ごしらえをし、その日の午後5時に2回目の入場をすれば、木曜の午後5時まで再びカジノ遊びができる。
さらに翌日の金曜日に同じスケジュールでリミットとなる週3回目の入場をすれば、その客は月曜から土曜日まで週6日間、カジノざんまいの日々を過ごせる。翌週以降、残り7回の入場を同じように消化すれば、1ヵ月で20日以上カジノに入り浸れる計算だ。極端な例に思われるかもしれないが、そういったことができないよう、制度的に外堀を埋めなければ正しく機能する規制になるとは言えない。
特定資金貸付業務の導入もリスキーだ。これは訪日外国人と、預託金を積んだ日本人富裕層を対象に、賭け金をカジノ業者が貸し付けるルールだ。
私は経産省時代、消費者信用を担当したことがあるのでわかるが、貸金業者は取りっぱぐれの恐れのある客には貸さず、返済力のある客に保有資産ギリギリまで貸し込むのが常だった。
日本版カジノは客の8割近くが日本人になると想定されている。もともと特定資金貸付業務は外国のVIP客が多額の賭け金を持ち歩かないで済むよう、海外のカジノが採用した制度なのに、日本人客も利用可能とするのでは中間層の国民が賭け金の返済に苦しむことになりかねない。
法案では入場時にマイナンバーを提示することになっており、それをもとに客の資産情報を調べれば、カジノ業者は資産ギリギリまで貸し込むことができるのだ。
特定資金貸付業務は富裕層を対象とすると政府は力説するが、実際には持ち家があるが収入は年金だけの高齢者などをカジノに誘引し、その資金をむしり取ることになるだろう。
そのほかにもカジノ面積の規制が不十分な点や、カジノを監督する管理委員会にカジノ事業者を選任できるなど、カジノ導入には"地雷"がたくさん埋め込まれている。
驚くべきは法案に条文として記載されず、法成立後に政令などで定める条項が331もあることだ。政令だから国会のチェックは必要なく、政権与党や内閣府、国交省など、カジノを所管する利権官庁が事業者とグルになって、カジノの運営ルールを決めるという仕組みになっている。
これらに加え、海外マフィアを日本に呼び込むリスクも高い。
これだけのリスクがありながら、政府が法案成立を急ぐ背景にはカジノをアベノミクスの目玉にしたい安倍自民と、悪評高い法案は早期に仕上げ、来春の統一地方選への悪影響を最小限にとどめたい公明党の思惑がある。
だが、カジノはギャンブル依存症など、深刻なデメリットを伴う。カジノ合法化には国会での熟議と幅広い国民の合意が欠かせない。政権与党の思惑だけで、カジノ法案の成立を急ぐ愚を犯すべきではない。