【東京新聞】3月24日 「うそつくな」 官邸前デモ 怒りのともしび
学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書の改ざん問題を巡り、首相官邸前で二十三日夜、真相究明を求めるデモがあった。政府への怒りの象徴として、キャンドルなどの明かりを掲げた。
午後七時半、首相官邸前の百メートルほどの歩道は、ランタンや発光ダイオード(LED)ライト、電子ろうそくなどを手にした人たちであふれ返った。
「うそをつくな」「責任取れよ」。参加者たちは小雨の降る中、安倍晋三首相の退陣や首相の妻昭恵氏らの証人喚問を求めるコールに合わせて、キャンドルを振り続けた。デモを主催したのは、官邸前で改ざん問題の抗議活動をしてきた有志でつくった「Stand For Truth」。元「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」の中心メンバー奥田愛基(あき)さんらが会員制交流サイト(SNS)で参加を呼び掛けた。
会社帰りに参加した千葉県習志野市の橘内優一さん(24)は「公文書改ざんまでしているのに、まだ安倍政権が続いていることが異常。今、行動しないと自分たちの生活が脅かされる」と訴えた。横浜市の主婦内山かおるさん(55)は「うそを取り繕うために公文書まで改ざんするなんて、小学生の学級会よりひどい」と反発。大学生と高校生の子どもを持つ親として、「政府がやりたい放題の中、今のままだと子どもたちの将来が心配」と権力の暴走への危機感を口にした。
会場の一角では市民や野党議員が「公文書改ざんでこの国も社会のモラルも民主主義も壊れた」と訴えた。
主催団体のメンバーは「国民は怒っていることを訴えたい」と話し、首相退陣などを求めて毎週金曜日に官邸前でデモを行っていくという。
【文春オンライン】安倍政権の足を引っ張る昭恵夫人の「罪深き言葉」たち―自民議員の「忖度」も暴走中……森友学園をめぐる発言を総ざらいする
森友学園問題が一向に収まらない。国有地売却に関する決裁文書の改ざんの真相は一向に明らかにならず、国会は空転を続けている。一連の問題にまつわる言葉を振り返ってみたい。
太田充 財務省・理財局長
「それは基本的に、総理夫人だということだと思います」 朝日新聞デジタル 3月19日
19日の参院予算委員会で、財務省の太田充理財局長は、改ざん前の決裁文書に政治家ではない安倍昭恵首相夫人の動向について記載されていた理由について、「総理夫人だということだと思います」と述べた。質問を行った共産党の小池晃氏は「まさに国会議員以上に配慮しなきゃいけない存在だから決裁文書に登場した」と指摘。昭恵夫人の森友学園への深い関与が、忖度の原因となっているというわけだ。
改ざん前の文書には、森友学園側から「安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と伝えられたと記されていた。安倍首相は「妻に確認したが、『そのようなことは申し上げていない』と話している」と否定したが、説得力はない。なにせ、昭恵夫人は森友学園が運営する幼稚園で講演し、「素晴らしい小学校ができる」「籠池園長、副園長の熱い熱い教育に対する思い、お手伝いできれば」と述べるほどの森友学園の熱烈な支持者だったのだ。改ざん前の決裁文書には、籠池泰典前理事長が2014年4月に小学校予定地で撮影されたという昭恵夫人と並んで写っている写真を提示したとも記されていた。
「何かやろうとする時は利用していいよ」
安倍昭恵 首相夫人
「私には首相夫人という立場がある。何かやろうとする時は利用していいよ、と伝えています」 『週刊文春』3月29日号
昭恵夫人はかねてから自分の肩書や立場を「利用していい」と周囲に繰り返し語ってきた。実際に利用した筆頭の存在が籠池氏だ。かつて安倍首相は「名誉校長に安倍昭恵という名前があれば印籠みたいに恐れ入りましたとなるはずがない」(朝日新聞デジタル 2017年3月6日)と語ったが、籠池氏は明らかに昭恵夫人の名前を「印籠」として使って近畿財務局を屈服させた。
安倍昭恵 首相夫人
「私に注目していただいて、その活動にも注目していただける。それが私の役割なのかな」 共同通信 2017年3月8日
これは2017年3月に行われたイベントに出席した際の昭恵夫人の発言。自身の総理夫人という立場をよく理解していることがうかがえる。森友学園が設立しようとした小学校の名誉校長を引き受けたのも、世の中の目を森友学園に集めるためだったのだろう。昭恵夫人は森友学園で使用されていた教材を販売していた「鈴蘭会」でも名誉会長を務めていたが、そこでも「私の肩書を自由に使って」と話していた(朝日新聞デジタル 2017年3月9日)。
安倍昭恵 首相夫人
「後悔したり、先に起こることを心配したり、恐れたりするのではなく、日々の瞬間を大切にしたい」 日刊スポーツ 3月18日
森友学園問題が国会で紛糾し、野党からは昭恵夫人の国会招致を求める声があがっているが、当人はどこ吹く風。3月17日には愛知県の福祉関係のイベントに出席し、意味深な発言を行った。これからもどんどん言いたいことは言うし、やりたいことはやるという宣言のように見える。
これには安倍政権に近い産経新聞も苛立ちを隠せない。3月21日朝刊に「拝啓 安倍昭恵さま」と題したコラムを掲載し、昭恵夫人が「政府・与党内だけでなく安倍首相を支持する層にも疑問符を広げ、政権の足を引っ張りつつある」として行動の自粛を求めた。昭恵夫人は近畿財務局の職員の自殺が明らかになった3月9日の夜、銀座で行われた知人のパーティーに出席していたことが明らかになっている。
麻生太郎 副総理兼財務相
「だいたい昭恵さんから始まったことだろ」『週刊文春』3月29日号
責任論、辞任論が飛び交っている麻生太郎副総理兼財務相の苛立ちも募っているようだ。麻生氏は森友学園問題の影響で、アルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議への出席を見送った。完全に“安倍夫妻のとばっちり”だ。麻生氏は以前から「だいたい昭恵さんから始まったことだろ」と漏らしていたという。
また、安倍政権は今年度の予算が成立したところで麻生氏を辞任させる動きを見せているが、麻生氏自身は「なんで、安倍晋三、昭恵夫妻のせいで俺が責められ、辞めなくちゃいけないのか」と怒り心頭に発しているとのこと(AERA dot. 3月18日)。安倍首相と麻生氏の蜜月の終わりも近い。
安倍晋三 首相
「昭恵には怖くて聞けないんだよ」 『週刊文春』3月29日号
昭恵夫人に関することは首相側近といえども立ち入ることはできず、常に安倍首相を通して返事を聞くことになっているが、ある案件について返ってきた安倍首相の答えがこうだったという。
籠池氏と昭恵夫人の関係について安倍首相も全ては把握していないのだろう。普通の夫婦だって配偶者の交友関係をすべて知っているわけではない。ましてや超多忙な夫と勝手気ままな妻のこと。「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と言ってしまった手前、「怖くて聞けない」という気持ちは少し理解できる。首相が聞けないのなら、国会にお呼びしてみんなで聞いてみるのはどうだろう。
財務省を一方的に悪者に仕立て上げる自民党議員の暴言
太田充 財務省・理財局長
「それはいくらなんでも、それはいくらなんでも、ご容赦ください」MBS NEWS 3月19日
麻生財務相にまで「レベルが低い」と言われた自民党の和田政宗参院議員
文書の改ざんについて、財務省を一方的な悪者に仕立て上げようという動きも進んでいる。3月19日の参院予算委員会で質問に立った自民党の和田政宗議員は、太田充理財局長が民主党政権時代に野田佳彦首相の秘書官を務めていたことを取り上げ、「増税派だからアベノミクスを潰すために、安倍政権を貶めるために意図的に変な答弁してるんじゃないですか」と投げかけた。“個人攻撃”のような質問に、それまで淡々と答弁していた太田理財局長も怒りを露わにして反論した。
和田氏は「財務省は自民党にも官邸にも嘘をつき通した」「政治側にはやましいことは一つもない」とも断言している。また、「党や官邸が指示して隠蔽の扉をこじ開けなければ、財務省内部で完全に書き換えの事実は隠されていたかもしれません」とも言っていたが、改ざんの事実を暴いたのは和田氏が記事の信憑性に疑問を投げかけ続けていた朝日新聞である。和田氏の質問については、20日の衆院財務金融委員会で麻生太郎財務相が「その種のレベルの低い質問はいかがなものかと、軽蔑はします」と強い言葉で批判した(朝日新聞デジタル 3月20日)。