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草の根交流ニュース
中間層の没落は、民主主義の基盤を破壊する
2018年2月3日

【水野和夫著『資本主義の終焉と歴史の危機』集英社新書】42ページ(一部抜粋)
「国境の内側で格差を広げることも厭わない『資本のための資本主義』は、民主主義も同時に破壊することになります。民主主義は価値観を同じくする中間層の存在があってはじめて機能するものであり、多くの人の所得が減少する中間層の没落は、民主主義の基盤を破壊することにほかならない」

【赤旗】2017年1月 第27回大会「決議」《3章15節》
(2)格差と貧困の拡大、中間層の疲弊をいかに克服するか――国の経済政策の基本に
 さらに重大なことは、「アベノミクス」が、格差と貧困をいっそう拡大し、社会と経済の危機をさらに深刻にしていることである。
 自民党政権のもとで、とりわけ1990年代後半以降、新自由主義的な経済政策が強行されたことにより、所得、資産など、あらゆる分野で格差と貧困が広がり、日本の経済と社会の大問題となっている。日本の格差問題を、“富裕層への富の集中”、“中間層の疲弊”、“貧困層の拡大”の三つの視点からとらえると、次の特徴が浮き彫りになる。
 ――ごく一握りの“富める者”はより巨額の富を手にいれた。純金融資産5億円以上を保有する超富裕層では、1人当たりが保有する金融資産は1997年から2013年の間に2倍(6・3億円から13・5億円)に増えた。大株主にばく大な配当と、「株価つり上げ政治」による株式の値上がり益がもたらされた。
 ――国民の所得が全体として低下するなかで、中間層の疲弊が深刻になっている。労働者の平均賃金は、1997年をピークに、年収で55万6千円も減少した。給与所得者数を所得階層別にみると、増加しているのは年収2000万円以上のごく一部の高額所得者と、年収500万円以下の層であり、年収500万円~1000万円の層は減少している。大企業によるリストラと正社員の削減、非正規雇用労働者の増大で、低賃金労働者が増え、中間層がやせ細っている。
 ――貧困が広がり、先進国のなかでも「貧困大国」となった。1997年と2012年とを比較して、日本の貧困率は14・6%から16・1%となりOECD(経済協力開発機構)34カ国の中でワースト6位となった。子どもの貧困率は13・4%から16・3%となり「貧困の連鎖」が深刻である。働きながら生活保護水準以下の収入しかないワーキングプア世帯は、就業者世帯の4・2%から9・7%と2倍にもなった。「貯蓄ゼロ世帯」(2人以上世帯)は30・9%、1997年から2015年の間に3倍に急増した。
 超富裕層がますます富み、国民全体の所得が低下するなかで中間層が疲弊し、貧困層が増大する――これが現在の日本社会の姿である。貧困は、特別な事情でなく、倒産、失業、リストラ、病気、親や家族の介護などで職を失えば、誰もが貧困に陥ってもおかしくない。「板子一枚下は地獄」。そうした社会に陥っている。
 格差と貧困の拡大、中間層の疲弊をいかに克服するかを、国の経済政策の基本にすえる必要がある。日本社会と日本経済の持続可能な発展にとっても、この問題に真正面から取り組む経済政策が必要である。
 
【OXFAM】プレスリリース2018/01/22 格差に関する2018年版報告書を発表「資産ではなく労働に報酬を」
昨年生み出された富の82%を世界の最も豊かな1%が独占 世界の貧しい半分の37億人の取り分はないに等しく
オックスファムは、1月23日から25日までスイスで開催される世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に先がけて、格差問題に関する最新の報告書「資産ではなく労働に報酬を(Reward Work, Not Wealth)」を発表しました。
最新報告書では、昨年、世界で新たに生み出された富の82%を世界の最も豊かな1%が手にしたことが明らかになりました。一方で、世界の貧しい半分の37億人が手にした富の割合は1%未満でした。
報告書では、現在の世界経済の仕組みが資産を保有する者を豊かにする一方で、何百万人もの人々が最低限の生活水準を維持することのできないレベルの賃金で厳しい生活を余儀なくされている現状に焦点を当てています。
•世界の億万長者の資産は、2010年以降、毎年平均して13%増加しています。 一方で、一般的な労働者の賃金収入は、毎年平均して2%しか増加していません。また、億万長者の数は、1年(2016年3月〜2017年3月)で2日に一人と、これまでにない水準で増えています。
•世界のグローバル企業CEOの報酬水準は突出しています。例えば、バングラデシュの繊維工場で働く労働者が一生をかけて稼ぐ賃金に相当する報酬を、世界の5大グローバルファッションブランドのCEOは、たったの4日間で手にしていることになります。
•ベトナムの繊維工場で働くすべての労働者250万人の賃金を、生活賃金水準に引き上げるためには、22億ドル必要です。これは、2016年、世界の5大グローバルファッションブランドによって株主に支払われた配当金額のおおよそ3分の1に相当します。
株主や経営層の報酬が増加する一方で、労働者の賃金水準や労働環境は改善していません。その具体的な要因は、労働者の権利保護の衰退、大企業による国の政策決定への過剰な影響力と関与、そして株主利益最大化のために追求される企業の容赦ないコスト削減です。
女性労働者はその中でも苦しい立場に立たされていることが多い存在です。世界各地において女性は男性より賃金水準が低いばかりか、賃金が低く、雇用の不安定な職場ほど女性が多い傾向があります。一方で、億万長者の10人中9人は男性です。
オックスファムは、ごく少数な幸運な人々だけではなく、すべての人が恩恵をうけることができる経済を実現するため、各国政府に対し、以下のことを提言します。
•株主への配当や経営層への報酬を制限し、すべての労働者に対して、最低賃金が生活賃金であることを保証すること。例えば、ナイジェリアにおいて法的に定められた最低賃金を、最低限の生活水準を維持する水準とするためには、現行の最低賃金額の3倍とする必要があります。
•ジェンダーによる賃金格差をなくし、女性労働者の権利を保護するための施策を導入すること。仮に新たな施策を導入しなければ、ジェンダーによる賃金や労働機会の格差がなくなるには、おおよそ217年かかります。
•富裕層が相応の税金をきちんと納税するための施策を導入すること。累進課税制度の導入と租税回避のための取り組みを加速させること。また、保健医療や教育などの基本的社会的サービスのために財政予算を確保すること。オックスファムの試算によると、億万長者の資産に1.5%のグローバル税を課税すれば、世界中のすべての子どもたちが学校に通うことができる税収を確保できます。
オックスファムが新たに委託したグローバルな世論調査の結果によれば、格差対策の導入を支持する人々が圧倒的であることがわかりました。 調査対象となった10カ国7万人のうちおよそ3分の2が、経済格差は対策が必要な喫緊の課題だと答えています。
億万長者の増加は、経済的な繁栄の表れではなく、破綻した経済システムの症状です。私たちが日々着る洋服を作り、使う携帯を組み立て、食べるものを作る人たちは、安価で安定した消費財を確保するため、企業や裕福な投資家の利益増大のため、搾取されているのです。
オックスファムは、その活動の現場で、格差に対峙する多くの女性労働者に耳を傾けてきました。貧困からは抜け出すことのできない程度の賃金を得るためにも、出稼ぎで家を離れることを余儀なくされ、子どもの顔を何ヶ月も見ることができないベトナムの繊維工場で働く女性。米国の養鶏産業でトイレ休憩さえも許されず、オムツをはいて働く女性。ドミニカ共和国やカナダのホテルでセクハラに悩まされながらも解雇されることを恐れ、声をあげることができない女性たち。これらは、特異な事例では決してありません。これが世界中の何百万人の女性たちにとって、働くことの現実なのです。
今日、格差が課題であるとの認識を示さない政治家やビジネスリーダーに遭遇することは、ある意味困難です。一方で、実際に格差対策に具体的に取り組む政治家やビジネスリーダーに遭遇することは、それ以上に困難であるとも言えます。それどころか、多くの場合、減税や労働者の権利を弱体化する施策を支持、導入することで、状況の悪化に加担しています。
人々は、変化を求めています。労働者が生活賃金を得ることのできる世界を求めています。企業や富裕層が相応の納税義務を果たし、女性労働者が男性労働者と同じ権利を享受できることを求めています。ごく少数の人々の手に握られた富と権力が、より広くの人々のものとなることを望んでいます。人々は、変化のための具体的な行動を求めているのです。
オックスファム・インターナショナル事務局長 ウィニー・ビヤニマ