《お知らせ》このコーナーは、毎週土曜日に更新するようつとめてきましたが、選挙期間中は随時更新し、対話に役立つ情報を提供しますので、ご利用ください。(K)
【しんぶん赤旗】10月5日「おまえが最大の国難だ」と言いたい
今回の選挙はご都合主義解散です。解散理由は全て後付けで、逃げ切り的に「選挙してしまえ」ということでしょう。「国難突破解散」などと破廉恥なことをよく言うなと思います。「おまえが最大の国難だ」と言いたいですね。筋の通らない解散・総選挙をする安倍政権に天罰が下ることを期待しています。
そのために野党側は、本質的なところで政権のファシズム的な体質を暴くことが重要です。
3月に安倍首相が「政府と日銀は親会社と子会社みたいなもの。連結決算で考えてもいい」と発言したことが報じられました。これは日銀の独立性を土足で踏みにじるもので、経済ファシズムです。
働き方改革について、その実行計画は労働生産性向上のためで、働く者の当然の権利を確保するという観点を示していません。
安倍政権はこの間「人づくり革命」や「未来投資」「ソサエティー5・0」などという、えたいの知れない言葉群に焦点をあてていますね。壊滅的な状態になっている金融政策とか財政運営にはなるべく触れない。いまやひとえに生産性を上げることばかりを目指しています。つまり、強い国づくりの経済基盤づくりです。成長力をあげないとより強い経済にはならないと彼らは考えています。だから全力で、人々の生産性の向上を目指すということです。その間にも、彼らのやってきたことが経済活動のバランスを狂わし、動かない経済になってしまっている。債券市場も株式市場も死に体の市場になっています。だんだんやれることがなくなってきて、ついには人の尻をたたくしかないということになっているといっていいかもしれません。
安倍政権側に争点づくりをさせないという観点からは、共産党が一番やりやすい立場にいると思います。共産党は主張が明確ですし、目指しているところもはっきりしています。姑息(こそく)な議論とは違う次元での追及。そこを一手に担うことを強く望みます。
【マネーポスト】WEB 10月6日 森永卓郎氏が解説 今の40代世代を襲う「年金4割カット」の現実味
2016年12月に改正国民年金法が成立し、デフレ下で見送られたマクロ経済スライドは蓄積され、物価上昇率がプラスになった時に一気に発動されることになった。その結果、今後は平均すると毎年1%程度ずつ確実に実質的な年金支給額が下がっていく。問題は、どこまで下がるのかということだ。経済アナリストの森永卓郎氏は「年金65歳支給を守ろうとすると、将来的に現行支給額の4割はカットされることになるだろう」と予測する。以下、森永氏が解説する。
厚生労働省が年金の支給開始年齢をひとまず70歳に繰り延べしたいと考えているのは間違いない。とはいえ、65歳支給自体が実はまだ移行期間で、段階的に支給年齢が引き上げられている特別支給の老齢厚生年金の65歳前支給が終了する(男性は2025年、女性は2030年)まで完了しない。かつて支給開始年齢を繰り延べしようとして国民の猛反発を買い、断念した経緯もあって、厚労省も当面は繰り延べするのは困難と考えているだろう。
ただし、日本の年金制度は年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する「賦課方式」であるため、少子高齢化で支える側が減って、もらう側が増えていくわけだから、年金の給付水準が下がるのは避けようがないことも現実だ。制度を維持しようとすれば、「保険料の引き上げ」か「給付水準の引き下げ」か「支給開始年齢の繰り延べ」かの3つしか選択肢はないのである。
3つの選択肢のうち、保険料をこれ以上増やすのは、会社員にも会社にとっても耐え切れず非常に困難だ。また、政府が年金支給年齢を繰り延べるといった途端に、国民の反乱が起きてしまう。そうした点から、当面、最も可能性が高いのは、年金の給付額がズルズルとカットされていくことだ。
では、年金支給水準はどこまで下がる可能性があるのか。厚労省は2014年6月に、年金制度の「財政検証」の結果を発表した。そこでは経済成長率の前提が異なる8パターンの将来推計が示されており、ケースAからケースEの5つのケースは将来的にも厚生年金の所得代替率50%が維持できる、つまりは現役世代の手取り収入の50%以上の年金を保障できるとしている。ただし、この5つのケースはすべて、65~69歳男性の労働力率は67%と3分の2の高齢者が働く前提となっているのだ。
一方、高齢者の労働力率が現状と変わらないとしたケースFからケースHの場合では、所得代替率は最悪35~37%まで低下する。これは、年金が実質的に4割もカットされていくことを意味する。
この財政検証が言わんとしているのは、今のままの年金制度を続けていれば、年金支給額は確実に減っていく。それが嫌だというなら、みんな70歳まで働いて年金保険料を払い続けろということに他ならない。これが安倍政権の提唱する「一億総活躍社会」の正体であり、70歳支給を国民に納得させる布石でもある。実際、年金を確実に下げていき、高齢者が音を上げたところで「生活が苦しいのだったら支給開始年齢を遅らせましょう」と言い出すに決まっている。
今後の生活防衛術として、少なくとも現在40代より下の世代は、年金が現行支給額の4割カットになると思って生活設計をしておくべきだろう。現行支給額は、平均的給与で40年勤務したサラリーマンの夫と専業主婦の夫婦の場合、2人で月額約22万円。それが4割カットとなると、夫婦で月額約13万円しかもらえなくなる。つまり、現役時代から、将来は夫婦で月13万円で暮らせる生活を考えておく必要があるということだ。
【東京新聞】10月7日<社説>希望の党公約 政権選択と言えるのか
希望の党が衆院選の公約を発表した。政権選択選挙を掲げる割には、主要政策で自民党との違いが見えず、首相候補もいまだ明らかではない。これで政権を選べと言われても、無理な話ではないか。
希望の党の公約は九項目からなり、党の考え方を示す十分野の政策集が付随する。代表の小池百合子東京都知事はこのうち消費税増税凍結、原発ゼロ、憲法改正が公約の三本柱だと強調した。
政権交代を迫る自民党と明確に違うのは消費税増税凍結だろう。
安倍晋三首相が主導する成長重視の経済政策を「一般国民に好景気の実感がない」と批判。景気回復を確実にするため、消費税率10%への増税を凍結し、代替財源として大企業が利益を蓄積した内部留保への課税検討を打ち出した。
消費税の増税は、低所得者の実質的な税負担が重くなる逆進性が指摘される。そもそも税率引き上げが妥当なのか。増税凍結は自民党との明確な対抗軸になり得る。
しかし、残る二本柱はどうか。
原発については「二〇三〇年までにゼロを目指す」ことを掲げ、政策集で「原発ゼロを憲法に明記することを目指す」と記すが、同時に原発の再稼働も認めている。全廃期限を区切ったことは評価できても、再稼働を認めるのなら自民党とさほど変わらない。
憲法改正も同様だ。自衛隊の明記など四項目を中心に改憲を目指す自民党に対し、希望の党は「憲法九条を含め改憲論議を進める」としている。九条に自衛隊を明記する自民党案に賛同するのなら、政権選択は無意味に帰す。
政権選択選挙が現実味を帯びてこないのは、希望の党の首相指名候補がいまだ明確でないことと無関係ではあるまい。
小池氏は首相指名について、前提となる衆院選への自らの立候補を重ねて否定し、「衆院選が終わってから、いろんな結果を受けて行うものだ」とも述べている。安倍氏以外の自民党議員の首相擁立を想定しているのかもしれない。
かつて細川護熙、羽田孜、村山富市各氏ら各党間の連携で首相が選ばれた例はあるが、政党・政策本位の小選挙区制が衆院に導入される前だ。現行制度下ではそぐわない。希望の党は首相指名候補を明確に掲げるべきだ。
政権交代を託して希望の党に投票したら、結局できたのは自民党首相政権だった。そうなれば、悲劇を通り越して喜劇ですらある。有権者を欺いてはならない。