【しんぶん赤旗】9月30日<主張>総選挙の大争点 安倍暴走政治5年が問われる
衆院が解散し、10月10日公示・22日投票の総選挙の論戦が事実上スタートしました。安倍晋三首相は、「森友」「加計」疑惑隠し解散の本質をごまかし「国難突破」といって「少子高齢化」や「北朝鮮対応」を争点に挙げますが、大義のなさは浮き彫りです。今度の解散・総選挙は、国民の怒りの世論に追い込まれた結果です。選挙の最大争点は、暴走に暴走を重ねた約5年の安倍自公政権をこれ以上続けさせていいのかどうかです。安倍暴走政治を大本から転換し、新しい政治をつくっていく選挙にしていくことが重要です。
―憲法ないがしろの異常
2012年12月に政権に復帰した安倍首相の暴走政治で、とりわけ異常なのは、日本国憲法を敵視し、ないがしろにする姿勢です。
13年12月、国民の目と耳と口をふさぐ秘密保護法制定を皮切りに、15年9月には、自衛隊の海外での武力行使を可能にする安保法制=戦争法、今年6月には、国民の内心を処罰対象にする「共謀罪」法を次々と強行してきました。戦争法の制定に向け14年7月には、憲法9条のもとでは集団的自衛権の行使はできないという戦後半世紀以上の政府方針を一片の閣議決定で百八十度覆す暴挙に踏み切りました。これほど国民の声に逆らい、「戦争できる国」づくりのため違憲法制の強行を重ねてきた政権はかつてありません。
憲法違反の法律づくりと一体で安倍首相が繰り返し表明したのは、憲法そのものを変える明文改憲への異様な執念です。政権復帰直後には、国会の「改憲発議」の要件を「緩和」する憲法96条の改定を公然と口にし、「裏口入学改憲」ときびしい批判を浴び、ひとまず挫折しましたが、改憲への固執姿勢は変えようとしません。
今年5月3日の憲法記念日には改憲派の集まりへのビデオメッセージや「読売」インタビューで、9条に自衛隊の存在を明記する改憲案を示し、20年までに施行をすることまで表明しました。首相らの憲法尊重擁護義務を定めた憲法99条をあからさまに踏みにじる発言です。今回の臨時国会の冒頭解散の強行も、憲法53条にもとづく野党の臨時国会要求を事実上葬り去った暴挙にほかなりません。
さらにこの約5年は、国民の声を踏みつけにした民意無視の強権的な政治の連続でした。沖縄県民が名護市辺野古への米軍新基地建設反対の意思を選挙で何度も示しても、「唯一の解決策」といって建設を推進する、原発再稼働に反対する国民世論が多数なのに次々と原発を再稼働させる―こんな政治はもう終わらせなければなりません。
今度の選挙で安倍暴走政治に終止符を打ち、日本に立憲主義、平和主義、民主主義を取り戻すことは極めて切実で緊急の課題です。
―国民の手に政治取り戻す
憲法破壊・民意無視・国政私物化を許さないという国民世論、市民と野党の共闘が安倍政権を追い詰めてきました。この力をさらに強く大きくし、総選挙で安倍自公政権を打倒することがいよいよ必要です。安保法制を容認し、憲法9条を含め改憲を公言する政権補完勢力「希望の党」に国民の願いを託すことはできません。
総選挙での、市民と野党の共闘の成功、日本共産党の躍進を必ず実現し、新しい政治の未来を切り開くことが求められます。
【東京新聞】9月26日〈見張り塔から〉「業者」が記事拡散か―誤情報に覆い尽くされる危機 ジャーナリスト・津田大介さん
ネット上を席巻する「保守」的な書き込み。この多くが「業者」による組織的なものではないかという疑惑が浮上している。ネットを介して個人や企業の橋渡しを行い、仕事の受発注を行うクラウドソーシングサービス上にそうした依頼が大量に発見されたからだ。
依頼の内容は千八百~四千字の範囲で「憲法九条を改正し、軍隊を保有すること」「韓国とはもう付き合うべきではない」「民進党の政策と反対のことを行えば日本は良くなる」といった内容のプログ記事を書くというもの。記事を一つ書くと、仕事を請け負った側には八百円の報酬が手に入る。
同サービスには過去に匿名掲示板の書き込みをまとめる形で記事を作る「保守系まとめサイト」の仕事依頼も掲載されていた。そちらの記事単価は一つの記事あたり五十円。ほかにも、動画投稿サイトのユーチューブに保守的なコンテンツの動画を制作してアップロードする仕事(一動画あたり八十円)や、メルマガ記事の作成(一件あたり百円)、特定のツイートのリツイート(一リツイートあたり十円)といった仕事依頼も見つかった。
変わったところでは「マスコミや人権活動家や左翼が安倍総理やトランプ大統領を独裁者(危険人物)と批判しているけれども、そのマスコミたちは真の独裁者(危険人物)である中国の習近平に操られている」という、具体的な風刺絵制作依頼も見つかった。こちらは手間がかかる分、五千~一万円と単価が高く、実際にこの依頼で作られたとみられる画像を利用したプログ記事も発見されている。
いずれの仕事も単価は安く、依頼されて記事を作ったり、情報を拡散したりする受注側は仕事を大量にこなさない限り、割に合わない構造になっている。ネットで韓国や中国、民進党、マスコミ関連の情報を検索すると、それらを非難する似たようなタイトルの記事を大量に見つけることができるが、記事が「業者トによって量産、拡散されているのならば、そうした現象も説明がつく。すべてではないにせよ、その多くは金銭目当てで組織的に行われたものである可能性が高い。
このような事例は既に海外でも報告されている。セキュリティー企業のトレンドマイクロが六月十三日に発表したリポートによれば、中国やロシアの企業に依頼することで簡単にフェイクニュースを作成・拡散できるという。九月十三日には昨年の米大統領選で大量に拡散したフェイクニユースを若者が組織的に作っていたことで問題となったマケドニアのべレスという街の最新状況をCNNが報じた。彼らの多くは現在アカウントが凍結されているが、さまざまな方法で規制の目をかいくぐり、そのうちの一人が現在運営するサイトは既に一旦二十万円弱の収入を得ているそうだ。
世論工作、あるいは収入を稼ぐ目的でゆがめた情報を大量に流通させる行為が世界中で明らかになりつつある。既存メディアはこの事実を重く受け止め、こうした構造を白日の下にさらさなければならない。さもなくば、低コストで流通される誤情報に自ら発信する情報が覆い尽くされることは確実だ。
【全国保険医新聞】9月25日「削減ありき」からの転換を 18年度社会保障予算
―防衛関係費は膨張の一途
各省庁の来年度予算概算要求が出揃い、予算編成が本格化しようとする中で安倍政権は衆院解散を打ち出した。
「社会保障削減ありき」「防衛費は際限なく拡大」の方針を続けるのか、改めるのかが10月下旬投票の総選挙で問われる。
安倍政権の下で防衛関係予算は拡大を続けている。防衛省の18年度概算要求は5兆2551億円(米軍再編経費含む)で前年度当初予算比1300億円(2パ5%)増。4年連続で過去最高を更新している。新たに導入する「イージス・アショア」関連経費を含んでおらず、今後さらにふくらむことが予想される。また、これとは別に将来の「ツケ払い」である「後年度負担」が2兆4552億円がある。
概算要求には、「ミサイル防衛」関連経費1791億円のほか、日本と米国の有償武器援助契約に基づく武器購入費用4808億円が含まれる。この費用は安倍政権発足後の12年度比で3・5倍。国内外で事故が相次いでいるオスプレイの購入費用(4機457億円)が含まれる。
一方、安倍政権は医療や介護など社会保障関係費の自然増分を年5000億円に抑える方針を今年度も踏襲する方針。厚労省の概算要求は6300億円を見込んだが、この時点で既に前年度の概算要求から1000億円減額となっている。政府はさらに1300億円程度の圧縮を予定しており、これは概算要求での防衛関係費の増加分に相当する。
社会保障費は、年間8000億円から1兆円といわれる高齢化等による自然増分を確保してはじめて前年度並みの事業が可能だ。内閣府が8月に発表した「国民生活に関する世論調査」では、政府に求める政策のトップは「医療・年金等の社会保障の整備」で64・4%となっている。
社会保障を充実を図り負担軽減を願う患者・国民、医療者の声に耳を傾けるのはどの政党か、しっかりと見極めたい。
【しんぶん赤旗】9月30日「働く貧困層」 4年連続1100万人超―12年末以降 安倍政権下で急増
国税庁が28日発表した2016年分の民間給与実態統計調査によると、1年を通して働いても年収が200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)は1132・3万人と前年の1130・8万人から1・5万人増加しました。ワーキングプアが1100万人を超えるのは4年連続です。一方、2500万円超(区分最上位)の給与所得者は2年連続で増加し、16年分では12万人となりました。格差拡大が顕著です。
第2次安倍晋三政権が発足した12年末以降、貧困層が急増しました。とりわけ賃金水準が低い非正規雇用の増加が、貧困層の増加に拍車をかけています。
平均年収を雇用形態別にみると、正規雇用の486万9000円に対し、非正規雇用は172万1000円でした。その差は314万8000円で4年連続で格差が拡大しています。
性別でみると男性の521万1000円に対し、女性は279万7000円と53・7%の額にとどまりました。