【日刊SPA!】7月4日 敷金、礼金が払えない…貧困層が暮らす“新たなドヤ街”が都心に出現している
労働者に日雇いの仕事を斡旋する「寄せ場」、日雇い労働者のための簡易宿泊施設が立ち並ぶ「ドヤ街」。過去の遺物のように思われがちなこれら地域だが、今も姿を変え脈々と残り続けているという。
「現在は日雇い労働もネットでマッチングする時代です。かつての寄せ場がネットの中に移ったことで、労働者たちもドヤ街のような特定の地域に集まる必要がなくなりました。とはいえ、定住する家を持てない貧困層そのものがいなくなったわけではなく、現在でも都心の格安ゲストハウスやネットカフェを転々としながら生活する貧困層は少なくありません」
そう語るのはNPO法人「もやい」の大西連氏。10年前に「ネットカフェ難民」という言葉が流行したが、現在はネットカフェのみならず料金を極端に抑えたゲストハウス、シェアハウスを拠点にするケースが急増しているのだとか。
「傾向として、彼らは労働現場までの交通コストが抑えられる都心部やターミナル駅付近に集まりやすい。そのため、新宿や池袋、上野などの都心まで徒歩圏内のエリアにはゲストハウスやシェアハウスが数多く誕生しています。なかには個人が借りた部屋に仕切りを設け、民泊と同じ要領で貧困層向けゲストハウスを運営している脱法的な例も。シェアハウスといっても、1人あたり3畳ほどしかない相部屋パターンも多いようです」
ネットで検索すると、たしかに新宿や池袋などの都心徒歩圏内に1泊2000円程度のゲストハウス、1か月2万円~のシェアハウスが数多く存在していることがわかる。我々が取材したのは、今年4月からゲストハウスを転々とする生活を送っている明石雄二さん(仮名・26歳)だ。
「アルバイトとして働いていた都内の飲食店で正社員登用されたんですが、休みのない日々に疲れ今年1月に辞職。その後なかなか仕事が見つからず、家賃を滞納して結局4月に退去しました。それ以降はこうしたゲストハウスを転々としています。現在はポスティングやイベント会場設営などの単発アルバイトで月収は平均10万円ほど。履歴書不要の募集も多いので、家がなくてもやっていけてます」
この日の彼の寝床は上野駅近辺のゲストハウス。上野は浅草に近いため、外国人観光客の利用も見込んだゲストハウスが多いという。料金は1泊2000円。いくら安いとはいえ、連日泊まるとなると単身者向け賃貸物件の家賃と大差ないほどの出費になるように思うが?
「もちろん部屋を借りたいですが、どうしても敷金、礼金などの初期費用がかかってしまいますよね。毎月ギリギリの生活なので、その資金を貯める余裕がないんです」
全労働人口における非正規雇用の割合は4割を超えたとも言われる昨今。今後も増加が続けば、それに比例するようにこうした定住できる家をもたない低所得者層が集まる“新たなドヤ街”が都心を取り巻くように増え続けていく可能性は高いだろう。週刊SPA!7月11日号では「新型〈貧困を生む街〉潜入ルポ」という特集を組んでいる。東京都下、関東近郊で密かに進む貧困の実態とは? 〈取材・文/週刊SPA!編集部〉
【週刊女性PRIME】7月3日<都議選に一言>宇都宮健児さん「“都民ファースト”のなかに困ってる人の声は?」
「都政の問題は五輪、豊洲移転だけではありません。子育てや教育、福祉、住宅問題や働き方などさまざまです。これらについては腰が引けているものもある」
こう語るのは、昨年の都知事選で苦渋の出馬断念をした宇都宮健児さんだ。
小池氏が都知事に就任した当初、豊洲市場への移転をいったんやめて問題点をあぶり出した点や、オリンピック経費のコストカットで都民からの評価も高く、宇都宮さんも小池都政に「75点」の点数をつけていた。しかし、「いま、つけるなら50点」。わずか1年の間に急落した。
その理由に、都民ファーストの会の煮えきらない態度をあげる。豊洲移転問題について各政党が方針を明確にするなかで、都民ファーストの会は小池都知事からの指示待ち状態。立場を明らかにしていなかった。
「地方自治体は、首長を選ぶと同時に議員も選ぶ二元代表制。議会と知事が相互にチェックし合うものです。なのに、なかなか方針を打ち出さず、都民に判断材料を与えてこなかった。これは政党としてどうなのか?」
豊洲移転を延期したことで盛り土や地下水汚染の問題を明らかにした点はよかった。だが、落としどころがあやふやなせいで、都民からの評価も厳しいものになりつつあると指摘。
同じ構造は、オリンピック問題でも見られる。
「カヌー・ボート、水泳、バレーボールの3会場建設を見直し、無駄な経費を削ったはいいが、残りの会場について十分な検討がされたのかは見えづらい」
地方自治体は住民の暮らしや福祉を守り、充実させることが使命で役割、と宇都宮さんは考える。そのため、小池都政が掲げる「都民ファースト」の発想、方向性については「正しいと思う」と一定の評価とする。
「これまでの石原・猪瀬・舛添都政は、首都外交をやって、東京を世界一の都市にするという方針。そこに住む人々の暮らしは抜け落ちていた。それに比べれば、小池都政は都民目線に重点を置いています」
問題は、理念が政策に反映されているかどうか。
「都民ファーストのなかに本当に困っている人や、在日外国人や障がい者など、社会的少数者の声が入っているのか疑問な点がある」
6人に1人が「貧困層」という日本で「本当に困っている人」の増加は顕著だ。格差の拡大も著しい。その背景には脆弱な社会保障、非正規労働者の増加といった要因がある、と宇都宮さん。もちろん、東京も例外ではない。
「小池都政には、こうした人たちへの社会保障と労働政策があまり打ち出されていません」
非正規労働者は正社員より賃金が低く、雇用も不安定だ。
「働く貧困層の問題は非常に重要。都は13兆円もの予算を持ち、大量の公共事業を発注しているのだから、まずは『公契約条例』を定めるべきです」
公契約条例とは、国や地方自治体から公共事業を受託する事業者に対し、一定水準以上の賃金や男女平等の賃金などを条例で保障させる制度。都でも、すでに世田谷区や渋谷区などが導入している。
「例えば、時給1500円を労働者に払っている企業でないと受注できないという条例を作れば、賃金は自然に底上げされていきます。
加えて、最低賃金そのものも引き上げる。都の最低賃金は現在、時給932円。これでは、1か月働いても生活保護水準と変わらない。ちなみに欧米では、時給1000円~1500円ぐらいが平均です」
さらに住宅政策の強化も提案する。
「石原・猪瀬・舛添都政の17年間で都営住宅を1戸も作っていません。そのため申し込み倍率が高く、だいたい30倍を超えています。対策としては、都営住宅の新設はもちろん、家賃補助制度を設ける手もある。ワーキング・プアでも家賃補助があれば生活でき、普通のアパートに住めるようになります。都内には空き家が多いですから大家さんも助かるはずです」
都民ファーストから漏れている都民がいないか、注視する必要がありそうだ。
取材・文/千羽ひとみ…フリーライター。ドキュメントから実用まで幅広いジャンルを手がける。著書に『ダイバーシティとマーケティング』(共著・宣伝会議)
【毎日新聞】7月5日 経済同友会:都議選自民敗北「安倍政権強引すぎた」と批判
経済同友会の小林喜光代表幹事は4日の記者会見で、東京都議選で自民党が歴史的惨敗を喫したことについて「原因は明確だ。(安倍政権が発足から)4年半たって、かなり強引なものの進め方を都民が気にし始め、ちょっと政治を変えてみたいと思ったのだろう」と述べ、政府・与党に敗因があるとの見方を示した。
小林氏は、先の通常国会での「共謀罪」法の強行成立や学校法人「加計学園」問題への対応などを念頭に「安倍政権の説明が足りず、都民が納得できなかった。国民には『知る権利』があり、そこに対する配慮が足りなかった」と批判。「安倍政権が説明責任を果たしながら進んでいくのか、(都議選の結果を受けて)国政がひっくり返るのか、見立ては難しい状況だ」と述べた。【川口雅浩】
【文春オンライン】7月8日“自民党の歴史的惨敗”にとどめを刺した珍言・暴言を一挙公開!
安倍晋三 首相「こんな人たちに負けるわけにはいかない」毎日新聞 7月4日
名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。7月2日に行われた東京都議会選挙で、自民党は「歴史的惨敗」を喫した。もともと加計学園問題、「共謀罪」法案の採決強行、豊田真由子衆院議員の暴行問題などによって逆風が吹いていたが、とどめを刺したと思われるのが安倍首相のこの一言だ。
投票前日の7月1日、「ホームグラウンド」とも言われているJR秋葉原駅前で、安倍首相は都議選初の街頭演説を行った。同駅前には日の丸の小旗を振る自民党の支援者が集まったが、聴衆の一部からは「安倍辞めろ」「安倍帰れ」などのコールが発生。これに対して首相は「人の演説を邪魔するような行為を自民党は絶対にしない」と怒りを露わにした。いつも国会で率先してヤジを飛ばしているのに! そして聴衆を指差しながら一際大声で言い放ったのが「こんな人たちに負けるわけにはいかない」という言葉である。
「こんな人たち」とはつまり自分を批判している人たちのことだ。都議選の前、高まる加計問題追及の声に苛立ち、「もう遠慮なんかしない。これからは何でも言いたいことを言ってやる!」と自民党幹部の前で吠えていたというが(『FRIDAY』 7月14日号)、宣言どおりの発言だったとしたらあまりに幼稚すぎる。
自分に反対の考えを持つ人々は国民ではないと思ってる
小泉純一郎首相の秘書官を務めた元参議院議員の小野次郎氏はツイッターで次のように書いている。「この方は、自分に反対の考えを持つ人々は国民ではないと思ってる。総理になって何年も経つのに、この方は全国民のために選ばれた職にある自覚は持ち合わせない、遺憾ながら」(7月1日)。
安倍首相は「こんな人たち」すなわち「敵」と認定した相手に対してやたらと攻撃的な態度をとり、身内や仲間をとても大切にしてきた。ジャーナリストの江川紹子氏は安倍首相について、「敵を批判し、嘲笑し、数の力で圧倒して、自らの強さと実行力を見せつける」ことで支持を集めてきたが、「対決型を推し進めることで、政治はますます粗雑になり、できるだけ広範な人たちの合意を得ていくという地道な努力をしなくなっていった」(Yahoo!ニュース個人 7月3日)と指摘している。
毎日新聞の佐藤千矢子政治部長は署名記事の中で、「帰れコール」が「互いに異論に耳を傾けない分断の政治を象徴しているよう」であり、「こうした政治を生んだのも、批判に不寛容な首相の姿勢が影響しているのではないか」と書いた(7月3日)。読売新聞の前木理一郎政治部長は署名記事の中で、今回の都議選の大敗を「安倍首相にとって、2012年に政権に返り咲いて以降、最大の危機」とし、「国民は首相の言葉を信じられなくなっている」と厳しく指摘している(7月3日)。
「テロ等準備罪で逮捕すべし!」に「いいね!」
「大変厳しい都民の審判が下された。我が党に対する、自民党に対する厳しい叱咤と深刻に受け止め、深く反省しなければならない」と語った安倍首相。だが、本当に「深く反省」してるの? と疑っている人はきっと首相の想像よりずっと多い。東京新聞編集局は、首相の演説を離れた場所で聞いていた老人が「こんな人ってなんだ。都民だ、国民だよ」と声を上げたことをツイートしている(7月1日)。
なお、安倍首相の街頭演説に「やめろ」とヤジを飛ばした人たちに対して「テロ等準備罪で逮捕すべし!」と主張したフェイスブックの投稿に、自民党の工藤彰三衆院議員が「いいね!」ボタンを押していたことが明らかになった。「誤って押してしまった」とのことだが……(産経新聞 7月6日)。なんだか恐ろしい未来を想像してしまいそうになる。
(以下略)