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年末調整の制度が納税意識の妨げに―税金や社会保障などの仕組みも知っておくのは社会へ出るための常識であり、最低限の戦う武器
2017年6月24日

【弁護士ドットコム】6月24日「手取り額」しか気にしない日本の会社員、「源泉徴収」を廃止したら意識が変わる?
会社員の毎月の給料やボーナスから、所得税などが差し引かれる「源泉徴収」。「年末調整」で払いすぎた税金が戻ってくるため、一般の会社員が、税金の煩わしい手続きに戸惑うことのない便利な制度だといえる。
税金を徴収する側にとっては、漏れなく税金が入ってくる大切な仕組みだといえる。ただし、以前から、納税意識が希薄になることが指摘されている。
もしも、源泉徴収が廃止された場合、どんなメリットとデメリットが想定されるのだろうか。佐原三枝子税理士に聞いた。
●年末調整の制度が納税意識の妨げになっている可能性
アメリカでは、サラリーマンであろうと、自営業者であろうと、みんな確定申告をするから、アメリカ人は税金に対する意識が高い、という話を聞かれたことはないでしょうか?
実はそのアメリカでも、お給料から税金の源泉徴収はされているのです。ですが、アメリカでは、源泉徴収された税金を精算するには確定申告をしなけれはなりません。
日本のサラリーマンは、申告に代わる簡易な制度として勤務先の事業所が年末調整をやってくれます。マイホームを買ったとか、医療費がかかったとか、特殊な事情がない限り、おおむね申告をしに行く必要がありません。
ですから、源泉徴収よりも年末調整という制度が税金の仕組みを知る意欲の妨げになっている可能性は大いにあると思います。
日本でも、毎年確定申告を全員がする必要があったら、税金の仕組みをもっと知りたいと思うし、納税額も自覚するようになり、いろんな意識は高まると思います。
●もし源泉徴収がなかったら?
もし、お給料から源泉徴収がされなかったら、すべてを自主申告に頼ることとなり、悪意の有無にかかわらず無申告の方に対応するための費用が増えることは簡単に想像されます。そのために税金が使われるのもいかがかと思います。
本来の税額より多めに源泉されていれば、その税金を精算して還付を受けるために、むしろ進んで申告しようと思いませんか? ですから、源泉徴収は申告を促す効果もあるのです。
アメリカの人たちが積極的に確定申告に行くのは、おおむね源泉税が戻ってくるパターンが多いという事情もあるようです。
源泉徴収で気を付けておきたいところは、源泉徴収をするのは事業所などに課せられた義務であって、したり・しなかったりを勝手に選ぶことができないということです。調査で源泉徴収漏れが指摘されたら、事業所は「その人に税金を取りに行ってくれ」といっても聞いてもらえません。税務署は、預かりが漏れていた源泉税を事業所から徴収するだけで、事業所が支払った源泉税をその人から取り返すかどうかは全く別の問題なのです。ですから、事業所の方は、源泉徴収制度をよく理解して適用していただきたいと思います。
最後に、サラリーマンの年末調整のお話に戻ります。
かくいう私も、サラリーマンの時は源泉徴収票を見ても、手取り額しか気にせず、たくさん引かれているな~くらいの意識しかありませんでした。税務の業界に転向してからいろいろ知り、税金や法律を全く知らずに丸腰で社会に出たのだと今になって恐ろしい思いがします。
戦後、アメリカは申告納税制度を行き渡らせようとしましたが、日本政府に年末調整制度の設置を押し切られたそうです。お金の話をタブー視するような日本人の気質と相まって年末調整はすっかり根付き、自分の税額も知らない昔の私のような社会人をたくさん産んでいるのかもしれません。
年末調整は、国も国民も事務を簡略化できる優れた制度ですが、それに甘えず、税金や社会保障などの仕組みも知っておくのは社会へ出るための常識であり、最低限の戦う武器だと痛切に感じます。
読み書きを学ぶように、源泉徴収票の見方といった実践的で基本的な税法の知識を身に着けるような場がすべての人にあるべきではないかと思います。
【取材協力税理士】佐原 三枝子(さはら・みえこ)税理士・M&Aシニアスペシャリスト

【ZUU online】6月24日8月から「年金受給」範囲拡大 いつから、いくらもらえるのか?
いよいよ「10年年金」の制度がスタートする。今まで老齢年金を受給できなかった人の多くが、今後は年金を受け取ることができるようになるわけだが、老齢年金制度の基本と合わせて理解したい。
まずは、老齢年金の基本から
仕事を引退したあとの一定の収入を、国として制度化したものが「老齢年金制度」だ。現役世代の人が毎月コツコツと年金保険料を支払い、そしてその時の高齢者に一定の収入として支払われるのが、この老齢年金制度の仕組みである。
つまり「保険料を支払う人がいてこそ、年金を受け取る人がいる」というのが制度の基本原則であり、今回はこの「受け取る人」の条件が緩和された。
その老齢年金制度であるが、2階建ての制度と言われている。
まず1階部分は、国民誰もが加入している国民年金だ。この国民年金からは、通常、65歳から老齢基礎年金が支給されるが、支給されるための要件があり、それが「国民年金の保険料を最低25年間納めること」である。今回の「10年年金」はこの「25年の納付要件」が「10年の納付要件」になった。
そして2階部分が、老齢厚生年金である。サラリーマンなどの被用者が、自分の収入に合わせた厚生年金保険料を支払い、その支払い保険料に応じて1階部分に上乗せされて老齢厚生年金が支払われる。収入が多い人は多くの保険料を支払うので、結果的には老齢厚生年金を多めに貰うことになる。
今まで老齢年金がもらえなかった人は、こんな人
この老齢年金制度、大前提が「老齢基礎年金の受給権を満たす必要がある」ということだ。この受給権が前述のように、今までは「25年」であり、この受給期間を満たさないと、老齢基礎年金を一円も受け取れないのである。
例えば、国民年金保険料を20年間支払ったケースで考えてみよう。20年間は国民年金の保険料をきちんと支払ったものの、その後20年間は資力がなく、保険料を未納にしてしまったとする。このように、数年間分~数か月分の納付期間が不足している人が、今回のこの「10年年金」によって、老齢年金を受け取れるようになるのだ。
他方、次のような「納付要件が20年」の人も老齢年金を受け取れることになる。
それは、15年間はきちんと国民年金の保険料を支払い、その後5年間支払う資力がなくなったので、保険料免除の申請をしている、というケースである。
このケースで注意しなくてはいけないのは、5年間の保険料免除期間は、保険料納付期間としてカウントこそされるが、年金額への反映はされず(あるいは部分的にしか反映されず)、年金額は20年間支払った人より少なくなるという点である。
この2例から言えることは、保険料納付要件の「満たし方」によって、貰う年金額に差が出てしまう事があり得るということだ。
もう一つ大事なことがある。
それは老齢厚生年金を受け取れる人が増えるということだ。
 老齢基礎年金の受給要件を満たしていることが、老齢厚生年金の受給要件だが、今回の「10年年金」の導入によって、結果的に今までは「かけ捨てられていた」厚生年金保険料が、晴れて老齢厚生年金として支払われることになるのだ。
サラリーマンを5年ほど経験した後、ずっと個人事業主として働き、国民年金の保険料を未納にしてしまい合計20年しか保険料を納めなかった、というようなケースに該当する人も今回の改正で老齢厚生年金を受け取ることになる。
10年年金の貰い方と、その内容
この「10年年金」に該当する人には、今年の2月から年金請求書が送付されている。誕生日によって送付する月が違うが、この7月下旬で請求書の送付は終わることになる。8月になっても請求書が送られてこない人で、自分がこの「10年年金」に該当するのではと思う人は、お近くの年金事務所に年金手帳を持って相談に行ってみて欲しい。
さて、この「10年年金」に該当する人で、65歳以上の人は、今年の10月に9月分の年金が支払われる。これが一番早いスケジュールである(年金事務所談)。そして、偶数月の12月には10月・11月分が支払われ、それ以降は2か月ごとに年金を受け取ることになる。
また、65歳までの人で、厚生年金に一年以上加入した経験のある人は、老齢厚生年金の一部を、今から受け取ることもあり得る。
では、実際に受け取る年金額を、老齢基礎年金の例で確認してみよう。20歳から60歳までの40年間保険料を支払うと、年金額は約78万円となるが、仮に20年間だけ保険料を納めた人がいた場合は、年金額は約39万円となる。
このような受取額に、保険料免除期間があると減額されて、厚生年金を納めていると受け取り額が増える、ということになる。
いずれにせよ、老齢基礎年金を満額貰うだけでも、老後生活が不安なく暮らせるかどうかわからない時代である。だからこそ、自分年金に取り組んだり、資産運用をしたり、定年後も働く人がいるのだ。
この「10年年金」だけで老後の生活費が賄えるとは言い難いのも事実で、もう少し年金額を増やしたいと考えるならば、国民年金の任意加入制度や後納制度を活用することも念頭に置いてほしいと思う。
石川智(いしかわ さとし) ファイナンシャル・プランナー 終活アドバイザー

【東京新聞】6月24日〈社説〉加計問題究明 国会召集に応じる責任
 獣医学部新設をめぐる真相究明のため、野党四党が臨時国会の召集を要求した。憲法五三条に基づく重い行為だ。安倍政権には要求に応じる責任がある。憲法無視の政治はこれ以上、許されない。
 公平・公正であるべき行政判断が「首相の意向」を盾に歪(ゆが)められたのではないか。国民の疑念は解消されるどころか、膨らむばかりだ。安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部を愛媛県今治市に新設する計画である。
 内閣府から文部科学省に「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だと聞いている」などと働き掛けたとする文書の存在が確認されたのに続き、首相の側近である萩生田光一官房副長官が文科省に早期開学を求めたと受け取れる文書も見つかった。
 国会を召集して、国政調査権を駆使した真相究明は当然である。
 しかし、安倍政権側は「早期に行わなくても良いのではないか」(自民党の竹下亘国対委員長)と応じるつもりはないようだ。
 首相が会見で述べた「何か指摘があれば、政府としてその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たす」との約束は何だったのか。政権は、真相究明に後ろ向きだと断ぜざるを得ない。究明されたら都合の悪い、後ろめたいことでもあるのか。
 憲法五三条は衆参どちらかで総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと明記する。
 同条に基づく臨時国会の召集要求は今回を含めて三十七回(重複を除く)あり、うち三十三回は開かれている。ほとんどの政権が野党の要求に応じてきたが、この憲法規定を完全に無視したのが、今の安倍内閣である。
 安全保障関連法の成立が強行された二〇一五年秋、同法が公布され、環太平洋連携協定(TPP)締結交渉が大筋合意し、内閣改造で十人の閣僚が新たに入閣した。
 野党が説明を求めて、臨時国会の召集を要求しても、安倍政権は首相の外交日程や一六年度予算編成作業を理由に拒否した。
 召集期限が定められていないとはいえ、要求を完全に葬り去るのは暴挙と言わざるを得ない。
 首相や閣僚、国会議員を含め公務員には憲法を尊重し、擁護する義務がある。それができないような首相や国会議員に、憲法改正を語る資格はない。国会軽視、憲法無視のあしき振る舞いを、これ以上、認めてはならない。

【沖縄タイムス】6月24日 「解釈、全然違う」翁長知事、安倍首相の辺野古和解発言に反発
 安倍晋三首相が23日の沖縄全戦没者追悼式に出席後、記者団に辺野古移設について「(昨年3月の)和解に従って誠実に対応する」と述べたことに対し、翁長雄志知事は同日、「解釈が全然違う」と強く反発した。
 安倍首相らを見送った後、那覇空港で記者団の取材に答えた。
 翁長知事は、昨年3月の辺野古訴訟の和解にある「判決に従う」とは、今回県議会に議案として提案した工事差し止め訴訟ではなく、最高裁で県敗訴が確定した違法確認訴訟に適用されるとの認識を示し、「もう負けたんだからお前たち何も言うな、というものでは全くない」と批判した。
 追悼式での平和宣言で、米軍オスプレイの墜落や地元無視の訓練強行などに言及したことには「住民の平穏な暮らしと安心・安全があっての平和だ。これが確保されない中で、日本全体の安全保障が守られているのでは、沖縄県民はやるせない」と述べ、政府が強調する基地負担軽減とは逆行している現状を強調した。
 嘉手納基地の旧海軍駐機場の継続使用問題に触れたことにも、「住民生活への配慮で移したのに、毎日飛来してくるものを(政府に)負担軽減が進んでいると言われたら、(実態を)言わなければならない」と語気を強めた。
 日米特別行動委員会の合意を無視した嘉手納基地でのパラシュート降下訓練などを理由に、嘉手納町長らが同基地司令官の交代式に不参加の意向を示していることにも「どれだけの怒りを持っているかが分かる」と指摘した。