【しんぶん赤旗】12月25日 税通知書にマイナンバー 情報漏えいリスク大 東京・中野区は不記載へ
総務省は、来年5月に各事業者に郵送される市町村民税などの「特別徴収税額の決定通知書」に従業員のマイナンバーを記入するよう市区町村にすすめています。市区町村や事業者の負担増が懸念されており、東京都中野区では「情報漏えい等のリスク」などを理由に「通知書」にマイナンバーを記載しないことを決めました。(矢野昌弘)
<各地方議会で中止の陳情も>
来年6月の給料から住民税を“天引き”するために、各市区町村は5月10日前後に事業者へ従業員の税額が記された「決定通知書」を郵送します。
これまで「通知書」には従業員の名前、住所、税額が記入されていますが、マイナンバー制度普及のために、総務省が書類の書式を変更。来年5月に使用される通知書にはマイナンバー記入欄が設けられました。総務省は自治体向けの通知などで、番号を記載するよう“指示”しています。(11月4日付既報)
しかし「通知書」にマイナンバーを記載し、郵送することは、重大な個人情報の大量漏えいが危ぶまれます。
各地の地方議会で、番号の記載中止を求めて陳情する動きが始まっています。
<郵送料の負担も>
中野区では、日本共産党の羽鳥だいすけ区議が11月区議会で取り上げました。
区は11月30日、「通知書」に番号を記載しない方針を明らかにしました。
区の担当者は「自治体として判断した。普通郵便では、漏えいリスクがある。また、簡易書留で送ると、郵送料の負担が増大する」と説明します。
中野区が郵送する「通知書」は来年5月に出す分だけで約4万件と見込まれます。普通郵便の料金にプラス310円がかかる簡易書留だと、約1200万円の負担増になります。
また、簡易書留の郵送では受取人が不在の場合、再配達となり、到着まで日数を要します。区の担当者は「事業者の話を聞くと、6月の給料日に徴収事務を間に合わせるには、5月中旬に届く必要がある。簡易書留では、届くのが遅れ、支障をきたすおそれがある。全国の自治体が同時期にいっせいに郵送することの影響も考慮した」といいます。
<管理体制不十分>
「マイナンバー制度推進という人でも通知書への番号記載は反対すべき大問題だ」と話すのは千葉県の船橋市議会に通知書への番号記載の中止を求める陳情をした税理士(67)です。
「多くの事業所ではマイナンバーの管理体制が極めて不十分なのが現実だ。住民税の天引きにマイナンバーは不要だし、普通郵便で送れば、ポストに置かれた間、番号が漏れる危険にさらされる。当初の制度設計にも反する危険な行為だ」と訴えます。東京・大田区議会でも請願が出されました。
【日経新聞】12月22日 はがき62円に値上げ 来年6月、増税以外23年ぶり
日本郵政グループの日本郵便は22日、はがきの料金を来年6月から62円に引き上げることを発表した。現在は52円。はがきの値上げは消費税率が8%に上がった2014年4月以来、3年ぶりだが、消費増税以外では23年ぶりになる。昨年11月のグループ上場を受け、収益が低迷する郵便事業を立て直す。はがきのうち、年賀状は52円に据え置く。封書も現在の82円のままで据え置く。
はがきの配達数は減少傾向にあるが、2015年度で約63億通。値上げによる年間の利益改善効果は数百億円規模になる見通し。まとめて集配できる年賀状は黒字になっており、料金を据え置く。封書の料金も法令上の上限が82円と定められており、値上げしない。
【日経新聞】12月22日 出生数、初の100万人割れへ 少子化止まらず 厚労省16年推計
2016年生まれの子どもの数が100万人の大台を1899年の統計開始以降で初めて割り込む。98万~99万人程度になる見通しだ。20~30代の人口減少に加え、子育てにかかる経済的な負担から第2子を産む夫婦が減っており、少子化の進行が改めて浮き彫りになった。社会保障制度を維持していくためにも、政府の人口減対策や子育て支援の充実が一段と重要になっている。
【BuzzFeed News】12月21日 22年で稼働はたった250日。 廃炉される「もんじゅ」に投じられた金額に衝撃
1. これまでに投じた予算:約1兆2千億円
建設費は約5900億円。もんじゅの出力は28万キロワットだが、一般的な原子力発電所(出力100万キロワット)の建設費の約2倍だ。
日本原子力研究開発機構はこの理由について、もんじゅが「研究開発の中間段階の原子炉」であり、「経済性の見通しを得ることではなく、高速増殖炉で安定した発電ができることを実際に確認することに主眼があった」ため、としている。
2. これまでの稼働日数:22年間で250日
1985年に建設工事が始まり、1994年4月に初めて臨界に達したもんじゅ。巨額の建設費がかかったのに、この22年間で稼働したのはわずか250日だ。
1994年の臨界後は205日間運転をし、送電も開始した。しかし翌年12月、冷却材のナトリウムが漏れ出す事故が発生し、運転は中断した。
改造工事などを経た2010年5月には試運転を再開し、臨界を達成。今度は45日間運転したが、8月に炉内中継装置の落下トラブルが起き、再び中断を余儀なくされた。
その後、2013年には原子力規制委から事実上の運転禁止命令も受けた。
3. 1日の維持費:5千万円
福井県の西川一誠知事(手前)に高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉方針案を説明する松野博一文部科学相(時事通信)動かない原子力発電所。にもかかわらず、巨額の維持費がかかり続けていた。
1年間(2016年度予算)で見ると、「維持管理及び安全対策に要する経費」が185億円。そのほか人件費に29億円、固定資産税に12億円かかっている。
4. 再稼働費用:5400億円
もんじゅを再稼働するためには、耐震化などの対策が必要だった。
文部科学省の試算では、福島第一原発事故後に強化された原子力規制委の新規制基準が適用された場合の経費は1千億円以上。
燃料をつくる茨城県東海村の工場の対策も欠かせず、準備期間は最低8年を要する。維持費やその後の運転費も含むと、5400億円かかる見通しだ。そのために廃炉が選択された。
5. 廃炉費用:3750億円
「もんじゅ」の中央制御室(時事通信)
文部科学省の試算では、もんじゅの廃炉費用は3750億円。普通の大型原発の廃炉は800億円かかるため、約5倍だ。
ただ、もんじゅの冷却材であるナトリウムを取り出す技術はまだ確立していないなど、課題は大きい。費用はさらに増える可能性もある。廃炉には30年かかる見通しだ。
6. 日本のプルトニウム保有量:約47.9トン
日本国内には10.8トンの、国外(イギリス、フランス)には37.1トンのプルトニウムが保管されている。
核兵器を持っていない国のなかでは、最大だ。プルトニウムは数キロあれば核兵器をつくることができるため、あまり持ちすぎてしまえば、国際社会から懸念されてしまう。
7. 放射性廃棄物を地中に埋める期間:10万年
フィンランドの放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」=Sam Kingsley / AFP / Getty Images原発で出た核のごみ(放射性廃棄物)は、地下深くに埋める「地層処分」をする必要がある。
政府は先月末、原発を廃炉した場合に出た廃棄物のうち、制御棒などの処分方針を決めた。
地下70メートルより深いところに埋め、最初の3〜400年間は電力会社が管理をする。その後は国が10万年間、掘削を制限するという。
使用済み燃料を再処理した時に出る高レベルの廃棄物も、地下300メートルより深いところに、やはり10万年間埋めることになっている。候補先は、まだ決まっていない。
(以下略)