【しんぶん赤旗】9月2日 大企業内部留保 過去最高313兆円
財務省が1日発表した法人企業統計によると、大企業(資本金10億円以上)の2015年度の内部留保は前年度を13.5兆円上回る313兆円で史上最高額を更新しました。配当や役員報酬も前年度を上回ったものの、従業員1人当たりの賃金は減少。大企業がもうかれば家計に回るという安部晋三政権のトリクルダウン政策の破たんを示しました。
【日刊ゲンダイ】8月27日 規制改革会議トップに小泉・竹中コンビ“申し子”の悪夢
安倍政権は7月末に設置期限の切れた「規制改革会議」の後継組織の議長に、大田弘子政策研究大学院大教授(62)を充てる方針を固めたという。第1次安倍内閣で経済財政担当相を務めた大田氏は「規制改革会議」でも議長代理を務めた。例によって、安倍首相の“オトモダチ”人事なのだが、とりわけ、この起用は最悪だ。ただでさえ社会的弱者イジメ政策を進める安倍政権を後押しするのは確実だからだ。
■持論は年金民営化、消費税率24%
「聖域なき規制改革」を掲げた政府の「規制改革会議」は、改革とは名ばかりで、実体は財界の“代弁機関”。大企業経営者にとって都合のいい政策を政府に働きかけてきた黒幕と言っていい。
特に“狙い撃ち”したのが労働・雇用だ。今や全労働者の4割にも達する非正規労働者の導入・拡大や、政府が今秋の臨時国会で成立をもくろむ「残業代ゼロ法案」を求めてきた。そんな悪名高き会議で、「規制改革は労働市場とセット」と公言していたのが大田氏だ。小泉政権で「構造改革のエンジン」と呼ばれた経済財政諮問会議の運営にも携わった。
大田氏は2015年8月の毎日新聞のインタビューで、「格差が拡大したのは構造改革のせいではありません」「改革なくして成長なし」と当時を振り返っていた。そんな人物が“第2”規制改革会議のトップに就くというのだから、恐ろしい話だ。
実際、01年2月の衆院予算委の公聴会に参考人として出席した大田氏はこんな持論を展開していた。
〈今の社会保障制度は良過ぎて持たないんじゃないか〉〈年金について申し上げますが(略)ナショナルミニマム(政府が国民に対して保障する生活の最低限度)にとどめるべき〉〈基礎年金の財源は消費税にする、二階部分は積立方式に移行して民営化する。企業負担分はなくしていい〉〈(消費税を福祉目的化した場合の税率は)私が簡単に計算しただけでも、それで24%になります〉
安倍政権は「増税分は全額、社会保障に充てる」と言って消費税を5%から8%に引き上げながら、社会保障制度をどんどん縮減しているが、大田新議長の“お墨付き”を理由にさらに加速させるだろう。経済評論家の荻原博子氏はこう言う。
「安倍政権の“意図”が透けて見える人選です。つまり、格差社会をさらに広げて構わない、ということなのでしょうが、果たしていいのか。英国や米国では今、格差社会の是正を求める動きが出てきている。日本だけが相変わらず旧態依然の小泉・竹中路線のままとは呆れます」悪夢だ。
【東京新聞】 8月29日《社説》今、憲法を考える(1) 平和の道しるべたれ
マッカーサーの執務室が今も残っている。皇居堀端の第一生命本社ビルの六階。連合国軍総司令部(GHQ)が一九四五年の終戦後、そこに置かれた。執務室は広さ約五十四平方メートル。引き出しのない机と革製の椅子…。背もたれのばねが弱り、今は座ることを許されない。
四六年一月二十四日。当時の首相幣原喜重郎は正午にGHQを訪れた。年末から年始にかけ肺炎で伏せっていたが、米国から新薬のペニシリンをもらい全快した。そのお礼という口実をもって、一人で訪問したのである。
お礼を述べた後、幣原は当惑顔をし、何かをためらっている様子だった。最高司令官のマッカーサーが「意見を述べるのに少しも遠慮する必要はない」と促すと、幣原は口を開いた。
何と「戦争放棄」の条項を新憲法に入れる提案をし始めたのだ。日本が軍隊を持たないということも…。「マッカーサー回想記」の記述だ。こう続く。
<私は腰が抜けるほどおどろいた。(中略)この時ばかりは息もとまらんばかりだった。戦争を国際間の紛争解決には時代遅れの手段として廃止することは、私が長年情熱を傾けてきた夢だった>
二人の会談は三時間に及んだ。マッカーサーは後に米国議会上院でも同じ趣旨の証言をした。
また五七年につくられた憲法調査会会長の高柳賢三がマッカーサーに書簡を出したことがある。戦争放棄はどちら側から出た考えなのかと-。
五八年十二月に返信があった。その書簡でもマッカーサーはやはり幣原による提案だと書いていた。今年になって、堀尾輝久東大名誉教授が見つけた新史料である。こう綴(つづ)られている。
<提案に驚きましたが、心から賛成であると言うと、首相は、明らかに安どの表情を示され、わたくしを感動させました>
幣原側にも史料がある。五一年に亡くなる十日ほど前に秘書官だった元岐阜県知事平野三郎に東京・世田谷の自宅で語った文書である。その「平野文書」が国会図書館憲政資料室に残る。
<風邪をひいて寝込んだ。僕が決心をしたのはその時である。それに僕には天皇制を維持するという重大な使命があった>
<天皇の人間化と戦争放棄を同時に提案することを僕は考えた>
◆天皇制存続と絡み合う
オーストラリアなどは日本の再軍備を恐れるのであって、天皇制を問題にしているのではない、という幣原の計算があった。戦争放棄をすれば、天皇制を存続できると考えたのだ。この二つは密接に絡み合っていた。そして、マッカーサーと三時間かけて語り合ったのである。
<第九条の永久的な規定ということには彼も驚いていたようであった。(中略)賢明な元帥は最後には非常に理解して感激した面持ちで僕に握手した程であった>
<憲法は押しつけられたという形をとった訳であるが、当時の実情としてそういう形でなかったら実際に出来(でき)ることではなかった>
「平野文書」は九条誕生のいきさつを生々しく書き取っている。
むろん、この幣原提案説を否定する見方もある。GHQに示した当初の政府の改正案には「戦争放棄」などひと言もなかったからだ。大日本帝国憲法をわずかに手直しした程度の内容だった。かつ、二人の会談は録音がないから、明白な証拠は存在しない。ただ、会談から十日後に示されたマッカーサー・ノートと呼ばれる憲法改正の三原則には、戦争放棄が入っている。
ドイツの哲学者カントは十八世紀末に「永遠平和のために」で常備軍の全廃を説いた。第一次大戦後の二八年にはパリで戦争放棄をうたう不戦条約が結ばれた。実は大正から昭和初期は平和思想の世界的ブームでもあった。軍縮や対英米協調外交をすすめた幣原もまた平和主義者だった。
◆戦後国民の願いでも
憲法公布七十年を迎える今年、永田町では「改憲」の言葉が公然と飛び交う。だが、戦争はもうごめんだという国民の気持ちが、この憲法を支え続けたのだ。多くの戦争犠牲者の願いでもあろう。行く末が危ういとき、この憲法はいつでも平和への道しるべとなる。
私たちは憲法精神を守る言論に立つ。戦後の平和な社会は、この高い理想があってこそ築かれたからだ。一度、失えば平和憲法は二度と国民の手に戻らない。
読者のみなさんとともに、今、あらためて憲法を考えたい。
【まぐまぐNEWS】(web)9月2日 もう限界だ。マイナス金利が招いた、これだけの異常事態
導入から半年が経過しても思うような成果を出せていない「マイナス金利」。私たち庶民にとってはむしろデメリットの方が大きいように感じてしまいます。無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』ではマイナス金利が生んだ数々のデメリットを解説。さらに一部富裕層の不動産投資により、日本にまた思わぬ「バブル」が訪れる可能性についても指摘しています。
ひどい!こんなにあるマイナス金利の弊害
今日は導入から半年「マイナス金利」を検証したい。日銀や政府は経済理論からどうやったら景気がよくなるのかということを考えているが、それと同時に「景気は気から」。企業や大衆の心理をよくみないと間違いが生じるように思う。どうもここのところ日銀は理論だけで動いていて、間違いが多いように感じられる。
マイナス金利をおさらい
この「マイナス金利」を改めておさらいすると、これまで一般の銀行は余ったおカネを日銀に預け、若干ではあるが金利がついていた。しかしながら「マイナス金利」導入後は、日銀におカネを預けることによって金利はマイナスとなり、逆に預けた銀行側が日銀におカネを払わなくてはならないという異常事態となっている。
日銀はこの政策によって、銀行は日銀に預けずそれを企業等に貸出したり、個人ももっとおカネを借りて大きな買い物をするようになり消費が活発化するようになると読んでいた。しかしながら、はっきり言うとその通りにはなっていない。確かに銀行の貸出し金利は下がったが、消費は向上していない。
個人消費も低水準が続く
先日発表になったGDPは2四半期連続の減少、個人消費も低水準が続いている。1世帯(2人以上)当たりの消費支出も5ヵ月連続で減少しており、日銀の思惑通りに進んでいない。ここ数日円安が進みだしたが、これはアメリカの利上げ観測を受けドルが買われているだけであり、日銀が思い描いたような円安にはなっていない。
マイナス金利を発表した頃(1月29日に発表)は1ドル118円台だったが、現在は102円前後と16円も円高になっている。日本トップの輸出企業では、1円の円高で営業利益が「400億円」も減少するといわれている。16円の円高の場合は「6,400億円」もの損失が出たことになる。このことからもこの円安論理はうまくいっていないといえる。
超長期の社債発行ブーム
企業も損失を出すばかりではいけない為、新たな動きとして借り換えを行ない始めた。償還までの期間が10年以上にわたる超長期の社債の発行が相次いでいる。これまでは、長期の事業資金を要する電力や鉄道といった企業が社債を発行していたが、マイナス金利導入後は不動産や製薬など幅広い業種にわたる会社の社債の発行が拡大している。今年上半期(1~6月)の社債発行額は前年同期比で7%の増加となっている。
例えば、JR東海では20年物の普通社債100億円を新たに発行したことで、利払い金額が以前のものと比較すると15億円も減少している。これまで社債は事業資金として活用するための債務であった。しかしながら、今回の動きは金利の低い社債を発行し、これまで借りていた高い金利の債務を低い金利の債務に借り換えしているだけで、新たな設備投資に充当しているのではない。この現象からも日銀の想定とは違うといえる。
賃貸物件急増による影響も
さらに最近、投機を目的とした賃貸物件への不動産投資も増加している。低金利でお金を借り、賃貸物件に投資。東京五輪開催の影響による物件価格の上昇を待ち、売り抜けようという動きが徐々に増加してきている。8月30日の日経新聞には「貸家に投資マネーが流出している」という記事も出ており、このことからも本当の意味での企業投資の増加につながっていない。
これは、相続税の非課税枠の減税を利用した投機マネーで賃貸物件に富裕層が投資しはじめたことによるものだ。おカネがうごくというのはいいことなのかもしれないが、投機できる人だけが儲かり、格差が拡大する。さらに、バブルのような動きが出てくる可能性もある。さらに、投資が増加することにより空室率の増加という問題も発生する。実際に、賃貸物件の増加により家賃が下落傾向にあるという側面も出始めている。
保険料への波及
その他にも弊害があり、国債の利回り低下により企業の退職金や年金の運用もさらに厳しくなってくる。かんぽ生命では14%も保険料が引き上げされた商品があったり、日本生命の一時払いの終身保険を50歳の男性が500万円の保険金を受け取れる契約では、以前に比べ31万円も保険料が高くなった。
8月29日の東京新聞には「瀬戸際の黒田緩和」という記事が出ており、「日銀は追い込まれているのではないか、9月に金融緩和の総括をすると言っているが本当に総括をするのか」と書かれている。さらに本日付(8月30日)の日経新聞では「黒田総裁がひとり総括」と報じられ、「日銀内部の中でも本当にこれでよいのか副作用が大きいのではないか。」という問題が出てきているが、黒田総裁はさらに緩和を続けマイナス金利をさらに引き下げる可能性も示唆している。
日銀は9月に金融政策決定会合を実施する予定で、これから先をどう見通しているのかということに注目される。日銀内ではもう限界だという意見もある中、黒田総裁はさらに深掘りしようとしているようなので、この二つの意見が今後どのような動きをみせるかということにも注目が集まる。今後、更なるマイナス金利を進めた場合、銀行収益への影響が懸念される。そういう意味からも本当の総括をきちんとしたほうがよいと思われる。
心理学の重要性
今後、マイナス金利の導入は経済理論から考えるのではなく、国民や企業がどういう心理状況に陥るのかというところも含めた政策をやって欲しい。日銀は心理学を少し学んだ方がよいのではないかということも言いたい。
国の政策と共に進めなくてはならない状況下で、黒田総裁は本当に厳しい舵取りを迫られているともいえる。
(TBSラジオ「日本全国8時です」8月30日音源の要約です)