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いますぐ全国一律1,000円以上の最低賃金を
2016年7月30日
【東京新聞】7月28日 [社説] 最低賃金上げ 生活できる額だろうか
2016年度の最低賃金(時給)の目安が全国平均で24円引き上げられることが決まった。上げ幅は首相が目指す「3%」と政権の意向に沿い過去最大だが、生活できる賃金水準にはまだ遠い。
 最低賃金は労働者の生活安定のため、国が定める一時間あたりの賃金の最低額だ。アルバイト、パートなど非正規含め原則、すべての労働者に適用される。
 最低賃金すれすれで働く人は非正規労働者に多く、厚生労働省によると全国で400万人以上という。最低賃金引き上げは働く貧困層の生活底上げに直結し、格差を是正するためにも有効だ。
 毎年1回、労使代表が入る厚労省の審議会で議論し目安額を示す。これを基に地方の審議会が都道府県ごとの最低賃金を決める。
 最低賃金が目安通り改定されれば全国平均は822円となり、すべての地域で700円以上になる。引き上げ額、率ともに現行方式になった02年度以降最大だ。
 政府の「一億総活躍プラン」には、最低賃金を年率3%程度をめどとし全国平均1000円を目指すことが盛り込まれた。安倍晋三首相は参院選後、「3%の引き上げに向け最大限の努力を」と関係閣僚に指示した。
 とはいえ、日本の最低賃金は欧州などと比べて低い。経済協力開発機構(OECD)の統計によると日本の最低賃金は、欧州諸国と比べ実質六~七割程度にとどまっている。
 審議会で労働組合側は6年前に閣議決定された「早期に全国最低800円、(20年までに)全国平均1000円」を実現するべく、50円程度の引き上げを主張していた。
 連合の13年の調査によると、最低限の生活を営むのに必要な賃金水準は、全国平均で時給933円。最も高い東京は同1090円だった。現在の水準はこれを大きく下回る。最低の鳥取、高知、宮崎、沖縄の四県の月収はフルタイムで働いても12万円余だ。
 依然として、地域間の格差も大きい。最高と最低の差は200円以上。都市部への人口集中を食い止めるには、賃金格差の是正は欠かせない。
 1世帯当たりの所得中央値は1998年をピークに年間100万円以上、下がっている。民間給与実態調査によると、年収200万円以下のワーキングプアは1000万人を超える。これでは消費も伸びようがない。
 働きがいのある賃金水準を早期に実現してほしい。

【全労連】Web 7月27日  [談話]最低賃金の目安小委員会報告について―「今すぐ1,000円」の政治決断を強く求める
 厚生労働省の最低賃金審議会目安小委員会は7月27日午前0時過ぎ、「労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるには至らなかった」として、全国加重平均を時給24円引き上げ、822円とする公益委員見解を示し、目安小委員会の報告として確認した。
 全国加重平均24円は、昨年度実績の18円を6円上回り、目安が時給で示されるようになった2002年度以降で最も高い引き上げ額ではあるが、ワーキングプアや実質賃金の低下による消費低迷が大きな問題となるなかでは、不十分な目安として批判されねばならない。
 今回の公益委員見解は、「ニッポン一億総活躍プラン」など安倍政権の意向に強く配慮したものとなったが、年3%程度の引き上げを続けても、全国加重平均1,000円への到達は7年後の2023年である。あまりにも遅々とした引き上げであり、経済的な波及効果も限定的に止まる。
 また、Aランク25円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円と、地域間格差がさらに拡大する目安報告となったことも容認できない。もし、目安どおりに改訂されたとすると、最高額は932円、最低額は714円であり、格差は218円にひろがる。これでは、若者などの地方からの流出が続くことは明らかである。
 全労連は、全国各地で「最低生計費試算調査」を実施し、その結果をもとに政府や審議会に対する要請を強めてきたが、調査結果からは全国どこでも22~24万円(時給1,500円程度)が必要となっており、大きな格差は存在しない。ランク分けという現行制度の制度的な矛盾があらためて明らかになったといえる。
 全労連はこの間、「社会的な賃金闘争」を強化し、とりわけ最低賃金については、全国一律最低賃金制度の実現を求めるとともに、「今すぐ最賃1,000円以上」の実現を求めてとりくみを強めてきた。こうしたもとで、先の参議院選挙では与野党を問わず、ほとんどの政党が「最賃1,000円」を掲げ、選挙戦でも大きな課題として浮き彫りになった。
 全労連はあらためて、安倍政権と最低賃金審議会に対して、「今すぐ1,000円」の政治決断を強く求めるとともに、目安答申を受けて本格化する各県の地方最低賃金審議会の改定論議に対しては、目安答申を上回る積極的な改訂、とりわけ、C・Dランク県での格差是正を求めて、全国各地でとりくみを集中的に展開していく決意である。
 また、今年度の目安報告からも現行制度の制度的な限界が鮮明になったもとで、生計費原則に基づいて、すべての働く人に人間らしい最低限の生活を保障する「全国一律最低賃金制度」を実現する運動を抜本的に強化していく。
 2016年7月27日
全国労働組合総連合
事務局長  井上 久

【共同通信】7月29日 年金運用損失5.3兆円 15年度、株重視響き5年ぶり15年度、株重視響き5年ぶり
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年度の運用損失が約5兆3千億円だったことが28日、分かった。
 GPIFは14年10月に株式の運用割合を増やしており、昨夏や年明けからの株価下落が響き、5年ぶりの赤字となった。損失額はリーマン・ショックを受けた08年度より後では最大。GPIFが29日に発表する。
 政府とGPIFは、市場運用を始めた01年度から累積では約45兆円の運用益を確保していることを強調。「年金積立金は長期的な視点で運用しており、短期的な変動にとらわれるべきではない」としている。

【しんぶん赤旗】7月26日 ヘリで金まく〝政策〟
「ヘリコプターマネー」、略して「へリマネ」なる〝政策〟 がメディアで取り上げられています。ヘリコプターで紙幣をばらまくに等しいことなのでこう呼ばれます。最初に言い出したの米国の経済学者ミルトン・フリードマンだといわます。政府が近くまとめる総額20兆円といわれる対策の財源が不明確です。「ヘリマネ」を選択肢に挙げる米連邦準備制度理事会(FRB)のベン・パーナンキ前議長が12日に安倍晋三首相を訪ねたこともあって、政府、日銀が「へリマネ」に踏み出すのではないかと臆測を呼んでいます。
あえて政策に〝〟を付けるのは政策に値しないからです。「へリマネ」に明確な定義はありませんが、中央銀行が巨額の現金を発行し、政府がその資金で財政支出を増やします。結果は歯止めのきかないインフレ、そし国ぐるみの破産です。戦前の日本政府は日銀に国債を引き受けさせて戦費を調達し、経済破綻を招きました。「へリマネ」は日銀が直接、現金をばらまくのですから、さらに悪質です。
日銀の黒田東彦総裁は「ヘリマネ」を否定しますが、「日本はすでにへリマネに片足を突っ込んいる」と評するエコノミストもいます。借換債を含めて政府が発行する国債は年間約130兆円。日銀は「異次元の金融緩和」でほぼ同額の国債を市場から買い入れています。財政法が禁じた日銀の国債引き受けに近い。金融緩和をしても日本経済は落ち込み続け、「アベノミクス不況」です。異次元緩和はマイナス金利政策へと、ありえない政策の泥沼に突き進んでいます。「次はへリマネか」と取り沙汰される原因は〝なんでもあり〟 の金融政策を続けてきたアベノミクスそのものにあります。(山田俊英)