ビル・トッテン氏は、株式会社アシストの取締役会長。聞き手は日経ビジネス副編集長。
トッテン氏は、「消費税の増税とインフレ2%」への見解を問われ、以下のようにこたえています。
「2%のインフレになったら消費税を上げるとは、日本政府は何をしたいんですか? 経済を活性化して、景気が良くなったらまた悪化させたいの? 消費税というのは、消費に対する罰税でしょ。
日本経済の約7割は消費です。そして投資が28%。でもその投資も大半が消費需要に応えるための先行投資。つまり日本経済の約9割は消費で動いています。
消費増税した場合、GDP(国内総生産)の9割を支える消費はどれだけの影響を受けるでしょうか? 2%のインフレに加えて消費税率が5%から10%に上がる。さらにこの3カ月で円が2割安くなった。日本はエネルギーのほぼ100%、カロリー(食料)の60%を輸入しなくてはいけないから、エネルギーが20%、食料は12%高くなります。これではいくら論理的に考えても、経済は良くならない。そういうことで経済が良くなると考えるのは「ドアホ」でしょ。」と、あえて「ドアホ」とまで酷評しています。
さらに、日本の税のあり方を問われ、次のようにのべています。
「昨年調べたのですが、1日に売買されている円は約90兆円です。1年間に換算すると日本のGDPの数10倍、日本の貿易額の200倍以上。何のために、誰が円を売買してますか。明らかに貿易のためではない。要はバクチ(博打)です。
例えば2011年の8月から11月までに、日本政府は円高を抑止しようと12兆円もの介入をしました。でも相手は1日に90兆円の売買です。全く意味がない。
今、消費税率を5%から10%に上げることで政府が見込んでいる税収の増加は13.5兆円です。その一方で、円高の抑制に全く効果のない介入に12兆円を使っている。だから、そういう博打には加勢しないで、税金を取ればいいのです。」
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