ガバナンス・コード―国際基準と異なり著しく株主偏重(「赤旗日曜版」)
2026年5月5日
【しんぶん赤旗日曜版】5月3・10日合併号 ガバナンス・コード―国際基準と異なり著しく株主偏重
高市早苗政権は、企業が守るべき原則「コーポレートガバナンス•コード」の見直しを検討しています。
コーポレートガバナンスは、経営の不正を防ぎ、公正な判断・運営のための企業統治の仕組みです。コードは規約を意味し、コーポレートガバナンス・コードは企業統治のための経営者の行動規範とされます。
日本では、イギリスを参考に第2次安倍晋三政権下の2015年に導入され、「アベノミクス」の成長戦略の一環で金融庁と東京証券取引所がつくりました。
イギリスでは、企業不祥事に対する経営の監督強化を意図して設定されましたが、日本は成長の手段と位置付けられた点に大きな違いがあります。日本では「株主の権利を実質的に確保」することを目指した、株主中心主義を促進するためのコードという側面が強く打ち出されました。証券投資の活性化を導くような企業経営への転換が意図されたといえます。
その結果、ガバナンス・コードの導入前後から株主への分配がより一層増加しました。12年度のアベノミクス開始以降、大企業(資本金10億円以上)の株主配当と買いをあわせた「株主還元」が大きく増え、従業員給与(47兆円)に匹敵します。(グラフ)
ガバナンス・コードは18年、21年の改訂を経て、現在、3度目の改訂が検討されています。今回は、人材の多様性(女性や外国人)確保や環境問題への対応などのサステナビリティ(持続可能性)情報開示などを重要な経営課題とする点で前進面もあります。しかし、高市政権は「株主への還元も含めた」「成長志向型に変容」させるとして、アベノミクスを踏襲した改訂を進めようとしています。
それに対し関西経済連合会は「分配が株主に偏重」しており「多様なステークホルダーを等しく重視する考え方を明確にうちだすべき」だと提言しています。
ステークホルダーは利害関係者のことで、株主だけでなく従業員、顧客、取引先、地域社会も含みます。
OECD (経済協力開発機構)の「コーポレートガバナンス原則」は唯一の国際的スタンダードです。23年のG20(主要20カ国•地域)首脳会議で改訂版が承認されました。新設された章では、ステークホルダー重視とサステナビリティを目指す経営を強調しました。日本のような株主偏重ではなく「ステークホルダ1の利益も十分に配慮し、公平に取り扱う」べきであるとしています。従業員参加の仕組みの構築や、取締役会による政治献金を含むロビー活動(陳情など)の監督なども提言しています。
イギリスのガバナンス・コードでも、従業員代表の取締役会への受け入れ、従業員への諮問会議の設置、従業員との対話担当の取締役の配置のいずれかーつを上場会社に義務付ける改訂がおこなわれています。
株主中心主義を目指す日本のガバナンス・コードは、国際的な基準とは大きく異なっています。「失われた30年」から日本経済を再生させるには、株主偏重のガバナンス・コードを是正させねばなりません。
小栗崇資(おぐり•たかし駒澤大学名裏授)


