消費税導入から37年―「社会保障のため」は机上の空論(「赤旗」)
2026年3月15日
【しんぶん赤旗日曜版】15・22日合併号 消費税導入から37年―「社会保障のため」は机上の空論
消費税は「社会保障に使われる」から引き下げはできないとよく言われます。
2022年6月のNHK「日曜討論」で、自民党の高市早苗政調会長(当時)は「消費税が法人税の引き下げに流用されているかのような発言があったが、全くの事実無根。消費税は法律で社会保障に使途が限定されている」と述べました。
政府は消費税が社会保障に使われていると国民に宣伝するため「消費税収は年金、医療及び介護の社会保障給付、少子化に対処するための経費に充てる」と規定しました。(12年改定消費税法1条2項の概要)
しかし、こんな規定は何の足しにもなりません。税は普通税と目的税とに区分されます。目的税は特定の
経費に使う税ですが、普通税は特定の経費に使うのではなく、経費一般に使う税です。消費税は普通税ですから、「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するため」という規定を付け加えたところで、机上の空論にすぎません。
日本共産党の小池晃書記局長は「これまでの消費税収が539兆円となる一方で、法人3税(法人税、法人事業税、法人住民税)は318兆円、所得税、住民税は295兆円の減収」だと指摘し、化けの皮を剥いだのでした。(参院財政金融委員会、25年3月)
消費税・地方消費税は、租税分類上「一般消費税」といいます。一般消費税は、広範囲な商品販売・サービ
スに課税します。この税の最大の欠陥は、高所得者には軽く、低所得者に重く負担させること(=逆進性)にあります。
月5万円の収入の年金者、月50万円の給与者、月200万円の役員報酬者がそれぞれ1万円の買い物をしても払う消費税10%は同じ1000円です。月収に占める支払い消費税額の割合を計算すれば、年金者は2%、給与者は0.2%、役員は0.05%です。高所得者よりも中・低所得者が重い負担です。これが逆進性であり、消費税の避けがたい欠陥です。
石破茂首相(当時)は「お金持ちほどたくさん消費するので減税額が大きい」といいましたが、消費税の逆
進性を打ち消すことにはなりません。
消費税については、表舞台のかけ引きだけをとりあげるマスコミやネットからの知識ではわかりません。そんなことにまどわされず、あるべき税制をつくるのは私たち一人ひとりの行動であるという原点に立ち返り考えることが重要です。
日本国憲法を根拠とする課税の指針は応能負担原則(応能原則)です。応能原則は、財産運用•不労所得に重く、勤労所得に軽く、大所得に重く、小所得に軽く、最低生活費は無税などを内容とします。その中心に位置するのは所得を対象とする法人税、所得税、住民税です。
消費税減税の財源はあります。総合累進所得課税により、65兆6580億円の財源が生まれます。(不公平な新をただす会編『福祉と税金』25年10月1日)
浦野広明(うらの・ひろあき立正大学法制研究所特別研究員)

