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臨時国会の評価 各紙が「主張」や「社説」で厳しい論評
2025年12月20日
 【しんぶん赤旗】12月19日<主張>臨時国会閉会―深刻な高市政権の行き詰まり
 高市早苗首相のもとで初の臨時国会が閉会しました。高市首相は国会を乗り切るため、連立相手を公明党から日本維新の会にかえたうえ、維新を除名された議員を自民党会派に入れて衆院過半数を確保するなど、なりふり構わぬ多数派工作を行いました。しかし、暮らしや外交・安全保障での行き詰まりは深刻です。
■揺らぐ経済の土台
 補正予算は成立したものの、物価高から国民の暮らしを守り、経済を立て直す太い方策は示されていません。
 18兆円を超す補正予算に計上された物価対策は、子ども1人あたり2万円給付など一時しのぎにすぎません。一方で、大企業支援や軍拡には8・1兆円もつぎ込み、財源の6割超を国債で賄います。
 高市首相は「財政の持続可能性にも十分配慮している」などと開き直りますが、市場では財政悪化の懸念から長期金利が上昇。円安による物価上昇でわずかな物価対策も帳消しになりかねず、日本経済の土台を揺るがしています。
 さらに、台湾有事をめぐり「存立危機事態になりうる」とした高市首相の発言が日中関係を悪化させています。高市首相は「従来の政府の立場を超えて答弁したように受け止められたことを反省」というものの、発言を撤回しません。日米軍事同盟と安保法制によって米国の戦争に日本が巻き込まれる危険は高まっています。しかし、危機を煽(あお)ることで支持を得ようとする高市首相では、外交による事態の打開もできません。
 一方、臨時国会では、全政党の真価も試されました。
 維新は窮地に陥った自民の延命に手を貸すだけでなく、危険な政策のけん引役となっています。自民におもねって企業・団体献金禁止を棚上げし、議員定数削減を突然持ち出して「政治とカネ」問題を後景に追いやりました。維新が連立の「絶対条件」と位置づけた定数削減は審議入りできませんでしたが、連立は続け、実現に固執しています。
 野党も問われています。国民民主党は大軍拡を問題とせず、ガソリン税の暫定税率廃止などを理由に補正予算に賛成。参政党は「スパイ防止法」制定などで民主主義破壊の先兵を務めています。公明は立憲民主党と補正予算の組み替え動議をだしながら、予算に賛成する矛盾した態度をとり、高市政権を助けました。
■転換への確かな力
 こうしたなか高市政権と正面から対決する日本共産党の役割が重みを増しています。
 暮らしの問題では、大企業の内部留保活用による賃上げ、大企業・富裕層優遇税制の是正などを主張し、消費税減税や社会保障充実の道を示しました。日中関係をめぐっても、高市首相の「台湾発言」の問題点を歴史的経緯から明らかにして撤回を迫り、日中友好関係再構築のための方策を提案、行動してきました。
 高市政権は日本が直面する課題を解決できず、国民の求める平和、民主主義、暮らしの要求とぶつかります。多様な要求で国民的共同を広げることが行き詰まった政治を変える力となります。全国各地で新たな国民的共同をつくり、広げることに力をつくしましょう。

【東京新聞】12月18日<社説>臨時国会閉会 献金規制見送る不誠実
 高市早苗首相が就任後初めて臨んだ臨時国会が閉会した。野党側は企業・団体献金の規制を求めたが、またも先送りされた。自民党派閥の裏金事件と向き合わない首相の姿勢は不誠実極まりない。
 臨時国会では、国民民主、公明両党が共同提出した企業・団体献金の受け皿を党本部と都道府県組織に限定する政治資金規正法改正案と、献金の透明性を高めるとした自民党案などが審議された。
 献金禁止を訴えていた立憲民主党、日本維新の会のうち、立民は国公案に歩み寄ったが、連立政権入りした維新は自民党への配慮から反対を表明。国公案、自民案ともに過半数の賛同を得られず、採決には至らなかった。
 受け皿制限を巡り、先の通常国会では当時の石破茂・自民党総裁(首相)が立民の野田佳彦代表との協議に応じる考えを示したが、高市氏は首相就任後「組織間の約束ではない」と協議を拒んだ。
 党首間の合意が一方的に白紙にされるなら、国会での審議の積み重ねは無意味になりかねない。
 石破自民党が昨年の衆院選と今年の参院選で大敗したのは、裏金事件で失った信頼を回復できなかったからにほかならない。その結果誕生した高市政権が「政治とカネ」の問題に誠実に取り組まないのは理解に苦しむ。
 高市政権が臨時国会で優先したのは、維新の要求で連立政権合意に盛り込まれた衆院議員定数の削減だった。首相は定数1割減の根拠を説明できず、法案には与野党協議で結論が出なければ1年後に定数を自動的に45減らす乱暴な条項が盛り込まれた。
 献金規制からの論点すりかえ、連立維持が目的の法案にほかならず、野党の反発で審議入りできなかったのは当然だ。政権側は来年の通常国会での成立を目指すというが、白紙に戻すべきだ。
 臨時国会ではコロナ後最大規模の2025年度補正予算が成立したが、財政悪化の懸念から長期金利の上昇と円安が進み、物価高騰を助長しかねない。台湾有事を巡る首相答弁も日中関係を悪化させ経済に影響が及ぶ。首相はこうした状況を直視し、国民の暮らし最優先で政権を運営すべきである。
 あらゆる政策遂行の前提は政治への信頼だ。高い内閣支持率におごることなく、裏金事件を招いた自民党の体質を猛省し、献金規制に積極的に取り組むよう求める。

【毎日新聞】12月18日<社説>「企業献金」また先送り 不信直視せぬ自維の怠慢
 臨時国会が閉会した。喫緊の課題である企業・団体献金の扱いについては、またも結論を得られなかった。政治不信の底流をなす問題に背を向ける高市早苗政権の怠慢には、あきれるばかりだ。
 今国会では、規制強化に向けて一定の進展が期待されていた。国民民主、公明両党は、受け手を政党本部と都道府県組織に限定する法案を提出した。献金禁止を掲げる立憲民主党なども、次善の策として賛意を示した。
 にもかかわらず、合意形成が見通せないまま越年することになった。議論が停滞したのは、献金を重要な資金源とする自民党が抵抗したためだ。献金の存続を前提に「透明性を高める」とする案を出しただけで、譲ろうとしない。
 与党入りした日本維新の会も、献金温存に手を貸した。野党時代には禁止を主張していたが、自民と共に、有識者組織に検討を委ねる法案をまとめた。連立維持を優先して「転向」した形だ。
 野党も責任を免れない。野党第1党の立憲は、取りまとめへ存在感を示せなかった。国公両党も物価高対策を巡る政権との駆け引きに追われ、「政治とカネ」の問題が後景へ退いたように映る。
 そもそも政策をゆがめかねない企業献金の禁止は、「平成の政治改革」で積み残された30年来の約束だ。自民派閥裏金問題が発覚してから既に2年が過ぎたが、先送りが繰り返されてきた。
 自民には、裏金問題を過去のことにしたいとの本音が透けて見える。高市首相が「そんなことより衆院議員定数削減を」と放言したのはその表れだ。見識を疑う。
 こうした状況下でも、自維両党では政治資金を巡る問題が多発している。
 首相や閣僚が代表を務める自民支部が、法定の上限額を超える献金を受け取っていた。維新幹部らの身内への公金還流や、不適切な支出も発覚した。
 改革を進めようとせず、むしろ国民の疑念を増幅させている。これでは、信頼回復には程遠い。先の参院選で自民が大敗し、不信の根深さが改めて示されたことを忘れてはならない。
 高市内閣は高い支持率を保っているが、民意を軽視すれば、いずれしっぺ返しを受けるだろう。

【朝日新聞】(社説)臨時国会閉会 合意形成に課題と傷痕
 衆参両院で与党過半数割れという異例の状況下で始まった臨時国会が閉会した。高市首相にとっては、野党の一部の賛同を得て、物価高対策などを掲げた今年度補正予算を成立させるなど、初めての本格論戦となった国会を、まずは乗り切った形だ。
 今夏の参院選で多党化が進み、幅広い合意形成が問われた国会でもある。ただ、財源の確保が後回しにされるなど、将来への責任が果たされたとは言い難い。
 自民党と日本維新の会がごり押ししようとした定数削減は、与野党が建設的な関係を築く環境を大きく傷つけた。無所属議員を会派に招き入れることで衆院では過半数を確保したとはいえ、参院では少数のままだ。来年の通常国会に向け、話し合いの土台を立て直す責任が与党にはある。
 今国会ではまず、ガソリン税と軽油引取税に上乗せされていた旧暫定税率を廃止する法律が全会一致で成立したが、大きく減る国と地方の税収の手当ては先送りされた。
 補正予算は、積極財政を掲げる首相の意向に加え、国民民主党や公明党の要求も一部採り入れ、18・3兆円にふくれあがった。うち11・6兆円が借金で賄われる。補正の条件である政策の緊要性や、費用対効果にも疑いが残る。野党にも賛同が広がったからいいという話ではない。
 一方で、合意形成の努力に逆行するのが、衆院議員の定数を1割削減する法案の提出である。特に、与野党協議が1年たってもまとまらなければ、小選挙区25、比例区20を「自動削減」する規定を盛り込んだことは、乱暴な「結論ありき」でしかない。
 首相と維新の吉村洋文代表は国会閉会前日の党首会談で、臨時国会での成立を断念。法案は審議入りしないまま継続審議となった。両氏は、通常国会での実現に向け、まずは衆院議長の下で与野党が参加する選挙制度協議会で議論するという。野党への脅しのような法案は白紙にしたうえで臨むべきだ。企業・団体献金の見直しも、これ以上先送りすべきではない。
 今国会では、首相の言葉にも注目が集まった。率直な物言いが持ち味とされるが、政治指導者として熟慮の上の発信が求められる場面での「軽さ」も目立った。
 その最たるものが、台湾有事は「存立危機事態になりうる」との発言だ。事務方が準備した応答要領にはないアドリブだったことが明らかになっている。中国による理不尽な対日圧力は認められないが、結果として中国に付け入る隙を与えた事実は重い。