私の思い・私の怒り
ノー消費税 2007.2 第187号

●国鉄分割・民営化から21 年。
 大企業奉仕、国民いじめは消費税も同じ

 渡部雅子さん
 (全動労争議団家族)


 国鉄が分割民営化されたのは、消費税導入の2年前、1987年の4月でした。
 JRとなって、この4月で21年目に入ります。「国民の公的な足を奪い、安全性が脅かされ、国民の共有財産を企業に売り渡すことになる!」と分割・民営化に反対した労働組合に所属していた夫たちは、個々の理由も示されずに解雇されました。その後、何の仕事も与えられない、さらし者のような3年間の清算事業団を経て、1047名の元国鉄労働者と家族は、二度目の首切りを強行され、「解雇撤回、職場に戻せ」と、奪われた人権をとりもどす闘いをスタートさせたわけです。

親としてつらかった子どもたちへの犠牲

 中労委・地裁・高裁・最高裁の裁判、オルグなど17年間でしたが、辛かったことは、収入の道を閉ざされたことはもちろんですが、子どもたちが、進学・就職・結婚などの人生の節目ごとに「解雇され、無職の家の子」であることが障害となったことです。
 不満一つ言わず耐えている子を見て、親として胸をえぐられる思いでした。
 JR と名を変えて21年目、過疎地では線路が剥ぎ取られ、過疎がいっそう深刻になっています。
 儲け本位の経営で、福知山線のような大事故が起こり、新橋や品川に見られるように元国鉄用地は超低価格で大企業が買占めています。当時の国鉄負債のうち、国民負担は当初13兆8千億円でしたが、現在27兆円強に膨れあがっています。
 国の臨調・行革の始めであった国鉄の分割・民営化の真の狙いが、闘う労働組合は弱体化と大企業奉仕のためであったこと明らかです。
 そして、この道が私たち庶民の労働条件・医療・介護・教育・憲法改悪の道と結びついているのではないでしょうか。
 消費税も同じではないですか。「高齢化社会の福祉に備える」と3%で導入され、5%に。

消費税も国鉄闘争も今年は正念場

 参議院選挙後に増税への議論が本格化されるでしょう。日本経団連の会長が年頭挨拶で「消費税を10%にすれば増税額は13兆円、その財源から5兆円を法人税減税に当てよ」と提言したそうですが、庶民をこれほど愚弄するとは! 腹の底から怒りがこみあげます。
 国鉄闘争も今年は正念場です。04年12月に鉄道運輸機構を相手に提訴した私たち全動労争議団の証人調べも1月には終わり、結審の年です。昨年1047名の解雇者が、同労働組合や考え方の違いを乗り越え、共同の集会、政府・国会・鉄建公団への要請行動を強化してきました。この共同の力をいっそう確立し、良い判決内容で政府と鉄道運輸機構に解決のための協議の場を作らせたいと、私たちは決意しております。何よりも当事者として辛苦してきた1047名の夫たちと子どもたちの笑顔を取り戻すために。