消費税20年、「政治とカネ」を考える
企業・団体献金の禁止、政党助成金の廃止を!
会報「ノー消費税」2009.5 第214号

だんまり「二大政党」増税レール*@案成立!

 3月27日、消費税増税にレールを敷いた$ナ制改革関連法案が参議院で可決され、成立しました。当初慎重審議の態度をとっていた民主党が、他の野党に図ることなく法案の採決日程に合意し、法案成立に事実上手を貸したことは重大です。西松建設の違法献金事件で民主党・小沢一郎代表の秘書が逮捕され、二階俊博経済産業相など自民党にも広がる中、自民、民主の「二大」政党は「西松マネー」問題を正面から追及できず、マスコミに「審議日程スイスイ、ねじれ一転、無風国会」などと皮肉られる始末。「無理が通れば道理が引っ込む」―「政治とカネ」がまたもや議会制民主主義を蹂躙したといえます。

リクルート事件の渦中に消費税導入
 1988年の消費税法もリクルート事件など「政治とカネ」まみれの中で強行されました。国民の大反対運動が広がる中、そのウラで政府・自民党によるカネにあかせた野党工作が行われました。その内容が消費税導入から13年もたった2001年に、内閣官房機密費についての文書によって明らかになり、国民を驚かせました。
 それは、「昭和63年度分については5億円(内閣分1億、外務省分4億)が増額されているが、これは税制改正のための特別の扱いである。更に平成元年度についても、引き続き同様の額を計上しているが、これも新税制の円滑実施等の事情によるものであり、異例の扱いである。」(89年5月作成)というもの。
 2年間に10億円も特別に増額とは!―内閣官房機密費ももとはと言えば国民の税金です。そのお金を使って「消費税法」が買収されたのは許しがたいことです。88年前半の通常国会では、「日本共産党をのぞく」自民、社会、公明、民社各党の国対委員長会談が23回も繰り返されました。「消費税国会」の召集(同年7 月) も、消費税導入のための特別委員会設置も自社公民幹事長・書記長会談での「合意」でした。この国会で、公明、民社両党は2度にわたる会期延長や採決に協力、消費税導入に加担しました。マスコミは「成立にこぎつけた決め手は何だったのか」「公民両党の協力、これに尽きる」(「毎日」88年12月25日付)などと報じました。

税金の還流=\ゼネコンの献金
 その後も、「政治とカネ」をめぐって、佐川急便事件、ゼネコン汚職事件、KSD事件など重大事件が相次ぎました。
 消費税導入後の国の歳出面の特徴は、公共事業の大盤振る舞いと軍事費の拡大です。それらが今日の財政危機≠フ原因となっており、消費税増税の口実にされています。それと密接に関連するのがゼネコンや防衛関連企業の政治献金です。
 例えば、大手ゼネコン10社だけでもこの20年間に合計39億円もの政治献金を自民党にしています。いくら口で「国民のため」といっても最後は「カネがモノをいう」ことになることは自明のことです。これらの政治献金は第二の政党助成金≠ニもいえるもので、企業を通して税金を政党に還流≠ウせるものです。だからこそ、民主党も「公共事業受注企業の政治献金の禁止」をマニフェストに盛り込み、野党4党で法案まで国会に提出したのです。

政党助成金7割が「二大政党」へ
 「政治とカネ」の疑獄事件のなかでの自民党の敗北・下野をきっかけに、1993年、財界の献金斡旋が中止されました。それと引き換えに「コーヒー一杯の政治」「民主主義のコスト」とのふれこみで登場したのが、政党助成金と小選挙区制です。
 政党助成金は、1995年から2009年までの14年間で、総額4410億円に達し、それがのべ25の「政党」にばらまかれました。その約7割が自民党、民主党の「二大政党」に渡っています。日本共産党だけが「国民の思想・信条をおかす」として受け取りを拒否しています。一方、この間国会から消えていった「政党」を列挙すると、自由党、保守党、自由連合、無所属の会、第二院クラブ、新進党、社会党、新党さきがけ、民主改革連合、平和・市民、新社会党、市民リーグ、太陽党、自由の会、新党平和、さきがけ、民政党、新党友愛となります。まさに、「政党」とは、「国民のためではなく、カネのためだったのか」とあきれてしまいます。

財界―通信簿≠ナ政治献金を再開
 当初、政党助成金は企業・団体献金の禁止と引き換えに導入されましたが、日本経団連は、2003年9月、「『優先政策事項』と『企業の政治寄付の意義』について」という文書を発表、公然と企業献金を再開しました。
 これが、いわゆる財界通信簿≠ニいわれるもので、「二大政党」をカネで動かす公然たるシステムとなっています。その『優先政策事項』のトップには「消費税の活用を含めた負担の公平化」(「活力と魅力溢れる日本をめざして」)がうたわれています。  いま、財界通信簿≠フいうままに消費税増税の道を進むのか、それとも、政党助成金をやめて、企業・団体献金を禁止し、弱い者いじめ≠フ消費税を廃止する、まともな政治の方向に足を踏み出すのかが問われています。