◆ 消費税をなくす会 増本一彦 さんから
たこ氏のお怒りは、もっともだと思います。
しかし、ご意見には、気にかかることがあります。
その一つは、消費税を最初から福祉目的(社会保障目的)財源に使っていたならば、今日のようにはならなかったであろうというご意見です。
当初税率3%がそっくり社会保障目的に使われたと仮定しましても、社会保障予算がその分増えないと社会保障給付はよくならないわけで、当時の政府にはそんな考えはなく、増収分を「税制改革」の柱である法人課税や所得課税の減税財源に充てる狙いでいたのです。当時は、消費税創設を答申した政府税制調査会の会長までが先頭に立って、「消費税は、福祉のためだ。高齢化社会に備えるためだ」と、たこ氏がおっしゃるような「振り込め詐欺」まがいの宣伝をしていたのでした。消費税導入が強行されると、政府は「ゴールド・プラン」という計画をたててわずかの基金の積み立てをして、お茶をにごしたりしました。
二つ目は、その後、23年間、消費税が5%に増税されても福祉はよくならないとのご指摘で、この点はおっしゃるとおりであり、異議をさしはさむのではありませんが、消費税はもともと社会保障をよくするための税金ではないことが23年間に一段とはっきりしたことを確認することだと思います。税率5%に引き上げたことと前後して、大企業のための法人税と高額所得者向けの所得税の大減税を行い、その減税財源を国債の大量発行でまかなってきました。法人税と所得税の税収が「減税政策」によって、どんなに落ち込んだかは、消費税をなくす全国の会発行のパンフレット「いっしょに考えましょう 消費税のこと」の4ページにわかり易い図と表がありますので、ご参照ください。この23年間の経過を見ますと、消費税は、大企業と高額所得者減税による「穴埋め財源」として国債(国の借入金)を増やし、その償還(返済)財源の確保に狙いがあったといえるのです。
そして、現在、民主党政府も野党の自民党や公明党も、消費税のさらなる増税を今国会で可決成立させようとしています。政府もこれらの政党・政治家たちも、あからさまに「国の借入金の返済のために、消費税の増税をする」とはいえない(それをあからさまにいえば、国の借入金政策で得をした大企業や高額所得者が返済財源を負担すべきだという意見が強まります)ので、「消費税を社会保障の目的に使う」といって増税しようとしているのです。ここでも、たこ氏のおっしゃるとおりの「振り込め詐欺・恐喝」まがいの事態ですね。そもそも、これまでの社会保障予算は単年度で28兆円余りでしたが、消費税を増税して、これを社会保障予算として囲い込むと税収は24兆円くらいですから、かえって社会保障予算は減額となり、国民は掛金や保険料の負担を現在以上に負わされることになってしまいます。増税消費税によって、社会保障はさらに悪くなるのです。たこ氏のお怒りは当然です。こうして、これまで使われてきた社会保障予算は国債の償還財源やさらなる大企業・高額所得者の減税の穴埋め財源やら軍事費増額やらと、社会保障以外の目的に使われることになるでしょう。
このようなずる賢い知恵は、消費税増税を狙う政治家たちだけではなくて、高級官僚と日本経団連のシンクタンクたちによって生み出されているのです。こうした考えは、新自由主義と構造改革路線という大企業と高額所得者の利益を第一とする思想から生み出されるのです。
このような消費税増税政策をやめさせるためには、真剣に国民のことを考えて、実行しようとする政治家を選挙で選ぶ以外にありません。こうした国民の立場に立った政治家の議席をさらに少なくしようと、衆議院の比例代表の定数を減らすたくらみが実行に移されようとしています。
また、マイ・ナンバーなどという、国民背番号制によって、国民のお財布の中身まで把握しようとする法案も出ています。
とにかく、たこ氏の怒りに応えて、みんなで頑張りましょう。
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